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アンジェスのニュース
*12:46JST アンジェス Research Memo(6):NF-κBデコイオリゴDNAは椎間板性腰痛症を対象とした第2相臨床試験開始
■アンジェス<4563>の主要開発パイプラインの動向
2. NF-κBデコイオリゴDNA
NF-κBデコイオリゴDNAは、人工核酸により遺伝子の働きを制御する「核酸医薬」の一種で、生体内で免疫・炎症反応を担う転写因子となるタンパク質(NF-κB)に対する特異的な阻害剤となる。NF-κBがゲノムの特定の配列領域(炎症を引き起こすゲノム)に結合し、スイッチが入ることで痛みなどの炎症の原因となるタンパク質が生成されるが、NF-κBデコイオリゴDNAを体内に入れることで、炎症を引き起こすゲノムとNF-κBが結合しにくくなり、炎症の原因となるタンパク質の生成を抑制するメカニズムである。
現在は、椎間板性腰痛症を対象とした臨床開発を進めている。椎間板性腰痛症の患部にNF-κBデコイオリゴDNA(開発コードAMG0103)を単回注射投与することによって、慢性腰痛に対する鎮痛効果とともに椎間板変性に対する進行抑制や修復を促す効果が期待されている。2021年4月に発表された米国での後期第1相臨床試験(プラセボ対照無作為化二重盲検試験、25症例、観察期間12ヶ月)の結果によると安全性及び忍容性に問題はなく、また有効性においても投与量3群(0.3mg、3.0mg、10.0mg)のうち最大投与量群において投与後早期に腰痛が大幅軽減したほか、腰痛の軽減期間も12ヶ月後まで継続したことが確認されるなどの効果が確認された。治験担当医師からも「AMG0103は素晴らしい安全性プロファイルを有し、12ヶ月にわたり腰痛を有意に軽減しており、慢性椎間板性腰痛症に苦しむ患者に対して画期的治療薬となる可能性があると考えています。さらに、腰痛の軽減に加えて、椎間板の高さを回復させる可能性が示唆されたことは注目に値します。」とのコメントが得られている。慢性椎間板性腰痛症に関しては、一般療法としてステロイド注射が行われるケースが多いが、同治療薬との比較においても同等以上の効果が得られたとしている。ステロイドが一時的な対処療法であるのに対してAMG0103は炎症を抑制する効果があり、その結果として腰痛の症状が改善することが理由と考えられる。
同社ではこの臨床試験結果を受け、国内で開発を進める方針を決定した。国内でも慢性椎間板性腰痛症患者は多く、事業化が可能と判断したためだ。2023年3月には塩野義製薬と第2相臨床試験に関する開発協力契約を締結し、開発費の一部拠出が実施され、同年6月より被験者※の募集(予定症例数92例)を開始している。最初の2例で今回の試験で最大投与量となる20.0mgの投与を行い、安全性及び忍容性を確認したのちに10mg群、20mg群、プラセボ群の3群に分類して比較試験を実施する。20.0mg投与については動物実験で安全性等に問題のないことが確認されており、より高い効果が期待できる可能性があることから設定した。観察期間は12ヶ月間で、有効性評価については「痛み」の指標となるNRSスコアの変化を見ることになる。順調に進めば2026年頃に第2相臨床試験の結果が得られる見通しで、良好な内容であればライセンス契約の締結や、次の開発ステージに向けて塩野義製薬と協議することになる。
※対象者は18~75歳で3ヶ月以上持続する腰痛を有し、腰痛のNRSスコア(自己申告による痛みの指標)が臀部痛や下肢痛のNRSスコアよりも大きく、腰痛に対する保存的治療で効果が不十分な患者とする。スクリーニング時点の腰痛のNRSスコアは4~9の患者(中等度から強い痛み)で、かつ、投与実施日当日及び前日のNRSスコアが4~9の患者。
慢性椎間板性腰痛症で苦しむ患者は国内で167万人程度と推計されており、現在は内服・外用薬治療など対処療法が主に行われている。AMG0103は単回投与で長期間の効果持続が見込まれるため、患者の受けるメリットも大きい。開発に成功すれば、慢性椎間板性腰痛症に使用される世界初の核酸医薬品となる可能性があり、同臨床試験の結果が注目される。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
<SO>
2. NF-κBデコイオリゴDNA
NF-κBデコイオリゴDNAは、人工核酸により遺伝子の働きを制御する「核酸医薬」の一種で、生体内で免疫・炎症反応を担う転写因子となるタンパク質(NF-κB)に対する特異的な阻害剤となる。NF-κBがゲノムの特定の配列領域(炎症を引き起こすゲノム)に結合し、スイッチが入ることで痛みなどの炎症の原因となるタンパク質が生成されるが、NF-κBデコイオリゴDNAを体内に入れることで、炎症を引き起こすゲノムとNF-κBが結合しにくくなり、炎症の原因となるタンパク質の生成を抑制するメカニズムである。
現在は、椎間板性腰痛症を対象とした臨床開発を進めている。椎間板性腰痛症の患部にNF-κBデコイオリゴDNA(開発コードAMG0103)を単回注射投与することによって、慢性腰痛に対する鎮痛効果とともに椎間板変性に対する進行抑制や修復を促す効果が期待されている。2021年4月に発表された米国での後期第1相臨床試験(プラセボ対照無作為化二重盲検試験、25症例、観察期間12ヶ月)の結果によると安全性及び忍容性に問題はなく、また有効性においても投与量3群(0.3mg、3.0mg、10.0mg)のうち最大投与量群において投与後早期に腰痛が大幅軽減したほか、腰痛の軽減期間も12ヶ月後まで継続したことが確認されるなどの効果が確認された。治験担当医師からも「AMG0103は素晴らしい安全性プロファイルを有し、12ヶ月にわたり腰痛を有意に軽減しており、慢性椎間板性腰痛症に苦しむ患者に対して画期的治療薬となる可能性があると考えています。さらに、腰痛の軽減に加えて、椎間板の高さを回復させる可能性が示唆されたことは注目に値します。」とのコメントが得られている。慢性椎間板性腰痛症に関しては、一般療法としてステロイド注射が行われるケースが多いが、同治療薬との比較においても同等以上の効果が得られたとしている。ステロイドが一時的な対処療法であるのに対してAMG0103は炎症を抑制する効果があり、その結果として腰痛の症状が改善することが理由と考えられる。
同社ではこの臨床試験結果を受け、国内で開発を進める方針を決定した。国内でも慢性椎間板性腰痛症患者は多く、事業化が可能と判断したためだ。2023年3月には塩野義製薬と第2相臨床試験に関する開発協力契約を締結し、開発費の一部拠出が実施され、同年6月より被験者※の募集(予定症例数92例)を開始している。最初の2例で今回の試験で最大投与量となる20.0mgの投与を行い、安全性及び忍容性を確認したのちに10mg群、20mg群、プラセボ群の3群に分類して比較試験を実施する。20.0mg投与については動物実験で安全性等に問題のないことが確認されており、より高い効果が期待できる可能性があることから設定した。観察期間は12ヶ月間で、有効性評価については「痛み」の指標となるNRSスコアの変化を見ることになる。順調に進めば2026年頃に第2相臨床試験の結果が得られる見通しで、良好な内容であればライセンス契約の締結や、次の開発ステージに向けて塩野義製薬と協議することになる。
※対象者は18~75歳で3ヶ月以上持続する腰痛を有し、腰痛のNRSスコア(自己申告による痛みの指標)が臀部痛や下肢痛のNRSスコアよりも大きく、腰痛に対する保存的治療で効果が不十分な患者とする。スクリーニング時点の腰痛のNRSスコアは4~9の患者(中等度から強い痛み)で、かつ、投与実施日当日及び前日のNRSスコアが4~9の患者。
慢性椎間板性腰痛症で苦しむ患者は国内で167万人程度と推計されており、現在は内服・外用薬治療など対処療法が主に行われている。AMG0103は単回投与で長期間の効果持続が見込まれるため、患者の受けるメリットも大きい。開発に成功すれば、慢性椎間板性腰痛症に使用される世界初の核酸医薬品となる可能性があり、同臨床試験の結果が注目される。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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