日進工具のニュース
~超硬小径エンドミルで業界No.1、開発センターの新設で次に備える~
・今期の業績はかなり好転してこよう。前下期から回復に入っていたが、電子部品関連、自動車関連とも需要は上向いている。前期の在庫調整も一巡しているので、生産面ではさらにプラスに働いてこよう。会社の業績計画は慎重であるが、これは米中ハイテク摩擦や半導体不足の影響などを注視し、固めにみていることによる。
・仙台工場の操業度は上がっている。新型コロナウイルスの余波はまだ続くが、5GやDX、製品のインテリジェント化が需要面でリードしている。自動車関連では、ADAS(先進運転支援システム)の拡がりが精密工具の需要に結びついている。5G関連も製品化が拡大し、新しい精密加工の分野が本格化しつつある。EV(電気自動車)やFCV(水素燃料電池車)も有望である。
・昨年3月から本格稼働した新開発センター(投資額13億円)は、実際の加工ができるように新たな機械も揃え、次のニーズ開発に活かしている。精密電子デバイスの新分野は、当社の工具需要に一段と結びつこう。この開発センターは、精密加工に必須の先進的な免震・制震構造を取り入れたオールラウンドの免震構造である。実際2月、3月の地震の時にはその効果を如何なく発揮した。次の工場新設の時にはこの技術が活かされよう。
・後藤社長の経営哲学は、利益率重視で規模は追わない。顧客が新製品の加工方法を開発している段階から関わっていく。コーティングを強化した新製品も強化している。業界トップのCBN(立方晶窒化ホウ素)素材小径エンドミルは用途が広がっている。PCD(ダイヤモンド焼結体)素材のエンドミルも、鏡面加工の分野などで市場開拓が始まっている。
・6月に新製品5軸MC加工用3枚刃ボールエンドミル(MSBSH330-5X)を発売予定である。3軸より5軸の方が多様な加工ができるが、制御が難しい。これに対して、3枚刃で精度が出せるように対応し、展示会においても好評価を得ている。今後、金型加工において利用されるようになろう。
・目標とする売上高経常利益率20%は前期でも確保した。来期は業績回復に弾みがついて、経常利益率も24%が見込めよう。グローバルな競争力は高まっている。ニッチな市場で高収益を実現する企業として引き続き注目したい。
目 次
1.特色 超硬小径エンドミルで業界トップ
2.強み 一貫した集中と差異化で攻める
3.中期経営戦略 ユニークな精密・微細加工技術で内外の新市場を開拓
4.当面の業績 来期に向けて業績回復に弾みが出よう
5.企業評価 競争力を強化し、高収益への復帰
企業レーティング | A |
---|---|
株価 (2021年6月1日) |
1465円 |
時価総額 | 366億円 (25百万株) |
PBR | 2.42倍 |
ROE | 8.2% |
PER | 29.1倍 |
配当利回り | 1.4% |
総資産 | 16936百万円 |
純資産 | 15326百万円 |
自己資本比率 | 89.4% |
BPS | 605.4円 |
決算期 | 売上高 | 営業利益 | 経常利益 | 当期純利益 | EPS | 配当 |
---|---|---|---|---|---|---|
2014.3 | 6418 | 1069 | 1107 | 694 | 27.8 | 7.5 |
2015.3 | 7402 | 1481 | 1534 | 973 | 39.0 | 10.0 |
2016.3 | 8382 | 1914 | 1954 | 1342 | 53.7 | 12.5 |
2017.3 | 8825 | 2013 | 2026 | 1420 | 56.8 | 20.0 |
2018.3 | 9767 | 2685 | 2733 | 1903 | 76.1 | 22.5 |
2019.3 | 10476 | 2879 | 2894 | 1970 | 78.8 | 22.5 |
2020.3 | 9531 | 2219 | 2231 | 1545 | 61.8 | 22.5 |
2021.3 | 8100 | 1512 | 1712 | 1214 | 48.6 | 17.5 |
2022.3(予) | 8900 | 1850 | 1860 | 1260 | 50.4 | 20.0 |
2022.3(予) | 10000 | 2400 | 2400 | 1630 | 65.2 | 23.0 |
(2021.3ベース)
(注)ROE、PER、配当利回りは今期予想ベース。2014年10月に1:2、2017年1月に1:2、2021年4月に1:2の株式分割を実施。2016.3期以前のEPS、配当は修正ベース。2014.3期は60周年記念配(5円相当)、2017.3期は2部上場記念配(5円)、2018.3期は1部上場記念配(5円)を含む。
企業レーティングの定義:当該企業の、(1)経営者の経営力、(2)事業の成長力・持続力、(3)業績下方修正の可能性、という点から定性評価している。A:良好である、B:一定の努力を要する、C:相当の改善を要する、D:極めて厳しい局面にある、という4段階で示す。
レポート全文はこちらから
http://www.belletk.com/niltusinnkougu202106.pdf
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