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*13:58JST ネクスグループ Research Memo(8):IoT関連事業の収益拡大と新事業の拡大に注力(2)
■今後の見通し
2. セグメント別見通し
(1) メタバース・デジタルコンテンツ事業
デジタルコンテンツ分野については、電子書籍市場は引き続き堅調であるものの、コロナ禍による巣ごもり需要が一段落し成長率が鈍化している。そのため、ネクスグループ<6634>では電子書店での販売と並行して、新しい販売ルートや販売チャネルの開拓にも注力する。主力コンテンツの「静かなるドン」では、マンガを1コマずつに分解し、そこに音声や効果音をつけた「YouTube動画」での展開を2023年7月から開始した。サービス開始から4ヶ月半でチャンネル登録者は6万人を超え(2023年12月現在)、順調に成長している。また、新たな販売チャネルとして電子図書館向けの販売も強化している。2019年度末には164館だった電子図書館は、地方創生臨時交付金の後押しもあり、2023年10月時点で935館と大きく増加しており、(株)實業之日本社の持つ作品の数々を活用して、児童書から女性向けまで電子図書館の幅広いニーズに対応していく。
メタバース分野については、ワイルドマンで、メタバースに必要なVRワールドやVRコンテンツの受託開発案件の受注と、VRゲームコンテンツの開発、ユーザーがメタバースを楽しむためのモーショントラッキングデバイスの開発などに注力する。メタバース市場は黎明期であり、メタバースサービス単体の事業により黒字化している企業は少ない。同社では、メタバースサービスを提供するのではなく、メタバース事業に参入しようとしている企業に対して、VR空間・プラットフォームなどの受託開発を行っている。そのため、市場の黎明期においても、メタバース事業に新たに参入しようとする企業を対象に、一定の需要を見込めるものと弊社では考える。直近では、2024年1月19日にApple Inc.が自社のゴーグル型デバイス「Apple Vision Pro」の予約受付を開始しており、日本国内で販売が開始されればユーザーの増加や市場の活性化が期待できる。
同社は、同事業を通じてWeb3.0分野へ積極的な投資を行う方針であり、新たなM&Aについても継続的に検討している。既存事業であるIoT関連事業とのシナジー創出を見込めることから、第2の収益軸としてさらなる成長が期待できると弊社では見ている。
(2) IoT関連事業
半導体の供給状況には改善が見られたものの、依然として先行きが不透明な部分もあることから、M2M分野における設備投資の抑制などの動向を引き続き注視しながら、製造委託先の継続的な管理・監督を行うとともに、信頼できる新規製造委託先の開拓を進め、市場のニーズに対応した製品群のさらなる拡充に取り組んでいく。
今後の動向としては、「IoT×ブロックチェーン技術」「IoT×AI技術」など、「IoT×新技術」を活用した新たなサービスの提供を目指す。国内外の市場に向けて今後普及が見込まれるLPWAや第5世代移動通信システム「5G」、画像認識などのAI技術といった、同社が培ってきた自動車テレマティクスソリューションをはじめとする様々な分野に対するIoT技術をベースにする考えであり、これらの独自性や強みが競争力のある製品の創出につながるものと弊社では考えている。
エッジAI端末のNCXX AI BOX「AIX-01NX」は、国際的評価の高い(株)サイバーコアの「Re-ID(Re-Identification 再認識)」※技術を搭載しており、NVIDIA Corporationが提供するGPUによるリアルタイム画像認識技術と、マルチキャリア対応の高速モバイル通信技術を活用している。人流解析やOD調査、物体追跡における精度、リアルタイム性、通信費、個人情報問題などの課題を解決するソリューションに導入されつつある。加えて、流体解析ソリューションの分野において、AnyTechとの共同開発により「流体解析AIパッケージ」の販売を開始している。ハードウェアの販売のみに留まらず、ソフトウェア企業との業務提携によりソリューションを実現しており、協業先を増やしソリューションとしての企画を提供することで、新たな売上の確保が期待できると弊社では見ている。
※複数カメラによるビデオ映像群からカメラ間を移動する車両や人物を検出後、それぞれにIDを付与し、カメラ間を移動する車両・人物の動線管理やトレースを可能とする技術。
今後も、コニカミノルタ<4902>の「FORXAI」をはじめとして、ユースケース別のAIソフトウェア群を持つAI活用プラットフォームサービスのエッジデバイス認定の取得、AI開発ベンダーとのAIソフトウェア搭載検証、各通信事業者の動作確認済端末認定を進めるとともに、AIによって解決したい課題を持つ顧客にスムーズな導入・活用を支援し、様々な業種業態におけるビジネス機会を創出していく。リアルタイム画像認識技術は、顔認証システムや監視カメラの映像分析などのセキュリティ分野、工場ラインでの不良品検出、介護分野での見守り、河川水位監視などの防災、自動車の自動運転や運転アシストなど様々な分野に展開が期待される技術であることから、将来的な収益拡大に貢献する材料の1つになる可能性が高いと弊社では見ている。
データ通信端末については、5Gデータ端末「UNX-05G」を販売している。2023年11月期は、キャリアのインフラ展開が想定より遅れていたが、今後、日本全国の98%に基地局展開される計画が進んでいる。また、企業や自治体などがそれぞれの敷地など特定のエリアに限ってスポット的に柔軟に構築できるローカル5Gにおいても、官民を挙げてさまざまな分野・業種で実証が行われ、コストや使いやすさなどを含めて中小企業や小規模案件にも適用できるようにするための取り組みの積み重ねが加速している。
既存のLTE製品の販売を継続するとともに、新たな5G製品の販売により、LTE製品から5G製品への切り替え需要を見込んでいる。また、NTTドコモが提供する3Gサービス「FOMA」については、2026年3月31日をもってサービス終了・停波することが決定している。通信回線を使ってコントロールされている機器の多くで3G回線が使われ続けていたため、M2M業界の各社ではマイグレーションと呼ばれる機器の入れ替えが必要となる段階にきている。4G・5G回線への移行需要は、同社事業にとって追い風になるものと弊社では考える。5Gインフラの整備はスマートフォン向けが優先されており、IoT用の製品は出揃っていない。同様の端末が少ないなかで一定の競争優位性を有しており、同事業の今後の売上増強に大きく寄与するものと弊社では見ている。
(3) 暗号資産・ブロックチェーン事業
引き続きNCXCを利用したトークンエコノミーの形成と価値向上に取り組む。価値向上に向けた取り組みとしては、GameFi分野での活用を推進する。足元では「NCXC GameFiプラットフォーム」の開発が進捗している。GameFiは成長が著しい市場であるが、いくつかの課題が存在している。既存のGameFiで使用するトークンは、1ゲームに対して1トークンの発行が一般的である。そのため、ブームが一過性である場合、ユーザーの離脱によりトークンそのもののマーケットが崩壊するリスクを有している。また、ユーザー側は、始める際に高額なNFTの購入が必要なケースが多く、ゲーム会社側も、通常のゲーム開発に加えブロックチェーンの技術や、自社トークンを発行し暗号資産取引所に上場させる必要がある。同社が開発するGameFiプラットフォームでは、これらの問題点を解決し、ユーザーとゲーム会社の双方にとってサステナブルなサービスを提供する方針である。今後は、同プラットフォームの開発と並行して、プラットフォーム上でゲームタイトルを提供するアライアンス先の開拓にも注力する。アライアンスに向けた交渉の中では「実際にプラットフォームを見てから検討したい」という意見も多いため、プラットフォームのリリース後に開拓の加速が期待される。暗号資産の価値向上にはユースケースを増やし流通を促進することが課題となることから、これらの取り組みは利用機会拡大に寄与すると弊社では見ている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 茂木稜司)
<SO>
2. セグメント別見通し
(1) メタバース・デジタルコンテンツ事業
デジタルコンテンツ分野については、電子書籍市場は引き続き堅調であるものの、コロナ禍による巣ごもり需要が一段落し成長率が鈍化している。そのため、ネクスグループ<6634>では電子書店での販売と並行して、新しい販売ルートや販売チャネルの開拓にも注力する。主力コンテンツの「静かなるドン」では、マンガを1コマずつに分解し、そこに音声や効果音をつけた「YouTube動画」での展開を2023年7月から開始した。サービス開始から4ヶ月半でチャンネル登録者は6万人を超え(2023年12月現在)、順調に成長している。また、新たな販売チャネルとして電子図書館向けの販売も強化している。2019年度末には164館だった電子図書館は、地方創生臨時交付金の後押しもあり、2023年10月時点で935館と大きく増加しており、(株)實業之日本社の持つ作品の数々を活用して、児童書から女性向けまで電子図書館の幅広いニーズに対応していく。
メタバース分野については、ワイルドマンで、メタバースに必要なVRワールドやVRコンテンツの受託開発案件の受注と、VRゲームコンテンツの開発、ユーザーがメタバースを楽しむためのモーショントラッキングデバイスの開発などに注力する。メタバース市場は黎明期であり、メタバースサービス単体の事業により黒字化している企業は少ない。同社では、メタバースサービスを提供するのではなく、メタバース事業に参入しようとしている企業に対して、VR空間・プラットフォームなどの受託開発を行っている。そのため、市場の黎明期においても、メタバース事業に新たに参入しようとする企業を対象に、一定の需要を見込めるものと弊社では考える。直近では、2024年1月19日にApple Inc.が自社のゴーグル型デバイス「Apple Vision Pro」の予約受付を開始しており、日本国内で販売が開始されればユーザーの増加や市場の活性化が期待できる。
同社は、同事業を通じてWeb3.0分野へ積極的な投資を行う方針であり、新たなM&Aについても継続的に検討している。既存事業であるIoT関連事業とのシナジー創出を見込めることから、第2の収益軸としてさらなる成長が期待できると弊社では見ている。
(2) IoT関連事業
半導体の供給状況には改善が見られたものの、依然として先行きが不透明な部分もあることから、M2M分野における設備投資の抑制などの動向を引き続き注視しながら、製造委託先の継続的な管理・監督を行うとともに、信頼できる新規製造委託先の開拓を進め、市場のニーズに対応した製品群のさらなる拡充に取り組んでいく。
今後の動向としては、「IoT×ブロックチェーン技術」「IoT×AI技術」など、「IoT×新技術」を活用した新たなサービスの提供を目指す。国内外の市場に向けて今後普及が見込まれるLPWAや第5世代移動通信システム「5G」、画像認識などのAI技術といった、同社が培ってきた自動車テレマティクスソリューションをはじめとする様々な分野に対するIoT技術をベースにする考えであり、これらの独自性や強みが競争力のある製品の創出につながるものと弊社では考えている。
エッジAI端末のNCXX AI BOX「AIX-01NX」は、国際的評価の高い(株)サイバーコアの「Re-ID(Re-Identification 再認識)」※技術を搭載しており、NVIDIA Corporationが提供するGPUによるリアルタイム画像認識技術と、マルチキャリア対応の高速モバイル通信技術を活用している。人流解析やOD調査、物体追跡における精度、リアルタイム性、通信費、個人情報問題などの課題を解決するソリューションに導入されつつある。加えて、流体解析ソリューションの分野において、AnyTechとの共同開発により「流体解析AIパッケージ」の販売を開始している。ハードウェアの販売のみに留まらず、ソフトウェア企業との業務提携によりソリューションを実現しており、協業先を増やしソリューションとしての企画を提供することで、新たな売上の確保が期待できると弊社では見ている。
※複数カメラによるビデオ映像群からカメラ間を移動する車両や人物を検出後、それぞれにIDを付与し、カメラ間を移動する車両・人物の動線管理やトレースを可能とする技術。
今後も、コニカミノルタ<4902>の「FORXAI」をはじめとして、ユースケース別のAIソフトウェア群を持つAI活用プラットフォームサービスのエッジデバイス認定の取得、AI開発ベンダーとのAIソフトウェア搭載検証、各通信事業者の動作確認済端末認定を進めるとともに、AIによって解決したい課題を持つ顧客にスムーズな導入・活用を支援し、様々な業種業態におけるビジネス機会を創出していく。リアルタイム画像認識技術は、顔認証システムや監視カメラの映像分析などのセキュリティ分野、工場ラインでの不良品検出、介護分野での見守り、河川水位監視などの防災、自動車の自動運転や運転アシストなど様々な分野に展開が期待される技術であることから、将来的な収益拡大に貢献する材料の1つになる可能性が高いと弊社では見ている。
データ通信端末については、5Gデータ端末「UNX-05G」を販売している。2023年11月期は、キャリアのインフラ展開が想定より遅れていたが、今後、日本全国の98%に基地局展開される計画が進んでいる。また、企業や自治体などがそれぞれの敷地など特定のエリアに限ってスポット的に柔軟に構築できるローカル5Gにおいても、官民を挙げてさまざまな分野・業種で実証が行われ、コストや使いやすさなどを含めて中小企業や小規模案件にも適用できるようにするための取り組みの積み重ねが加速している。
既存のLTE製品の販売を継続するとともに、新たな5G製品の販売により、LTE製品から5G製品への切り替え需要を見込んでいる。また、NTTドコモが提供する3Gサービス「FOMA」については、2026年3月31日をもってサービス終了・停波することが決定している。通信回線を使ってコントロールされている機器の多くで3G回線が使われ続けていたため、M2M業界の各社ではマイグレーションと呼ばれる機器の入れ替えが必要となる段階にきている。4G・5G回線への移行需要は、同社事業にとって追い風になるものと弊社では考える。5Gインフラの整備はスマートフォン向けが優先されており、IoT用の製品は出揃っていない。同様の端末が少ないなかで一定の競争優位性を有しており、同事業の今後の売上増強に大きく寄与するものと弊社では見ている。
(3) 暗号資産・ブロックチェーン事業
引き続きNCXCを利用したトークンエコノミーの形成と価値向上に取り組む。価値向上に向けた取り組みとしては、GameFi分野での活用を推進する。足元では「NCXC GameFiプラットフォーム」の開発が進捗している。GameFiは成長が著しい市場であるが、いくつかの課題が存在している。既存のGameFiで使用するトークンは、1ゲームに対して1トークンの発行が一般的である。そのため、ブームが一過性である場合、ユーザーの離脱によりトークンそのもののマーケットが崩壊するリスクを有している。また、ユーザー側は、始める際に高額なNFTの購入が必要なケースが多く、ゲーム会社側も、通常のゲーム開発に加えブロックチェーンの技術や、自社トークンを発行し暗号資産取引所に上場させる必要がある。同社が開発するGameFiプラットフォームでは、これらの問題点を解決し、ユーザーとゲーム会社の双方にとってサステナブルなサービスを提供する方針である。今後は、同プラットフォームの開発と並行して、プラットフォーム上でゲームタイトルを提供するアライアンス先の開拓にも注力する。アライアンスに向けた交渉の中では「実際にプラットフォームを見てから検討したい」という意見も多いため、プラットフォームのリリース後に開拓の加速が期待される。暗号資産の価値向上にはユースケースを増やし流通を促進することが課題となることから、これらの取り組みは利用機会拡大に寄与すると弊社では見ている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 茂木稜司)
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