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オンデックのニュース
―昨年を上回る新規上場が登場も、「キオクシア」や「スマートニュース」など期待―
2021年の東京株式市場は、大発会から6日まで3日続落のスタートとなった。年明け以降、新型コロナウイルスの感染拡大を背景とした緊急事態宣言の発令が取り沙汰されたことが重荷となった格好だが、7日は大幅反発し一時、569円高した。ただ、引き続きワクチンの普及による経済活動正常化への期待は高い一方、コロナに対する警戒感やイランを巡る中東情勢、1月20日に就任するバイデン次期米大統領の政権運営など、世界経済を巡る情勢には不透明な材料が多い。株式市場に対して、一方的に強気な姿勢をとり続けるのは難しい状況といえる。
こうしたなか、IPOへの関心は引き続き高く推移するとみられている。例年この時期は、昨年12月に新規上場した直近IPO銘柄への物色人気が高まる傾向にあるが、今年も年明け早々、20年最後のIPOとなったオンデック <7360> [東証M]をはじめ、ENECHANGE <4169> [東証M]、ウェルスナビ <7342> [東証M]、Kaizen Platform <4170> [東証M]などが値を飛ばした。
21年は既に、2月5日に半導体レーザーや網膜走査型レーザーアイウェアなどの開発・製造を行うQDレーザ <6613> [東証M]と、2月10日に戸建住宅事業及びその他不動産事業を行うアールプランナー <2983> [東証M]のそれぞれマザーズ上場が発表されているが、今後も20年(93社)並みかやや上回る規模のIPOが予想されている。
●20年は93社が新規に上場
21年を予測する前に、20年のIPOを振り返ると、社数は93社で19年の86社、18年の90社を上回り、07年の121社以来13年ぶりの高水準となった。新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受けて相場が大きく崩れ、春先には18社が上場を延期し、IPO市場は2ヵ月以上休止状態だったが、6月以降急回復した。一時はIPO数が半減するとの見方もあったが、コロナの影響を受けにくいビジネスや新たな需要をとらえたビジネスを展開する企業を中心に、企業のIPOニーズは根強いものがある。
IPO人気の高まりを受けて、公募価格から初値までの上昇率が際立って高いものも多くみられた。9月29日にマザーズに上場したヘッドウォータース <4011> [東証M]は、初値が公開価格の11.9倍となったほか、6月24日にマザーズ上場のフィーチャ <4052> [東証M]は同9.1倍、10月2日にマザーズ上場のタスキ <2987> [東証M]は同7.6倍でスタートした。一方で初値が公開価格を下回ったケースも23社とここ数年で最も多く、ここにもコロナ禍の影響がみてとれる。
また、19年同様に市場からの資金吸収額が1000億円を超える超大型案件はなく、大きなものでも9月17日に東証1部に上場した雪国まいたけ <1375> の447億円、12月16日に東証1部に上場したローランド <7944> の381億円などだった。ただ、資金吸収額の合計は19年比1割増の3600億円強で、企業の上場への関心、資金調達ニーズは引き続き高い。
●東証再編もIPOを後押しか
20年のIPO市場がコロナ禍にもかかわらず活況だった背景には、東京証券市場が22年4月に、現在の4市場からグローバル企業向けの「プライム」、中堅企業向けの「スタンダード」、新興企業向けの「グロース」の3市場に再編されることも作用したと考えられる。市場再編の1年前までにIPOを行い、再編前に最速で東証1部へ上場しようとする企業もあったようで、コロナの影響により一時休止に見舞われたものの、4月にIPOを予定していた企業が増えたのはそれが理由といわれている。また、新市場区分の上場基準の詳細が明らかになる前に、駆け込み的に上場しようとする動きもあったようだ。
続く21年だが、大手証券によると、IPO社数は増加が見込まれるという。また、近年増えているSaaS企業や人工知能(AI)関連のIPOも相次ぐとみられている。そこで今回は、市場で上場が噂されているIPO候補企業に注目してみたい。
●上場延期組の動向に注目
まず動向が注目されるのが、昨年10月に上場を予定していたが延期したキオクシア(東京都港区)だろう。フラッシュメモリーやその関連製品の開発・製造を行い、5Gやデジタルトランスフォーメーション(DX)関連としても注目度が高い。
また延期組では、日本トリム <6788> 子会社で、昨年4月に上場を予定し、12月8日には改めて新規上場を申請したと発表した「細胞バンク事業」を手掛けるステムセル研究所(東京都港区)や、同じく4月に上場を予定していた非接触ICカードリーダ端末の販売を行うスマート・ソリューション・テクノロジー(東京都新宿区)、3月に上場を予定していた企業の情報活用を促進するソフトウェアを提供するウイングアーク1st(東京都港区)などの動向が注目されている。
●ユニコーン企業の上場の可能性も
企業価値が10億ドル以上の未上場企業である「ユニコーン企業」も注目されている。日本では、AI開発のPreferred Networks(プリファード・ネットワークス、東京都千代田区)、ニュースアプリを運営するスマートニュース(東京都渋谷区)、石灰石を原料とする新素材である「LIMEX」製品の開発・製造を行うTBM(東京都中央区)の3社がユニコーン企業とされるが、なかでも脱プラスチックの動きからLIMEXへの関心が高まっているTBMは注目度が高い。
このほかにも、人材サービスのビズリーチ(東京都渋谷区)、レシピ動画サービスのdely(東京都港区)、リチウムイオン電池や蓄電システムを手掛けるエリーパワー(東京都品川区)、人工のクモの糸から繊維などを作る素材ベンチャーのスパイバー(山形県鶴岡市)などは例年、上場候補として取り沙汰されている。更に、越境ECを手掛けるInagoraホールディングス(東京都新宿区)や、建設業の施工管理サービスを手掛けるアンドパッド(東京都千代田区)、KDDI <9433> グループでIoT通信プラットフォームを手掛けるソラコム(東京都世田谷区)、スマートロックのビットキー(東京都中央区)なども株式市場では上場期待が高い。噂はあくまで噂に過ぎないが、コロナ禍にあっても株式市場が堅調な今、IPOを取り巻く好環境は続きそうだ。
株探ニュース
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