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ポートのニュース
■中長期の成長戦略
1. 成長戦略及び中期経営計画
ポート<7047>はこれまで離職率や過疎化、生活習慣病などの社会課題に対してサービス開発を行ってきたが、より大きな社会課題を解決していくためには「ユーザー基盤」「投資資本」「顧客基盤」の3つのアセットが必要であると考え、ユーザーにノウハウが蓄積されづらい非日常領域のマッチングDXに基づいた取り組みをベースとした3ヶ年中期経営計画(2021年3月期~2023年3月期)を策定した。
中長期の業績成長を実現するために同社は、(1) マッチングDXの拡大、(2) 会員基盤を活用したクロスセル、(3) サプライチェーン最適化、の3つの成長戦略を推進していく方針を掲げている。
(1) マッチングDXの拡大
「マッチングDXの拡大」について同社は、情報収集から契約までの流れが人や書籍などに依存しデジタル化されていない領域に対し、プロセスの最初から最後までを一気通貫してデジタル化していくことと定義しており、「販促活動のデジタル化」によってユーザーと顧客企業とのマッチング最適化を目指している。具体的には、「領域シェアの拡大(既存領域のシェア拡大)」及び「新領域への展開(同じビジネスモデルで類似領域への参入)」を通じて、マッチングDXのさらなる拡大を図る方針だ。
マッチングDX拡大による高い売上収益成長を実現するために、「会員数」「顧客数」「マッチング数」をキーポイントとしている。「会員数」拡大に対してはコンテンツ投資(差別性のある独自コンテンツの作成)、「顧客数」拡大に対してはアカウント投資(高いリピート率を背景とした新規顧客開拓の推進)、「マッチング数」拡大に対してはシステム投資(マッチング効率改善のための1to1マッチングシステムの確立)を投資ポイントとし、それぞれ推進していく。これに加え、アライアンス戦略を積極的に推進し、各キーポイントへの成長施策へつなげていく。
(2) 会員基盤を活用したクロスセル
各領域で獲得したユーザー(会員)基盤を活用し他領域にクロスセル展開をすることで、追加獲得費用の発生しない送客を通じた収益力の最大化を目指している。各領域における会員基盤は強固で、既存の参入領域においても、就職領域では1学年当たり約44万人の会員を獲得、リフォーム領域では2021年3月期に約7万人を獲得している。就活生の会員基盤を安定的に積み上げることで、2030年3月期には累計500万人(20代の社会人の70%)の会員基盤となる。就職領域では既に既卒生向けサービスを開始しており、クロスセル収益が成長トレンドとなっていることから、会員基盤の積み上げによるさらなる業績成長が見込まれる。これに加え、INEの子会社化によってクロスセルのさらなる強化が見込まれる。INEの子会社化によって年間67万人が同社グループの会員となるが、エネルギー領域は全人口が対象となるサービスであることから、就職領域及びリフォーム領域からの会員クロスセルが可能となる。一例を挙げると、就職領域の会員に対しては新社会人の転居時の支援、リフォーム領域の会員に対しては戸建てユーザーへの電力や太陽光等の提案などがある。同社は、エネルギー領域へのクロスセルを優先的に実施し、今後はエネルギー領域からのクロスセルを視野に入れる方針だ。
(3) サプライチェーン最適化
同社は、社会課題を根本的に解決するためにはマッチングだけではなくその後のフローにも介入し、産業全体の課題を解決するプロダクトを開発する必要があると考えており、ユーザーに最適な意思決定を支援するために、サプライチェーンへの参入を図る。サプライチェーン最適化には、同社が直接事業者となってサービス提供する「垂直展開」と、各領域の事業者を支援する「業務効率化」の2つの手法がある。同社はユーザーデータを大量に保有しているため、ユーザーニーズの解像度が高いことから、「垂直展開」では同社が直接事業者となり、リアルサービスを提供する。また、マッチング後のサプライチェーンではDX化が進んでおらず、非効率な業務も数多く存在することから、「業務効率化」では同社が顧客の業務効率化、最適化を支援していく。具体的には、販促活動のデジタル化からスタートし、管理機能をすべて取り込むことでデジタルシフトを推進していく。これらの方法を通じて、ユーザーがより最適な意思決定、最適なサービスを享受できる状態を目指す。
(4) M&A
上記3つの成長戦略を推進するために、M&Aも積極的に検討していく方針だ。同社は、これからデジタル化が進む領域を新規参入対象市場とし、独自の参入判断基準に当てはまる領域に進出することで再現性を高めている。なお、積み増し型でのM&Aによる規模拡大を志向しておらず、同社の強みであるマーケティングを中心とした様々なノウハウを投下することにより、同社の主力事業に成長しうる企業をM&Aする方針である。
(5) 数値目標
数値目標としては、最終年度の2023年3月期に連結売上収益100億円以上、連結EBITDA20億円以上、調整後連結EBITDA30億円以上を目指しているが、INEの子会社化により、数値目標の達成確度は高まったと言える。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 欠田耀介)
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1. 成長戦略及び中期経営計画
ポート<7047>はこれまで離職率や過疎化、生活習慣病などの社会課題に対してサービス開発を行ってきたが、より大きな社会課題を解決していくためには「ユーザー基盤」「投資資本」「顧客基盤」の3つのアセットが必要であると考え、ユーザーにノウハウが蓄積されづらい非日常領域のマッチングDXに基づいた取り組みをベースとした3ヶ年中期経営計画(2021年3月期~2023年3月期)を策定した。
中長期の業績成長を実現するために同社は、(1) マッチングDXの拡大、(2) 会員基盤を活用したクロスセル、(3) サプライチェーン最適化、の3つの成長戦略を推進していく方針を掲げている。
(1) マッチングDXの拡大
「マッチングDXの拡大」について同社は、情報収集から契約までの流れが人や書籍などに依存しデジタル化されていない領域に対し、プロセスの最初から最後までを一気通貫してデジタル化していくことと定義しており、「販促活動のデジタル化」によってユーザーと顧客企業とのマッチング最適化を目指している。具体的には、「領域シェアの拡大(既存領域のシェア拡大)」及び「新領域への展開(同じビジネスモデルで類似領域への参入)」を通じて、マッチングDXのさらなる拡大を図る方針だ。
マッチングDX拡大による高い売上収益成長を実現するために、「会員数」「顧客数」「マッチング数」をキーポイントとしている。「会員数」拡大に対してはコンテンツ投資(差別性のある独自コンテンツの作成)、「顧客数」拡大に対してはアカウント投資(高いリピート率を背景とした新規顧客開拓の推進)、「マッチング数」拡大に対してはシステム投資(マッチング効率改善のための1to1マッチングシステムの確立)を投資ポイントとし、それぞれ推進していく。これに加え、アライアンス戦略を積極的に推進し、各キーポイントへの成長施策へつなげていく。
(2) 会員基盤を活用したクロスセル
各領域で獲得したユーザー(会員)基盤を活用し他領域にクロスセル展開をすることで、追加獲得費用の発生しない送客を通じた収益力の最大化を目指している。各領域における会員基盤は強固で、既存の参入領域においても、就職領域では1学年当たり約44万人の会員を獲得、リフォーム領域では2021年3月期に約7万人を獲得している。就活生の会員基盤を安定的に積み上げることで、2030年3月期には累計500万人(20代の社会人の70%)の会員基盤となる。就職領域では既に既卒生向けサービスを開始しており、クロスセル収益が成長トレンドとなっていることから、会員基盤の積み上げによるさらなる業績成長が見込まれる。これに加え、INEの子会社化によってクロスセルのさらなる強化が見込まれる。INEの子会社化によって年間67万人が同社グループの会員となるが、エネルギー領域は全人口が対象となるサービスであることから、就職領域及びリフォーム領域からの会員クロスセルが可能となる。一例を挙げると、就職領域の会員に対しては新社会人の転居時の支援、リフォーム領域の会員に対しては戸建てユーザーへの電力や太陽光等の提案などがある。同社は、エネルギー領域へのクロスセルを優先的に実施し、今後はエネルギー領域からのクロスセルを視野に入れる方針だ。
(3) サプライチェーン最適化
同社は、社会課題を根本的に解決するためにはマッチングだけではなくその後のフローにも介入し、産業全体の課題を解決するプロダクトを開発する必要があると考えており、ユーザーに最適な意思決定を支援するために、サプライチェーンへの参入を図る。サプライチェーン最適化には、同社が直接事業者となってサービス提供する「垂直展開」と、各領域の事業者を支援する「業務効率化」の2つの手法がある。同社はユーザーデータを大量に保有しているため、ユーザーニーズの解像度が高いことから、「垂直展開」では同社が直接事業者となり、リアルサービスを提供する。また、マッチング後のサプライチェーンではDX化が進んでおらず、非効率な業務も数多く存在することから、「業務効率化」では同社が顧客の業務効率化、最適化を支援していく。具体的には、販促活動のデジタル化からスタートし、管理機能をすべて取り込むことでデジタルシフトを推進していく。これらの方法を通じて、ユーザーがより最適な意思決定、最適なサービスを享受できる状態を目指す。
(4) M&A
上記3つの成長戦略を推進するために、M&Aも積極的に検討していく方針だ。同社は、これからデジタル化が進む領域を新規参入対象市場とし、独自の参入判断基準に当てはまる領域に進出することで再現性を高めている。なお、積み増し型でのM&Aによる規模拡大を志向しておらず、同社の強みであるマーケティングを中心とした様々なノウハウを投下することにより、同社の主力事業に成長しうる企業をM&Aする方針である。
(5) 数値目標
数値目標としては、最終年度の2023年3月期に連結売上収益100億円以上、連結EBITDA20億円以上、調整後連結EBITDA30億円以上を目指しているが、INEの子会社化により、数値目標の達成確度は高まったと言える。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 欠田耀介)
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