芝浦機械の売買予想

買い予想

買い

予想株価
2,800円
現在株価との差-700 (-20.00%) 
登録時株価
2,582.0円
獲得ポイント
-9.14pt.
収益率
-3.17%
期間 中期(数週間~数ヶ月)
理由 業績(会社計画の修正発表を含む)
5G普及やワクチン接種進展でも活躍の場、関連銘柄の業績も今期は回復へ―

 米中貿易摩擦の激化や新型コロナウイルスの感染拡大の影響で低迷していた設備投資が、徐々に回復に向かい始めている。コロナ下で先送りされていた工場などの自動化・省力化投資や、省エネ化投資などが緩やかに回復に向かうとみられるほか、医薬品、 自動車、半導体関連の設備投資の継続が見込まれている。

 とりわけ回復基調が鮮明なのがプラスチック加工機 だ。世界的な環境意識の高まりと、それに伴う脱プラスチックの流れから、プラスチック加工機の需要も減少傾向にあるかのように思われているが、自動車やデジタル機器、日用品、医療関連、ゲーム機など用途が幅広いだけに、不調分野を補う形で需要が堅調な分野も多い。また、関連銘柄も今期は業績拡大を見込むところが多く要注目だ。

●昨年10月以降受注は回復傾向

 日本産業機械工業会によると、射出成形機や押出成形機、ブロー成形機などのプラスチック加工機械の月次受注高は2020年4月以降前年割れが続いていたが、10月に203億2000万円(前年同月比2.1倍)と7ヵ月ぶりにプラスに転じ、11月に287億8500万円(同2.4倍)、12月に209億5300万円(同30.0%増)、21年1月は215億3500万円(同49.8%増)、2月は176億8000万円(同63.3%増)、3月は230億8000万円(同26.5%増)と国内外で順調に回復している。

 これまで伸びを牽引してきたのは、中国や米国向け輸出だったが、今年に入り国内の自動車や電機メーカーの設備投資が動き始めている。同工業会によると、21年度のプラスチック加工機械の受注見通しを内需で20年度比15.0%増の709億円、外需は同5.0%増の1515億円と見込み、合計で同8.0%増の2225億円と予測している。

●背景にあるのは5G普及や自動車軽量化など

 プラスチック加工機の受注が伸びている背景には、 5Gの普及や自動車の軽量化の流れがある。

 現在、中国メーカーを中心に5G端末を増産する傾向にあるが、カメラレンズやボディーの成形用に我が国のプラスチック加工機が使用されている。最近では成形技術の向上により、樹脂製品も金属製品と同程度の意匠性が実現できるようになり、スマートフォンの筐体の樹脂化が徐々に進展していることもこうした分野に強みを持つ日本メーカーにプラスに働いている。

 また、自動車軽量化の一環として樹脂部品の導入が進行していることも受注増加につながっている。電気自動車(EV)にとって、車体重量の軽減は航続距離を延ばすために欠かせない要素の一つであり、強度や耐熱性に優れたエンジニアリングプラスチックや更に機能性を高めたスーパーエンジニアリングプラスチックなどの導入が進む。また、ADAS(先進運転支援システム)の普及や、自動運転の導入などもレンズやセンサーの搭載数増につながり、プラスチック加工機の活躍の場となっている。

 更に、新型コロナウイルスワクチンの接種を機に、注射器など医療機器の増産が進展しているが、これも寄与しているようだ。

●日精樹脂、日製鋼などに注目

 関連銘柄の代表格は、プラスチック射出成形機専業の日精樹脂工業 だ。20年1月にイタリア射出成形機大手のネグリ・ボッシ社を買収したことに注目したい。ネグリ・ボッシ社は型締力7000トンの超大型成形システムに強みがある世界随一のメーカーで、欧州に豊富な販売・サービス網を保有していることから、日精樹脂にとって戦略地域である同地域の強化につながると期待されている。なお、日精樹脂の22年3月期の連結営業利益は24億円(前期比2.1倍)を見込み、年間配当は前期比10円増の30円を予定している。

 日本製鋼所 は、原子力や火力、水力などの各種発電設備で使われる大型鋳鍛鋼が有名だが、プラスチック射出成型機などにも強みを持つ。特に電動車(xEV)の基幹部品である リチウムイオン電池用のセパレータフィルム製造装置で世界シェアトップを誇ることに注目。同社のフィルム・シート製造装置は燃料電池セパレータなどにも用いられ、世界的なxEVシフトによる恩恵は大きい。また、同社はここ数年グループの再編に注力しており、これによるシナジーも期待できる。なお、22年3月期は連結営業利益160億円(前期比56.5%増)を見込み、年間配当は前期比10円増の45円を予定している。

 芝浦機械 も世界的な自動車電動化加速を受けてリチウムイオン電池用セパレータフィルム押出成形機の受注が増えていることに注目したい。21年3月期下期には中国電池向けに約120億円の受注を獲得(23年3月期以降に計上予定)したが、同社では引き合い件数が多いことから、引き続き100億円を超える規模の受注を目指す方針だ。22年3月期は、会計基準の変更に伴う影響が営業利益でマイナス18億円ほどあるものの、それを考慮しても連結営業利益27億円(前期比7.1倍)を見込む。

 ソディック は、NC(数値制御)放電加工機のパイオニアだが、射出成形機にも強みを持つ。射出成形機を含む産業機械事業は足もとで5G関連部品、レンズ向け、次世代自動車関連向けの需要堅調が継続。また、主力の放電加工機も中華圏の需要拡大に加えて、欧州などその他地域の受注も回復に向かっていることから、21年12月期通期連結営業利益は41億円(前期比2.2倍)を見込む。

 このほか、日精エー・エス・ビー機械 はプラスチック容器成形機、特にPETボトル成形機では世界大手の一角。コロナ禍による衛生意識の高まりを追い風に、安全で衛生的なプラスチック容器の需要が好調としており、21年9月期連結営業利益は65億円(前期比34.0%増)を見込む。更にプラスチック成形周辺機器大手のカワタ や、プラスチック射出成型品取り出しロボット世界大手のユーシン精機 なども22年3月期は増収増益を見込み要注目だ。