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―東京市場の急落モード終了、これから始まる日本株大逆襲の先陣を切るのはこの株だ―
週末8日の東京株式市場は、リスクオフの巻き戻しが入り日経平均は一気に2万8000円台を回復してきた。懸念視されていた米債務上限問題についてはようやく与野党の歩み寄りがみられ、12月初旬まで暫定的に上限を引き上げることで合意、米連邦政府のデフォルトがいったん回避される見通しとなった。これを受けて米国株市場ではNYダウなど主要株指数が軒並み上昇する展開となり、東京市場にもマーケット心理の改善をもたらし日経平均は満を持して反騰態勢に転じている。この日は国慶節明けの中国・上海株市場も頑強な値動きを示したことから、これもポジティブ視された格好となった。
●相場環境の流動性縮小はまだ当分先
米国では債務上限問題については12月までの猶予を得たが、一方でインフレ懸念を背景とした10年債利回りの上昇が続いていることは引き続き株式市場の重荷となっている。中国では景気の減速傾向が覆い隠せない状況にあるほか、中国不動産大手・恒大集団の資金繰り懸念が重くのしかかっており、不動産バブル崩壊に対する警戒感も拭えない。しかし、そうした悪材料はすべて承知の上で、株式市場は力強さを維持している。世界的に金融緩和政策の終焉が近づいていることが意識されているとはいえ、現状は過剰流動性が十分に確保された状態にあることに変わりはない。また、最近の急落はヘッジファンドなどによる戦略的な空売りが機能し、下げを助長した部分もあるだけに、今度はその買い戻しが全体相場に浮揚力を与えるケースも考えられる。
目先的には日本時間今晩に発表される9月の米雇用統計が株式市場の方向性を左右するイベントとして、世界の耳目を集めている。きょうの東京市場が後場に入り上げ幅を縮小したのは、ビッグイベントをにらみ目先筋の手仕舞い売りが反映されたものだ。しかし、仮にここで米雇用統計を受けて波乱含みの展開を強いられたとしても、大勢上昇トレンドを壊すようなインパクトはないと思われる。11月からのテーパリング開始は既に市場に織り込まれており、仮に利上げ前倒しの思惑が高まったとしても来年後半以降の話である。足もとのカネ余り環境に変化はない。
●好業績でなおかつ華があるテーマ株を探す
10月に入ってからの日経平均急落局面では、好業績銘柄に対する注目度がある意味一段と増したと思われる。十把一絡げ(じっぱひとからげ)に売られても、全体相場が戻りに入った際には、業績面で優位性のある銘柄ほど株価の復元力が高いからである。そしてもう一つ、旬な投資テーマに乗る銘柄にも投資資金が集まりやすい。これは、よくも悪くも投資家の視線を浴びるため出来高流動性が高まり、商いが活発化する傾向がある。俗にいう人気株はテーマ物色の波に乗った銘柄群から輩出されるケースが多い。
今回のトップ特集では業績好調が際立つとともに、現在の東京市場で注目される物色テーマに乗る有望株を6銘柄厳選した。
テーマとしては「コロナ禍で改めて重視された医療のデジタル化推進」「世界的EVシフト加速で需要急増のリチウムイオン電池 」「脱炭素 社会実現を担う重要インフラ・水素ステーション 」「電力不足問題とも密接に関わるアルミ市況の高騰」「金利上昇局面で脚光を浴びた低PER高配当利回り」「世界的需給逼迫で能力増強が急務の半導体設備」、以上の6つを取り上げた。
●株価変身期待の好業績有望テーマ6銘柄はこれだ
【MRTは医療DXの担い手として成長加速へ】
MRT <6034> [東証M]は非常勤医師の紹介サイトの運営のほか、医療機関開設支援コンサルや、全国8000に及ぶ医療機関と連携して医療人材サービス事業などを幅広く展開し、デジタルトランスフォーメーション(DX)を駆使して日本の医療を支えていく役割を担っている。オンライン事業に傾注し、新型コロナウイルス感染者の自宅療養対応でもニーズに応える。塩野義製薬 <4507> とは協業関係にあり、新型コロナウイルス抗体検出キットの販売契約を結んでいる。また、日本郵便(東京都千代田区)とはオンライン診療からオンライン服薬指導、処方薬配送までの一貫したサービス提供を目指し、実証実験に向けた基本合意書を締結。21年12月期は営業利益段階で4億1000万~4億8000万円(前期比55~82%)と高成長を見込むが、21年1-6月期時点で前年同期比2.2倍の3億4100万円を達成していることから一段の上方修正の公算が大きい。株価は目先急騰後の調整一巡から切り返し初動の段階にある。9月1日の年初来高値2468円を通過点に、2018年3月に達成した3000円大台乗せに再チャレンジする場面が期待される。
【エンビプロはLIB再資源化で先駆的存在】
エンビプロ・ホールディングス <5698> は金属リサイクルの大手で、建築廃材や廃車などを回収して鉄スクラップなどに分別加工する事業を展開している。世界的に進む脱炭素への取り組みに非常に積極的であり、これは同社が生産ラインに使う電力の約95%を再生可能エネルギーで賄っていることからもうかがえる。更に、電気自動車(EV)などに使われるリチウムイオン電池(LIB)再資源化への研究開発では先駆的存在だ。今年8月には日本原子力研究開発機構(JAEA)発のスタートアップ企業とリチウムイオン電池から希少金属を回収する際のコスト低減を目指した共同研究も開始した。業績も絶好調をキープしている。21年6月期営業利益は前の期比2.7倍の21億3000万円と急拡大を示し過去最高利益を更新したが、続く22年6月期も前期比12%増の23億9000万円と2ケタ成長を確保する見通しにあり、連続最高益更新となる。株価は9月30日に2130円の上場来高値を形成、その後は一服していたが目先切り返し急となっている。戻り売り圧力から解放された青空圏への再突入が有力視され、大相場形成の気配も漂わせている。
【長野計器は水素ステーション向けシェア独占】
長野計器 <7715> は圧力計と圧力センサーの専業メーカーで車載や半導体向けをはじめ幅広い需要先があり、実績は世界トップクラス。長野県に圧力センサーを製造する世界最大級のスーパーファクトリーを有する。水素ステーション向け圧力計測器はほぼ市場シェアを独占しており、今後国策として水素ステーションの設置が進むなか、同社のビジネスチャンスは大きく膨らむ。足もとの業績も好調だ。半導体製造装置や建機向けなどで旺盛な需要を獲得しており、22年3月期業績は従来予想を大幅に上方修正、営業利益段階で28億5000万円から33億9000万円(前期比2.4倍)予想に増額している。ちなみに同社の営業利益の過去最高は18年3月期の34億100万円で、場合によってはここを上回り一気にピーク利益の更新も視野に入る。株価は9月27日に1356円の年初来高値を形成、その後は利益確定売りに押されたものの目先リバウンド局面入り。PERやPBRなど株価指標面からも割安で、水素分野におけるニッチトップの実力を考慮すれば新値街道への再突入が濃厚だ。最高値は07年7月に3154.5円(修正後株価)と天井も高い。
【大紀アはアルミ市況高騰が強力な追い風に】
大紀アルミニウム工業所 <5702> はアルミニウム二次合金のトップメーカー。アルミニウム二次合金とはアルミニウムスクラップや新品のアルミ地金などを用途別に成分管理の上、溶解・鋳塊された合金のことであり、アルミニウム総需要量の約4割を占める。ポイントとなるのは再生地金生産が新地金生産と比較して極めてわずかなエネルギーで済むということ。現在、世界的な脱炭素戦略の影響から中国やインドなどで電力不足問題が懸念されているが、アルミニウム製造には大量の電力を必要とすることから、これはアルミの供給懸念にもリンクした問題となっている。市況高騰を受けてアルミ二次合金に対する需要が今後一段と高まるのは必至で、同社の注目度も急上昇する可能性が高い。22年3月期営業利益は前期比59%増の146億6000万円を予想。好調な業績を背景に株主還元も強化し、年間配当は従来計画の36円から一気に50円に引き上げている。株価は9月21日に1910円の上場来高値をつけた後緩やかな調整を続けたが、足もと売り物が枯れ仕切り直しの動き。PER6倍台と超割安で最高値奪回から2000円台活躍が視野に。
【ディアライフは5%超の高配当利回りが魅力】
ディア・ライフ <3245> は都内を中心に投資用マンションの開発・販売を手掛けている。21年9月期は減収ながら、営業利益段階で前期比54%増の40億1000万円と急拡大を見込む。緩和的な金融政策が続くなかコロナ禍にあっても不動産市況は好調で、投資用物件の売却が会社側の想定を超える水準で進んでおり利益を押し上げている。土地の開発適地化を行うADR(アセットデザイン&リセール)事業が同社の強みだ。時価予想PERは8倍と割安感が強い。また好業績を背景に株主還元にも前向きで、年間配当は従来計画に10円増額となる30円とし、これにより配当利回りは実に5%を超える水準となる。22年9月期も買収した不動産子会社のフル寄与や豊富な高収益物件が収益に貢献し、20%以上の利益成長が有力視される。株価は10月早々に急動意し一気に水準を切り上げてきた。株価は9月29日に目先底入れを確認して以降、陽線の連続で上値指向の強さを示唆。既に年初来高値圏を走るが500円台後半と依然値ごろ感があり、指標面からも割高感はなく、15年7月につけた最高値750円(修正後株価)奪回は十分射程圏に入る。
【イソライトは半導体向けCFで業績飛躍】
イソライト工業 <5358> はセラミックファイバー(CF)のトップメーカーであり、世界的な半導体需給の逼迫や、それに対応した生産設備強化の動きを背景に半導体用工業炉向けに高水準のニーズを取り込んでいる。非常に耐熱性が高い人造鉱物繊維断熱材であるアルミナファイバーも会社側の想定を上回る受注を獲得し、収益に大きく貢献している。熱伝導率が極めて低い高性能断熱材の開発による大幅な省エネ実現と脱炭素への取り組みにも余念がない。業績は急速に回復色を強めており、22年3月期は欧州、中国向け需要を開拓し売上高、利益ともに従来予想を上方修正、営業利益は24億円から30億円(前期比40%増)に大幅増額した。PER8倍台は指標面で割安感が強く、株式需給面でも3ケタ台の株価にして25万株程度にとどまる信用買い残は上値の重石とはならない。株価は9月24日に843円の年初来高値をつけ、その後いったん値を崩したが25日移動平均線を足場に切り返してきた。17年8月から18年2月にかけて400円トビ台から1450円近辺まで買われた大相場を経験しており、今回も中勢4ケタ大台を意識する展開に。
株探ニュース
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