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川辺のニュース
■川辺<8123>の中長期成長戦略
1. 前中期経営計画のレビュー
前中期経営計画(2018年3月期−2020年3月期)では、国内個人消費が低迷するなか、売上規模を確保しつつ採算性を向上させることを最重要課題とした。
具体的な戦略としては、商品開発力・マーケティング力の強化、直営小売店「プレイヤーズ自由が丘」の拡大(年間4店舗程度の新規出店と不採算店閉鎖のS&B推進)及びEC事業の強化による小売業の拡大、製造業としての売上拡大(自社ブランド商品の拡販、グループ製造子会社による新規取引先開拓)、フレグランス事業再構築による黒字体質への転換(不採算直営店舗の整理・統合、ホールセール分野の売買益改善、希少性の高いメゾンブランドの発掘・投入・拡販)、グローバル化への対応(中国事業の販売戦略強化)などを推進した。EC事業については、ライセンス契約による制限を考慮しながら商品の充実を図り、自社ECサイトによる販売に加えて、Amazon(アマゾン・ドット・コム)や楽天市場(楽天<4755>)等のECモールへの出店によって売上拡大を推進した。
事業環境としては、主要販路である百貨店において、地方・郊外を中心に閉店(計画期間中の3年間で25店舗が閉店)や売場縮小の動きが継続し、さらに個人消費低迷の長期化、暖冬、新型コロナウイルス感染症拡大に伴う店舗臨時休業なども影響して、最終年度である2020年3月期の業績が悪化した。この点では課題を残す形となったが、nicolai bergmann(ニコライ・バーグマン)やDORAEMON(ドラえもん)など、一部の主力ブランドが期待どおり好調に推移し、EC事業も順調に拡大するなどの成果も得られたとしている。
創業100周年に向けた新中期経営計画でコト提案型企業への変革を加速
2. 新中期経営計画2020
創業100周年(2023年2月)に向けた新中期経営計画2020(2021年3月期−2023年3月期)では、経営ビジョンに「人と人の繋がりを大切にするコト提案型企業を目指す」、企業スローガンに「新たな瞬(とき)を染める」、新中期経営計画スローガンに「改革−過去からの脱皮−」、経営指標の目標に最終年度2023年3月期ROA2.61%、ROE4.60%を掲げている。
経営戦略の基本として、成長戦略実行(新規販路の開拓、直営店の収益改善、EC販売の強化、海外販路の開拓)、原価抑制(ブランドライセンスの見直し、価格及び価値の見直し、企画品数の見直し、生産コストの見直し)、経営資源有効活用(成長戦略を達成するための組織変更と人員配置、IT化による業務効率化、働き方改革による資源の有効活用、人材育成を含めた教育への投資)を実行・推進し、創業100周年に向けて安定収益構造の確立を図るとしている。
百貨店販路については、閉店、売場縮小・移転、取引形態変更などの動きに対して、ブランド数が変わっていないためロイヤリティ支払が収益悪化の一因になっていたとして、消費者ニーズ・消費トレンドを的確に捉えて、ブランドライセンスの見直し・入れ替えを積極的に実行する。また新しい販路(百貨店以外の量販店・専門小売店チェーン、OEMなど)の開拓を推進する。
直営小売事業については、新型コロナウイルス感染症拡大の影響も考慮して「プレイヤーズ自由が丘」の新規出店計画を当面凍結するとともに、1店舗当たり売上高の向上を目指してバッグ以外の品ぞろえの充実、及びリブランディングを推進する。
フレグランス事業については、ラグジュアリーブランド中心の品ぞろえから、ACQUA DI PARMA(アクア ディ パルマ)など希少性の高いメゾンブランド中心の品ぞろえにシフトして、収益性向上を図る方針だ。
EC事業については、SNSの活用などで新型コロナウイルス感染症予防に関わっている点(ハンカチーフ=手洗い、マスク)もアピールし、自社ECサイトへの集客を強化して売上増加につなげる方針だ。
岡野将之代表取締役社長は「厳しい経営環境が続くが、新型コロナウイルス感染症の影響を変革に向けた好機と捉え、百貨店の閉店・売場縮小に対応したブランドライセンスの見直し、直営小売事業のリブランディング、EC事業の更なる拡大など、収益力向上に向けた施策を後悔することがないよう積極果敢に実行したい。」と意気込みを語っている。コト提案型企業及び製造卸売業・小売業への変革加速を期待したい。
■株主還元策
配当は利益水準や配当性向を考慮して決定
配当政策については、経営基盤や財務体質の強化を図りつつ、業績に裏付けられた成果配分を行うことを基本方針として、利益水準や配当性向を考慮して決定するとしている。この基本方針に基づいて2020年3月期の配当は年間30円(期末一括)とした。業績悪化のため2019年3月期との比較では20円減配とした。また2021年3月期の配当予想は未定としている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)
<EY>
1. 前中期経営計画のレビュー
前中期経営計画(2018年3月期−2020年3月期)では、国内個人消費が低迷するなか、売上規模を確保しつつ採算性を向上させることを最重要課題とした。
具体的な戦略としては、商品開発力・マーケティング力の強化、直営小売店「プレイヤーズ自由が丘」の拡大(年間4店舗程度の新規出店と不採算店閉鎖のS&B推進)及びEC事業の強化による小売業の拡大、製造業としての売上拡大(自社ブランド商品の拡販、グループ製造子会社による新規取引先開拓)、フレグランス事業再構築による黒字体質への転換(不採算直営店舗の整理・統合、ホールセール分野の売買益改善、希少性の高いメゾンブランドの発掘・投入・拡販)、グローバル化への対応(中国事業の販売戦略強化)などを推進した。EC事業については、ライセンス契約による制限を考慮しながら商品の充実を図り、自社ECサイトによる販売に加えて、Amazon(アマゾン・ドット・コム
事業環境としては、主要販路である百貨店において、地方・郊外を中心に閉店(計画期間中の3年間で25店舗が閉店)や売場縮小の動きが継続し、さらに個人消費低迷の長期化、暖冬、新型コロナウイルス感染症拡大に伴う店舗臨時休業なども影響して、最終年度である2020年3月期の業績が悪化した。この点では課題を残す形となったが、nicolai bergmann(ニコライ・バーグマン)やDORAEMON(ドラえもん)など、一部の主力ブランドが期待どおり好調に推移し、EC事業も順調に拡大するなどの成果も得られたとしている。
創業100周年に向けた新中期経営計画でコト提案型企業への変革を加速
2. 新中期経営計画2020
創業100周年(2023年2月)に向けた新中期経営計画2020(2021年3月期−2023年3月期)では、経営ビジョンに「人と人の繋がりを大切にするコト提案型企業を目指す」、企業スローガンに「新たな瞬(とき)を染める」、新中期経営計画スローガンに「改革−過去からの脱皮−」、経営指標の目標に最終年度2023年3月期ROA2.61%、ROE4.60%を掲げている。
経営戦略の基本として、成長戦略実行(新規販路の開拓、直営店の収益改善、EC販売の強化、海外販路の開拓)、原価抑制(ブランドライセンスの見直し、価格及び価値の見直し、企画品数の見直し、生産コストの見直し)、経営資源有効活用(成長戦略を達成するための組織変更と人員配置、IT化による業務効率化、働き方改革による資源の有効活用、人材育成を含めた教育への投資)を実行・推進し、創業100周年に向けて安定収益構造の確立を図るとしている。
百貨店販路については、閉店、売場縮小・移転、取引形態変更などの動きに対して、ブランド数が変わっていないためロイヤリティ支払が収益悪化の一因になっていたとして、消費者ニーズ・消費トレンドを的確に捉えて、ブランドライセンスの見直し・入れ替えを積極的に実行する。また新しい販路(百貨店以外の量販店・専門小売店チェーン、OEMなど)の開拓を推進する。
直営小売事業については、新型コロナウイルス感染症拡大の影響も考慮して「プレイヤーズ自由が丘」の新規出店計画を当面凍結するとともに、1店舗当たり売上高の向上を目指してバッグ以外の品ぞろえの充実、及びリブランディングを推進する。
フレグランス事業については、ラグジュアリーブランド中心の品ぞろえから、ACQUA DI PARMA(アクア ディ パルマ)など希少性の高いメゾンブランド中心の品ぞろえにシフトして、収益性向上を図る方針だ。
EC事業については、SNSの活用などで新型コロナウイルス感染症予防に関わっている点(ハンカチーフ=手洗い、マスク)もアピールし、自社ECサイトへの集客を強化して売上増加につなげる方針だ。
岡野将之代表取締役社長は「厳しい経営環境が続くが、新型コロナウイルス感染症の影響を変革に向けた好機と捉え、百貨店の閉店・売場縮小に対応したブランドライセンスの見直し、直営小売事業のリブランディング、EC事業の更なる拡大など、収益力向上に向けた施策を後悔することがないよう積極果敢に実行したい。」と意気込みを語っている。コト提案型企業及び製造卸売業・小売業への変革加速を期待したい。
■株主還元策
配当は利益水準や配当性向を考慮して決定
配当政策については、経営基盤や財務体質の強化を図りつつ、業績に裏付けられた成果配分を行うことを基本方針として、利益水準や配当性向を考慮して決定するとしている。この基本方針に基づいて2020年3月期の配当は年間30円(期末一括)とした。業績悪化のため2019年3月期との比較では20円減配とした。また2021年3月期の配当予想は未定としている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)
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