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ヤマウホールディングスのニュース
―台風被害とゲリラ豪雨対策で活躍期待、災害列島ニッポンの救世主銘柄に見直し機運―
記録的猛暑となった夏も終盤に入り、わずかながらも秋の気配が漂うなか、懸念が深まっているのが台風などによる自然災害だ。特に今年は、 新型コロナウイルスの影響により避難先でのクラスター発生も不安視されており、一層の警戒が必要だ。昨年は、9月9日に台風15号が関東に上陸し甚大な被害を及ぼした。この15号を皮切りとして、次々に台風の猛威が日本列島を襲うことになった。 国土強靱化を強力に推進してきた安倍政権が首相の電撃辞任で幕を下ろすが、気候変動により大規模自然災害の発生は年々拡大傾向をみせており、豪雨対策は次期政権でも喫緊の課題であることは論を待たない。秋の台風シーズンを控え、備えあれば憂いなし。豪雨対策関連株の今を追った。
●大規模化する台風被害、ゲリラ雷雨も頻発
道半ばで突然幕を下ろすことになった安倍政権だが、重要政策の一つとして国土強靱化が挙げられる。無論、国土強靱への道は果てしなく、一代の政権で成し遂げられるものではないが、その推進力には目を見張るものがあった。特に、昨秋は大型台風が頻発し市民生活にも大きな影響を与えており、政権が変わろうとも国土強靱化は待ったなしだ。
昨年、9月に上陸した台風15号は、千葉県を中心として首都圏に甚大な被害を及ぼし都市機能の脆弱さを露呈することになった。電線や電柱が倒壊したことで、株式市場ではイトーヨーギョー <5287> [東証2]をはじめとする「電線地中化」関連株に改めて関心が高まった。また19号により河川の氾濫、決壊、土砂災害などが各地で発生。更に、記録的な豪雨を伴った21号は、傷の癒えない被災地を再び襲った。台風により交通機関にも大きな影響が出たことで通勤困難者が続出し“台風テレワーク”という言葉が登場したのもこの時期だった。今年に入ってからは、7月に発生した九州豪雨が大きな爪痕を残しているが、近年の自然災害は大規模化に加え頻発化しており、その脅威は誰にでも降りかかることを脳裏に刻んでおかねばならない。また、今夏はいわゆるゲリラ雷雨が多発し、都市部でも冠水や停電など相次いだ。
●大豊建設、雨水貯留施設ニーズ拡大
急激な集中豪雨に対して、力を発揮するのが雨水貯留施設だ。特に、都市化の進展により土地の保水能力が低下しており、貯留槽がこれを補うことで浸水被害を低減する効果がある。大豊建設 <1822> はニューマチックケーソン工法による雨水貯留施設を手掛けており、株式市場での注目度も高い。同工法は、あらゆる土地に適応でき地中障害物にも対応できることに加え、周辺環境に与える影響が少ないうえ、経済性も優れている。同社では「東京都からは継続的に雨水貯留施設の発注がある状況だ。地方についても豪雨災害が頻発するなか、ニーズは拡大するとみている」(広報)と話す。コロナ禍においても業績はしっかりしている。8月7日に発表した21年3月期第1四半期(4-6月)の連結営業利益が前年同期比2.5%増の7億4600万円、経常利益は同22.8%増の8億3600万円に伸びた。株価は、3月中旬に1700円台で底を打った後は、上昇波動に乗りきょうも前日比90円高の2705円と1月につけた年初来高値2883円を視界に捉えてきた。
また、ベルテクスコーポレーション <5290> [東証2]グループのゼニス羽田が、地上を公園、運動場、駐車場など多目的に土地の有効利用ができるプレキャスト遊水池(地下調整池・地下貯留槽)を手掛け、同じくグループのホクコンもさまざまなタイプの雨水貯留槽を展開している。株価は、8月7日に発表した第1四半期(4-6月)の連結営業利益が前年同期比31.8%減となったことを嫌気し調整局面にあるが、貯留槽に加え電線地中化関連の一角でもあることから、台風シーズンが迫るなか思惑買いを誘う可能性もある。
●切り口多彩な前田工繊
豪雨により河川の氾濫、決壊が相次いでおり、河川護岸用ブロックマットをはじめ、数多くの河川護岸材を扱う前田工繊 <7821> にも注目したい。同社グループは、インフラの構築から農業用品、アルミホイールまで多岐にわたる事業を展開するが、特に河川護岸材では豊富な実績と経験で定評がある。6月中旬には新型コロナウイルスなどの感染症対策に加え、避難所に設置可能な不織布製立体間仕切りシステム「スプリトップルーム」の販売を開始した。安価・快適・清潔と三拍子揃った製品で、出水期の自然災害発生時など、自治体などが設置する屋内の避難所での使用を想定しているという。幅広い事業領域に展開する同社ならではの製品で、感染収束が見えない状況下で迎えることになる台風シーズンにおいて、切り口多彩な同社製品への活躍期待は高まりそうだ。ここ3ヵ月、株価は高値圏の2500円を挟み膠着が続くが、キッカケ待ちのムードも。
●技研製は今後の展開注視
河川氾濫対策として「インプラント堤防」を手掛ける技研製作所 <6289> は、株式市場でも投資家の関心が高い銘柄だ。昨年は、9月初旬に3000円近辺だった株価が台風シーズンを経て12月終盤には5200円近くまで買われるという変貌ぶりを見せた。しかし今年は、新型コロナウイルスの影響から工事の一時中止や工期延長、発注の延期などがあり、7月10日には業績の下方修正を発表したことで株価も大幅調整を強いられている。ただ、8月6日には同社グループのJスチール(オーストラリア)が、同国の化学液剤タンク再構築計画で、インプラント工法による防液堤工事を元請として受注したと発表。18日には建設の進む九州新幹線西九州ルート(長崎ルート)沿線で初めて実施されたインプラント工法による地すべり抑止杭工事を完了したことも公表した。この実績を足掛かりとし、近年多発する土砂災害の事前防災ニーズを見据え、地すべり抑止杭工事への提案を強化していくとしており、今後の展開を注視しておく必要がありそうだ。
●ヤマウは「小口止太郎」
ヤマウ <5284> [JQ]にも目を配っておきたい。6月30日に、国土交通省が定める20年度推奨技術の「評価促進技術」に、自社の「小口止太郎」が選定されたと発表。「小口止太郎」は、河川護岸の小口止め工、横帯工として利用することができる製品。ブロックを積み、胴込めコンクリートを打設するだけなので、従来工法と比較して約90%の工期短縮が図れるほか、現場打ち型枠が削減され省資源化を図ることができる。加えて、足場工や支保工が不要となることで高所作業が軽減できるといった特長がある。株価は、7月7日に上ヒゲで付けた年初来高値569円奪回をジワリ視界に捉えている。
そのほかでは、特殊土木大手でダム基礎、地盤改良などを手掛ける日特建設 <1929> 、斜面・のり面対策、地盤改良、築堤などを得意とするライト工業 <1926> なども“豪雨感応度”が高く注目したい。
●WNIウェザ、気象リスク高まり活躍の舞台
ここ、豪雨対策関連銘柄の一角として急浮上しているのが、民間気象情報トップのウェザーニューズ <4825> だ。台風などによる大規模自然災害が、秋には当たり前ともいえるほど発生する現在、事前に気象リスクを把握することは人命や財産を守るうえで、いまや不可欠だ。同社は7月13日、21年5月期も増収増益基調が続くとの見通しを発表。BtoB市場では、航海・航空気象市場を中心に販売進捗の遅れが予想されるが、各市場における極端気象に対応したサービス投下を通じ、堅調に成長する見通しだ。またBtoS市場においては、配信コンテンツの充実やテレビCMなどによる認知度向上で、トラフィック増加に伴うスマートフォン向けサービスや広告売り上げの成長を見込む。今月初旬には、台風やゲリラ豪雨への対策として15時間先までの雨雲の動きを250mメッシュ/10分間隔で確認できる業界初の雨雲レーダーを「ウェザーニュース」アプリの「雨雲レーダーCh. Zoomモード」で提供開始。また27日には、施設の防災計画を支援するWxTech(ウェザーテック)サービスとして、台風シーズンに備え、工場、倉庫、店舗や病院などの施設管理者向けに、土砂災害や河川氾濫の災害リスクを把握する「災害対策判断支援サービス」の提供開始を発表するなど矢継ぎ早に施策を打ち出し攻勢を強めている。株価は、高値圏で上昇基調を強めているが、注目場面はまだまだ続きそうだ。
気象情報関連では、昨年12月にマザーズ市場に上場したALiNKインターネット <7077> [東証M]にも目を配っておきたい。同社は、日本気象協会と共同で天気予報専門メディア「tenki.jp」を運営するが、気象情報の重要性と活用が広がるなか、中長期での成長ロード快走が予想される。出来高流動性に乏しいものの、異常気象が常態化するなか知名度アップに期待。
7年8ヵ月というロングランとなった安倍劇場もついに終演となったが、豪雨、地震など災害列島ニッポンに身を置くなか、国土強靱に向けた動きに終わりはない。本格的な台風シーズン入りで豪雨対策関連株から目が離せない。
株探ニュース
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