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ワコムのニュース
■成長戦略
3. 対象市場の成長性
ワコム<6727>では、デジタルペンとインクにおける事業機会は、これまでのクリエイティブ(デジタルコンテンツ制作/創作)市場のみならず、教育DX市場、ワークフローDX市場といった、規模が大きく、高い成長性※が見込まれている3つの領域に存在すると捉えており、これらの領域でテクノロジー・リーダーシップを発揮することが、同社自身の成長加速にもつながるものと認識している。特に同社が注力するAI、XR、Securityの新コア技術との組み合わせを通じた新しい価値提供が、これらの領域の変革や成長に欠かせない要素となっており、同社戦略の方向性とも符合している。
※デジタルコンテンツ制作/創作市場の年平均成長率(2021年~2027年)は9.5%(出所:Maia Research)、教育DX(Edtech)市場(2021年から2030年)の年平均成長率は16.8%(出所:Grand View Research)、ワークフローDX市場(2022年から2023年)の年平均成長率は16.5%(出所:IDC)といった予想がされている。
4. 成長のイメージと財務方針
新たな中期経営方針「Wacom Chapter 3」については、現行コア技術/現行ビジネスモデルをさらに推進する一方、次のステージでの成長加速に向けて、新コア技術/新ビジネスモデルの立ち上げに注力する戦略である。最終年度の数値目標の設定はしていないが、年度ごとに業績予想のガイダンスとともに成長の方向性や取り組んでいる戦略軸の進捗を示していく考えである。ただ成長イメージとしては、現行コア技術/現行ビジネスモデルによる安定成長をベースラインとし、後半の2年間で新コア技術/新ビジネスモデルを立ち上げ、5年目以降となる次のステージで2ケタ台の成長率に乗せていく構想を描いている。また、財務方針については、1)新たな指標としてROIC 25~30%程度を設定したほか、2)ROE 20%程度、3)配当性向30%程度としたうえで取締役会でも本質的な議論を活発に行い、事業活動の効率性や資本効率に目配りしながら成長の実現の可能性を高めていく方針である。なお、2022年3月期は、前述のとおり、計画を上回る進捗となっている。
5. 弊社の注目点
弊社でも、この期間中に3つの新コア技術(AI、XR、Security)及び新ビジネスモデルを立ち上げ、いかに成長加速に向けた基盤づくりを行っていくのかが最大の注目点であり、同社の方向性や将来性を占ううえでも重要な判断材料になるものと見ている。そのためには、同社自身における技術開発はもちろんのこと、他社との連携により新しいサービスとしての価値をいかに生み出していけるかが成否を決することになるであろう。もっとも、競争の厳しいレッドオーシャンを避け、新たな市場(ブルーオーシャン)での価値創造を目指す同社の方向性は理にかなっている。別の見方をすれば、そこに挑戦できるポジションにあることこそが同社にとっての大きなアドバンテージと評価できる。特に、デジタルインクとAIによる新たな価値提案は、すでに動き始めた教育分野はもちろん、様々な分野で可能性があるうえ、他社に先駆けてデータやノウハウが蓄積できれば、革新的な領域で圧倒的なポジションを確立できる公算も大きくなるだろう。そうなれば、有力なパートナーとの連携にも拍車がかかる可能性も期待できる。この2年間はコロナ禍による一過性の影響を受けてきたが、エントリーユーザー向けの商品の裾野拡大や新たな需要の取り込みにより、デジタルペンやデジタルインクに関する体験ユーザーのベースは確実に拡大していると考えられる。中期的な新コア技術、新ビジネスモデルの立ち上げが上手くいった場合には、ハードとソフトの相乗効果も十分期待できると考えられる。また、新ビジネスモデルにおいては、SaaS(サービスとしてのソフトウェア)での提供が軸になるものと考えられるが、課金型の収益モデルへのシフトが同社の成長性や収益性にどのような変化を及ぼすのかについても注目したい。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)
<EY>
3. 対象市場の成長性
ワコム<6727>では、デジタルペンとインクにおける事業機会は、これまでのクリエイティブ(デジタルコンテンツ制作/創作)市場のみならず、教育DX市場、ワークフローDX市場といった、規模が大きく、高い成長性※が見込まれている3つの領域に存在すると捉えており、これらの領域でテクノロジー・リーダーシップを発揮することが、同社自身の成長加速にもつながるものと認識している。特に同社が注力するAI、XR、Securityの新コア技術との組み合わせを通じた新しい価値提供が、これらの領域の変革や成長に欠かせない要素となっており、同社戦略の方向性とも符合している。
※デジタルコンテンツ制作/創作市場の年平均成長率(2021年~2027年)は9.5%(出所:Maia Research)、教育DX(Edtech)市場(2021年から2030年)の年平均成長率は16.8%(出所:Grand View Research)、ワークフローDX市場(2022年から2023年)の年平均成長率は16.5%(出所:IDC)といった予想がされている。
4. 成長のイメージと財務方針
新たな中期経営方針「Wacom Chapter 3」については、現行コア技術/現行ビジネスモデルをさらに推進する一方、次のステージでの成長加速に向けて、新コア技術/新ビジネスモデルの立ち上げに注力する戦略である。最終年度の数値目標の設定はしていないが、年度ごとに業績予想のガイダンスとともに成長の方向性や取り組んでいる戦略軸の進捗を示していく考えである。ただ成長イメージとしては、現行コア技術/現行ビジネスモデルによる安定成長をベースラインとし、後半の2年間で新コア技術/新ビジネスモデルを立ち上げ、5年目以降となる次のステージで2ケタ台の成長率に乗せていく構想を描いている。また、財務方針については、1)新たな指標としてROIC 25~30%程度を設定したほか、2)ROE 20%程度、3)配当性向30%程度としたうえで取締役会でも本質的な議論を活発に行い、事業活動の効率性や資本効率に目配りしながら成長の実現の可能性を高めていく方針である。なお、2022年3月期は、前述のとおり、計画を上回る進捗となっている。
5. 弊社の注目点
弊社でも、この期間中に3つの新コア技術(AI、XR、Security)及び新ビジネスモデルを立ち上げ、いかに成長加速に向けた基盤づくりを行っていくのかが最大の注目点であり、同社の方向性や将来性を占ううえでも重要な判断材料になるものと見ている。そのためには、同社自身における技術開発はもちろんのこと、他社との連携により新しいサービスとしての価値をいかに生み出していけるかが成否を決することになるであろう。もっとも、競争の厳しいレッドオーシャンを避け、新たな市場(ブルーオーシャン)での価値創造を目指す同社の方向性は理にかなっている。別の見方をすれば、そこに挑戦できるポジションにあることこそが同社にとっての大きなアドバンテージと評価できる。特に、デジタルインクとAIによる新たな価値提案は、すでに動き始めた教育分野はもちろん、様々な分野で可能性があるうえ、他社に先駆けてデータやノウハウが蓄積できれば、革新的な領域で圧倒的なポジションを確立できる公算も大きくなるだろう。そうなれば、有力なパートナーとの連携にも拍車がかかる可能性も期待できる。この2年間はコロナ禍による一過性の影響を受けてきたが、エントリーユーザー向けの商品の裾野拡大や新たな需要の取り込みにより、デジタルペンやデジタルインクに関する体験ユーザーのベースは確実に拡大していると考えられる。中期的な新コア技術、新ビジネスモデルの立ち上げが上手くいった場合には、ハードとソフトの相乗効果も十分期待できると考えられる。また、新ビジネスモデルにおいては、SaaS(サービスとしてのソフトウェア)での提供が軸になるものと考えられるが、課金型の収益モデルへのシフトが同社の成長性や収益性にどのような変化を及ぼすのかについても注目したい。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)
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