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天昇電気工業のニュース
■要約
天昇電気工業<6776>は、1936年(昭和11年)に創業した歴史のある合成樹脂(プラスチック)成形品メーカーである。その間に培われた技術力は高く、顧客との信頼関係も厚い。製品の向け先は幅広い業種に及んでいるが、現在は自動車向けの比率が高い(約60%)。今後は、内需向けの製品を拡充する方針である。長い間、業績低迷に苦しんだが2017年3月期に9年ぶりに復配(年間3円)した。その後も業績は堅調に推移し古豪復活の感があり、今後の動向が注目される。
1. 2020年3月期第2四半期(実績):好調な需要に支えられ前年同期比58.5%の営業増益
2020年3月期第2四半期の連結業績は、売上高9,121百万円(前年同期比12.5%増)、営業利益577百万円(同58.5%増)、経常利益547百万円(同32.2%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益359百万円(同63.9%増)となった。主たる向け先である自動車メーカーの生産・販売が好調であったことが要因となった。また、海外事業も増益を維持した。前期までの設備増設に伴う償却増、新製品出荷に向けた梱包資材等の先行投資負担(経費増)が一巡し、増収がそのまま増益につながった。結果、貸借対照表(財務体質)の改善もさらに進んでいる。
2. 2020年3月期:足元好調ながら不透明要因もあり慎重な予想
2020年3月期の連結業績は、売上高17,800百万円(前期比1.0%増)、営業利益1,000百万円(同5.4%増)、経常利益960百万円(同1.7%減)、親会社株主に帰属する当期純利益630百万円(同6.9%増)が予想されており、期初予想と変わっていない。売上高は引き続き自動車向けが好調に推移すると予想されるが、不透明要因も多いことから、慎重な見通しとなっている。言い換えれば最低限達成可能な予想となっており、今後の状況次第で上方修正の可能性もありそうだ。
3. 年間3円配当は定着したが、増配余地も。今後の収益動向と配当政策は要注目
同社は2016年3月期までの9年間無配を続けていたが、2017年3月期には大幅増益を達成、収益基盤も安定してきたことから、年間3円の復配を実施した。経営陣は、「復配したとはいえ、決して高い水準ではない。しかし、今後は設備投資も検討する必要があることから、増配については慎重に考えたい」と述べているが、フリーキャッシュ・フローは十分な水準にあり増配の余地はありそうだ。今後の業績動向、設備投資計画や配当水準は大いに注目する必要がある。
■Key Points
・プラスチック製品の老舗メーカー。技術力は高く顧客からの信頼は厚い
・2020年3月期は前期比5.4%の営業増益予想だが、慎重な予想であり上方修正の可能性も残る
・今後は内需向け製品の拡充で収益基盤の安定化を図る。配当動向も要注目
(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)
<MH>
天昇電気工業<6776>は、1936年(昭和11年)に創業した歴史のある合成樹脂(プラスチック)成形品メーカーである。その間に培われた技術力は高く、顧客との信頼関係も厚い。製品の向け先は幅広い業種に及んでいるが、現在は自動車向けの比率が高い(約60%)。今後は、内需向けの製品を拡充する方針である。長い間、業績低迷に苦しんだが2017年3月期に9年ぶりに復配(年間3円)した。その後も業績は堅調に推移し古豪復活の感があり、今後の動向が注目される。
1. 2020年3月期第2四半期(実績):好調な需要に支えられ前年同期比58.5%の営業増益
2020年3月期第2四半期の連結業績は、売上高9,121百万円(前年同期比12.5%増)、営業利益577百万円(同58.5%増)、経常利益547百万円(同32.2%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益359百万円(同63.9%増)となった。主たる向け先である自動車メーカーの生産・販売が好調であったことが要因となった。また、海外事業も増益を維持した。前期までの設備増設に伴う償却増、新製品出荷に向けた梱包資材等の先行投資負担(経費増)が一巡し、増収がそのまま増益につながった。結果、貸借対照表(財務体質)の改善もさらに進んでいる。
2. 2020年3月期:足元好調ながら不透明要因もあり慎重な予想
2020年3月期の連結業績は、売上高17,800百万円(前期比1.0%増)、営業利益1,000百万円(同5.4%増)、経常利益960百万円(同1.7%減)、親会社株主に帰属する当期純利益630百万円(同6.9%増)が予想されており、期初予想と変わっていない。売上高は引き続き自動車向けが好調に推移すると予想されるが、不透明要因も多いことから、慎重な見通しとなっている。言い換えれば最低限達成可能な予想となっており、今後の状況次第で上方修正の可能性もありそうだ。
3. 年間3円配当は定着したが、増配余地も。今後の収益動向と配当政策は要注目
同社は2016年3月期までの9年間無配を続けていたが、2017年3月期には大幅増益を達成、収益基盤も安定してきたことから、年間3円の復配を実施した。経営陣は、「復配したとはいえ、決して高い水準ではない。しかし、今後は設備投資も検討する必要があることから、増配については慎重に考えたい」と述べているが、フリーキャッシュ・フローは十分な水準にあり増配の余地はありそうだ。今後の業績動向、設備投資計画や配当水準は大いに注目する必要がある。
■Key Points
・プラスチック製品の老舗メーカー。技術力は高く顧客からの信頼は厚い
・2020年3月期は前期比5.4%の営業増益予想だが、慎重な予想であり上方修正の可能性も残る
・今後は内需向け製品の拡充で収益基盤の安定化を図る。配当動向も要注目
(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)
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