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窪田製薬ホールディングスのニュース
*14:51JST 窪田製薬HD Research Memo(1):「Kubota Glass」のマーケティング強化と製品改良等に注力
■要約
窪田製薬ホールディングス<4596>は「世界から失明を撲滅する」をビジョンに掲げ、革新的な医療デバイス及び眼疾患治療薬の開発を進めている。主な開発パイプラインは、近視の進行を抑制または改善させる効果が期待されるウェアラブル近視デバイス「クボタメガネ」と加齢黄斑変性等の網膜疾患患者向け在宅・遠隔眼科医療モニタリングデバイス「PBOS(Patient Based Ophthalmology Suite)」、スターガルト病を適応症とした治療薬候補品「エミクススタト塩酸塩」の3品となる。
1. ウェアラブル近視デバイスの動向
近視の大半は、眼軸長※1が伸び網膜にピントが合わなくなることによって視力が低下する軸性近視と言われている。「クボタメガネテクノロジー」はAR(Argument Reality:拡張現実)技術によって、Myopic defocus(近視性デフォーカス)という周辺網膜より手前にピントを合わせた画像をマイクロLEDによって投影することで、伸びた眼軸長を短縮する技術となる。臨床試験の結果では、競合製品と比較して眼軸伸長抑制率や近視進行抑制率において優れたデータが得られ、安全性の面でも国際標準化機構の認証を取得し担保されている。装用時間も1日1~2時間と短く、効率的に近視の進行を抑制できる技術として、近視を研究する医師等の間で高い評価を受けている。同技術を用いた「Kubota Glass」が2022年6月に米国FDA(米国食品医薬品局)にて医療機器として登録され販売を開始したほか、日本でも同年8月より野外活動を再現するAR機器として眼科医や複数の小売店、ECで販売を開始した(販売価格は税込77万円)。まだソフトローンチ※2の段階であり、2023年12月期は国内で取扱い販売店の拡大と合わせてサプライチェーンの改善や製品改良を進め、また臨床試験によるエビデンスを積み上げる予定だ。最終的には近視進行抑制デバイスとして販売承認を取得し、世界各国で販売することを目指す。世界の近視用レンズ市場は近視人口の増加に伴い、2021年の244億米ドルから2025年には270億米ドルに達すると予想されており、潜在的な市場規模は大きい。近視抑制効果は各社が開発しているデバイスのなかでも最も高いと見られ、海外から日本へ買い求めにくる顧客もいるようでニーズは確実にあると考えられる。今後は近視抑制デバイスとしての販売承認取得だけでなく、低コスト化が普及拡大のカギを握ることとなりそうだ。
※1 角膜から網膜までの長さ。成人の場合、平均約24mmで、1~2mmでも長くなると、ピントが網膜より手前で合ってしまうため、遠くが見えにくくなる(=近視)。
※2 製造から販売、配送、アフターケアまでのプロセスにおけるトラブルシューティング及びマーケットフィットの検証を目的としたテスト販売。
2. そのほか主要パイプラインの動向
遺伝性網膜疾患であるスターガルト病を適応症として進められてきた「エミクススタト塩酸塩」の第3相臨床試験に関するトップラインデータで、主要評価項目であった黄斑委縮の進行率でプラセボ群との有意差が得られなかったことを2022年8月に発表した。ただ、その後のデータ解析から初期症状段階の被験者群では有意差が得られていることが確認されたため、同試験データをもとに共同開発パートナーとの提携を模索し、提携先が見つかれば再挑戦する意向だ。「PBOS」については、2023年1月より米国のジョスリン糖尿病センターにて糖尿病網膜症患者を対象とした臨床試験を開始した。同試験の結果をもとにパートナー候補企業と協議を進め、米国での共同開発や商業化の可能性を模索していく。
3. 業績動向
2022年12月期の連結業績は、事業収益で8百万円(前期比8百万円増)、営業損失で2,038百万円(同546百万円縮小)となった。事業収益は「Kubota Glass」の日米での販売による。費用面では、エミクススタト塩酸塩やウェアラブル近視デバイスの開発費用を中心に研究開発費が前期比527百万円減少し、営業損失の縮小要因となった。2023年12月期の業績見通しについては、「Kubota Glass」の販売動向が見通しにくいことや、研究開発費も減少方向ではあるものの状況によって変動する可能性があることから、現時点では合理的な算定が困難と判断し非開示とした。なお、2022年12月期末の手元資金は4,048百万円で、約2年分の事業活動資金を確保しているものの、まだ開発ステージの段階にあることから、資金調達については適宜検討する方針となっている。
■Key Points
・「Kubota Glass」を2022年に販売開始、今後も製品改良や臨床試験によるエビデンスを積み上げながら育成する方針
・「PBOS」は糖尿病網膜症を対象とした医師主導の臨床試験を2023年より米国で開始
・エミクススタト塩酸塩はスターガルト病第3相臨床試験において、初期症状患者での有効性が示唆されたことで共同開発パートナーを探す段階に
・2023年12月期は研究開発費が減少する一方で、「Kubota Glass」の販売拡大に向けた費用を投下する方針
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
<YI>
窪田製薬ホールディングス<4596>は「世界から失明を撲滅する」をビジョンに掲げ、革新的な医療デバイス及び眼疾患治療薬の開発を進めている。主な開発パイプラインは、近視の進行を抑制または改善させる効果が期待されるウェアラブル近視デバイス「クボタメガネ」と加齢黄斑変性等の網膜疾患患者向け在宅・遠隔眼科医療モニタリングデバイス「PBOS(Patient Based Ophthalmology Suite)」、スターガルト病を適応症とした治療薬候補品「エミクススタト塩酸塩」の3品となる。
1. ウェアラブル近視デバイスの動向
近視の大半は、眼軸長※1が伸び網膜にピントが合わなくなることによって視力が低下する軸性近視と言われている。「クボタメガネテクノロジー」はAR(Argument Reality:拡張現実)技術によって、Myopic defocus(近視性デフォーカス)という周辺網膜より手前にピントを合わせた画像をマイクロLEDによって投影することで、伸びた眼軸長を短縮する技術となる。臨床試験の結果では、競合製品と比較して眼軸伸長抑制率や近視進行抑制率において優れたデータが得られ、安全性の面でも国際標準化機構の認証を取得し担保されている。装用時間も1日1~2時間と短く、効率的に近視の進行を抑制できる技術として、近視を研究する医師等の間で高い評価を受けている。同技術を用いた「Kubota Glass」が2022年6月に米国FDA(米国食品医薬品局)にて医療機器として登録され販売を開始したほか、日本でも同年8月より野外活動を再現するAR機器として眼科医や複数の小売店、ECで販売を開始した(販売価格は税込77万円)。まだソフトローンチ※2の段階であり、2023年12月期は国内で取扱い販売店の拡大と合わせてサプライチェーンの改善や製品改良を進め、また臨床試験によるエビデンスを積み上げる予定だ。最終的には近視進行抑制デバイスとして販売承認を取得し、世界各国で販売することを目指す。世界の近視用レンズ市場は近視人口の増加に伴い、2021年の244億米ドルから2025年には270億米ドルに達すると予想されており、潜在的な市場規模は大きい。近視抑制効果は各社が開発しているデバイスのなかでも最も高いと見られ、海外から日本へ買い求めにくる顧客もいるようでニーズは確実にあると考えられる。今後は近視抑制デバイスとしての販売承認取得だけでなく、低コスト化が普及拡大のカギを握ることとなりそうだ。
※1 角膜から網膜までの長さ。成人の場合、平均約24mmで、1~2mmでも長くなると、ピントが網膜より手前で合ってしまうため、遠くが見えにくくなる(=近視)。
※2 製造から販売、配送、アフターケアまでのプロセスにおけるトラブルシューティング及びマーケットフィットの検証を目的としたテスト販売。
2. そのほか主要パイプラインの動向
遺伝性網膜疾患であるスターガルト病を適応症として進められてきた「エミクススタト塩酸塩」の第3相臨床試験に関するトップラインデータで、主要評価項目であった黄斑委縮の進行率でプラセボ群との有意差が得られなかったことを2022年8月に発表した。ただ、その後のデータ解析から初期症状段階の被験者群では有意差が得られていることが確認されたため、同試験データをもとに共同開発パートナーとの提携を模索し、提携先が見つかれば再挑戦する意向だ。「PBOS」については、2023年1月より米国のジョスリン糖尿病センターにて糖尿病網膜症患者を対象とした臨床試験を開始した。同試験の結果をもとにパートナー候補企業と協議を進め、米国での共同開発や商業化の可能性を模索していく。
3. 業績動向
2022年12月期の連結業績は、事業収益で8百万円(前期比8百万円増)、営業損失で2,038百万円(同546百万円縮小)となった。事業収益は「Kubota Glass」の日米での販売による。費用面では、エミクススタト塩酸塩やウェアラブル近視デバイスの開発費用を中心に研究開発費が前期比527百万円減少し、営業損失の縮小要因となった。2023年12月期の業績見通しについては、「Kubota Glass」の販売動向が見通しにくいことや、研究開発費も減少方向ではあるものの状況によって変動する可能性があることから、現時点では合理的な算定が困難と判断し非開示とした。なお、2022年12月期末の手元資金は4,048百万円で、約2年分の事業活動資金を確保しているものの、まだ開発ステージの段階にあることから、資金調達については適宜検討する方針となっている。
■Key Points
・「Kubota Glass」を2022年に販売開始、今後も製品改良や臨床試験によるエビデンスを積み上げながら育成する方針
・「PBOS」は糖尿病網膜症を対象とした医師主導の臨床試験を2023年より米国で開始
・エミクススタト塩酸塩はスターガルト病第3相臨床試験において、初期症状患者での有効性が示唆されたことで共同開発パートナーを探す段階に
・2023年12月期は研究開発費が減少する一方で、「Kubota Glass」の販売拡大に向けた費用を投下する方針
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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