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スカラ Research Memo(10):新たなM&Aとして人材事業・地方創生事業などを展開するGGHをグループ化

配信元:フィスコ
投稿:2020/04/17 15:20
■今後の見通し

2. GGHの子会社化について
スカラ<4845>は2020年3月、GGHの株式を500百万円で取得し完全子会社化することを発表した。GGHは主に人材事業(体育会系学生の就職支援)を中心に地方創生事業(地域活性化支援、Uターン、Iターン就職支援等)、スポーツ×幼児教育事業などを国内外で展開している。直前期(2019年5月期)の売上規模は概算で1,999百万円、営業利益で31百万円となっており、いずれの事業も黒字化している。グループの従業員数は約130名である。

子会社化によるシナジー効果として、3つを挙げている。1つ目は、地方創生事業においてGGHの取引先である約600の地方自治体向けに、同社のSaaS/ASPサービスや業務提携先であるblockhiveが提供する「xID」の導入提案を進めていくことができる点にある。マイナンバーカードについては今後、健康保険証などとも連携することでより広く浸透していくため、「xID」のようなデジタル身分証明書の普及が進むことは必然であり、こうした需要をグループで積極的に開拓し、行政サービスのデジタル化を推進していくことで地方創生事業の拡大を目指す。

また、2つ目のシナジーとして、海外市場における事業成長の加速化が挙げられる。GGHではミャンマーで子供教育事業(バルシューレ教室※の運営)や現地金融機関との協業によるFinTech事業を推進しており、ミャンマーで将来的に保険・医療分野におけるITサービスの展開を目指す同社にとって、協業による事業推進効果が期待される。

※ドイツで生まれたボール遊び教室。基礎運動能力を高めると同時に、自発性・社会性を育むことを目的としている。


3つ目のシナジーは、人材採用力の強化が挙げられる。GGHでは就職支援事業を展開しており、都内の6大学を中心に国内477の大学と長年の関係を構築している。GGHを通じて優秀な人材を獲得していくことで、更なる事業成長が期待できるものと考えている。


中期経営計画では2030年6月期に売上収益5,000億円、営業利益500億円を目標に掲げる
3. 中期経営計画について
同社は2019年8月に2030年までの中期経営計画を発表した。基本方針として、同社は自身が持つケイパビリティを「真の課題を探り出す」(価値創造経営支援事業)、「リソースの埋もれた価値を炙り出す」(IT/AI/IoT関連事業)、「課題とリソースの最適な組み合わせを提案・実行し、価値を最大化する」(社会問題解決型事業)の3つに分類し、それぞれのケイパビリティごとに事業方針を掲げ、成長を目指していく戦略となっている。

経営数値目標としては、2025年6月期に売上収益1,000億円、営業利益100億円、2030年6月期に売上収益5,000億円、営業利益500億円を打ち出した。2019年6月期の売上収益が171億円、営業利益が21億円であることから、既存事業だけではなく新規事業への展開や海外市場への展開も視野に入れて成長を目指しており、目標を実現するための事業基盤を構築するため、2020年6月期より先行投資を開始している。

(1) 価値創造経営支援事業
価値創造経営支援事業では、売上収益目標として2025年6月期に300億円、2030年6月期に1,800億円を掲げている。スカラパートナーズにおいてCSVイノベーション(経営・事業コンサルティング)やCSVインキュベーション、CSVインベストメントなどに取り組んでいるほか、2020年4月以降、SCLキャピタルでエンゲージメントファンド※の運用を開始する。ジェイ・フェニックス・リサーチでは投資先などに対する中期経営計画策定やIR支援(スポンサードレポートの作成含む)、バリューアップ提言などを行っていく。

※エンゲージメントファンドとは、投資先企業のコミットメントが長期投資家のコミットメントと同じようになるように双方向で話し合い、必要な際には取引先や顧客の紹介、M&A案件の提案など投資先企業の経営支援やアドバイスも行う投資ファンドを指す。


このうち、スカラパートナーズでは外部パートナー10名弱と契約を結び、ベンチャー企業やレガシー企業などに対して、DX化やEVA(Economic Value Added)経営の導入などによる企業価値向上など様々な提案を進めている。直近では前述したblockhiveと業務資本提携を締結し、行政サービスのデジタル化を共同で推進していくことにしている。一方でレガシー企業に関しては、提案内容を理解してくれるものの最終的な契約まで至らないことも多く、今後の課題となる。なお、注力分野は「食と健康、医療、教育、環境、地方創生、金融」の6分野となり、これら領域の企業や研究機関、自治体等とともに、AI/IoT技術を活用しながら企業価値の向上、あるいは社会問題を解決していくための支援や提案を行っていくことになる。同事業においては、CSVイノベーション事業においていかに大企業の顧客を獲得していくことができるかが、目標を達成するうえでのポイントとなる。

(2) IT/AI/IoT関連事業
IT/AI/IoT関連事業については既存事業の延長線となる。売上収益目標は2025年6月期で600億円、2030年6月期で2,200億円としている。2025年6月期までの6年間の年平均成長率で見ると23%の成長となる。同社は既述のとおり、2020年末までに開発プラットフォームを再構築し、高成長を実現する基盤を整備する計画であることから、2021年以降に成長が加速していくものと期待される。また、ソフトブレーンでも2021年12月期から始まる次期3ヶ年中期経営計画では売上高で年率20~30%成長を目標としている。両社の戦略が順調に進めば、目標の達成も十分射程圏内と言えるだろう。なお、オフショア開発拠点のミャンマーでは、2~3年後に数百名規模までエンジニアを増員する計画となっている。

(3) 社会問題解決型事業
社会問題解決型事業では、発展途上国での保険・教育環境の整備、環境問題、地方創生に関わる事業などを展開し、売上収益目標は2025年6月期で100億円、2030年6月期で1,000億円としている。

発展途上国の保険整備に関しては、ミャンマー支店でモデル事業として一部スタートしている。ミャンマーでは医療インフラが極めて乏しく、また栄養や健康維持に対する知識も不足しており、健康保険の仕組みも改善余地が大きい。同社は保険会社と連携し、栄養や健康維持の知識を提供するスマートフォンアプリを開発してパーソナルヘルスデータの基盤を構築し、保険の仕組みとセットでサービス展開していく予定にしており、現在は現地でこうした仕組みの提案を行っている段階にある。事業化が決まれば、資金はエンゲージメントファンドや政府からの助成金等を活用し、実際のサービスは保険会社と共同で進めていくことになる。また、遠隔医療システムや決裁インフラシステムの導入支援についても検討を進めている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)


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配信元: フィスコ
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