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アンジェス Research Memo(1):コラテジェン(R)とゾキンヴィの製造販売承認申請を2023年5月に行う

配信元:フィスコ
投稿:2023/07/19 14:41
*14:41JST アンジェス Research Memo(1):コラテジェン(R)とゾキンヴィの製造販売承認申請を2023年5月に行う ■要約

アンジェス<4563>は、1999年に設立された大阪大学発のバイオベンチャーで、遺伝子医薬を中核とした開発を進めており、長期ビジョンとして「遺伝子医薬のグローバルリーダー」になることを目指している。新薬候補品を開発し、販売パートナーとの販売権許諾契約によって得られる契約一時金や、開発の進捗状況などによって得られるマイルストーン収入、上市後の製品売上高にかかるロイヤリティ収入を獲得するビジネスモデルである。2020年12月に米国で先進ゲノム編集技術の開発を行うEmendoBio Inc.(以下、Emendo)を子会社化した。

1. 「コラテジェン(R)」と「ゾキンヴィ」の製造販売承認申請へ
2023年5月に国内で「コラテジェン(R)」と「ゾキンヴィ」の製造販売承認申請を行った。「コラテジェン(R)」は慢性動脈閉塞症の潰瘍改善の効能効果で2019年3月に条件及び期限付きで承認され、その後市販後調査で一定の症例データを蓄積し、データの再現性が得られたことで本承認申請を行った。条件付きで承認された品目では初の本承認申請となる。審査期間は定められていないものの、一度審査を実施していることもあり通常審査よりも短期間で済むものと予想され、同社は薬価についても適正な利潤が得られる水準となるように協議していく意向だ。また、米国では後期第2相臨床試験の被験者登録が完了し、2024年前半にも結果が判明する見通しで、好結果が得られれば早期承認制度を活用して承認申請を行いたい考えだ。一方、米Eiger Bio Pharmaceuticals Inc.(以下、アイガー)から導入したハッチンソン・ギルフォード・プロジェリア症候群(以下、HGPS)及びプロジェロイド・ラミノパチー(以下、PL)※1を適応症とした治療薬「ゾキンヴィ」※2は、2023年3月にオーファン・ドラッグ指定を受けており、年内もしくは2024年早々にも承認が降りる公算が大きい。対象患者数は10人未満と少ないが、薬価次第では年間数億円程度の売上になる可能性もある。

※1 HGPSやPLは遺伝子の突然変異により発症し、平均14.5歳までに心臓病(動脈硬化症)で死亡するのが一般的とされる。病気の症状としては深刻な成長障害、強皮症に似た皮膚、全身性脂肪性筋萎縮症、脱毛症、骨格形成不全、心血管系の衰えを伴う全身性動脈硬化の促進、衰弱性の脳卒中が含まれる。世界の患者数は600人程度で、日本でも難病指定されており、数名程度の患者が確認されている。
※2 HGPSの死亡リスク低減、プロセシング不全性早老性PLの治療薬として、2020年11月に米国、その後欧州でも承認された。臨床試験の結果ではHGPS患者において死亡率を60%減少させ、平均生存期間を2.5年延長させることができたとしている。開発元はメルクでアイガーはメルクから全世界での独占的権利をライセンスされた。


2. その他の主な開発パイプラインの動向
国内で椎間板性腰痛症を適応症としたNF-κBデコイオリゴDNAの第2相臨床試験を2023年内に開始する予定となっている。米国で実施した後期第1相臨床試験では、痛みを長期間にわたって軽減する効果が確認されており、国内でも2~3年かけて同様の試験を実施し再現性を確認する。2023年3月には第2相臨床試験の一部費用負担に関する契約を塩野義製薬<4507>と締結しており、同試験結果が良好であればライセンス契約に発展し、次の開発ステージに進むものと予想される。一方、子会社のEmendoでは希少遺伝性疾患であるELANE(好中球エラスターゼ遺伝子)関連重症先天性好中球減少症(以下、SCN)※を対象としたゲノム編集治療薬の臨床試験を2023年10~12月に米国で開始し、2027年の実用化入りを目指している。Emendoはその他にも複数の開発パイプラインで前臨床試験を進めているほか、開発プラットフォームのライセンスビジネスに向けた交渉も10社程度と進めており、年内にも成果を出したい考えだ。Emendoでは今後、IPOも選択肢に含め、研究開発費を自力で調達していくことを目指している。

※顆粒球系細胞の成熟障害により発症する好中球減少症で、発症すると細菌感染などが起きやすくなり、中耳炎や気道感染症、皮膚感染症等を繰り返し、敗血症等により死亡することもある。


3. 業績動向
2023年12月期第1四半期の事業収益は前年同期比7.9%増の16百万円、営業損失は3,036百万円(前年同期は3,543百万円の損失)となった。事業収益は希少遺伝性疾患のオプショナルスクリーニング検査による手数料収入が増加した。費用面では、円安に伴うのれん償却額の増加(前年同期比87百万円増)があったものの、国内での新型コロナウイルスワクチン開発に関する費用がなくなったことにより研究開発費が688百万円減少し、営業損失の縮小要因となった。

2023年12月期の業績は事業収益で前期比123百万円増の190百万円、営業損失で同816百万円縮小の15,500百万円を見込む。事業収益は主にオプショナルスクリーニング検査業務の拡大が増収要因となるが、「コラテジェン(R)」も若干の増収を見込んでいる。費用面では販管費が若干の増加を見込むが、研究開発費が若干減少し営業損失の縮小要因となる。また、営業外収支で新型コロナウイルスワクチン開発に関連した補助金収入の計上が見込まれるため、経常損失は9,900百万円と前期の14,610百万円から大幅縮小する。なお、同社は今後の研究開発費用等の資金調達を目的として、2023年7月に第三者割当による行使価額修正条項付き新株予約権の発行を予定している。当初行使価額は122円(下限行使価額74円)で潜在株式数は44,639千株、希薄化率は24.99%となる。

■Key Points
・「コラテジェン(R)」は国内で2023年5月に本承認を申請、米国の後期第2相臨床試験は2024年前半に結果が判明する見通し
・NF-κBデコイオリゴDNAは椎間板性腰痛症を対象とした第2相臨床試験を日本で開始予定。同試験結果が良好であれば、塩野義製薬とのライセンス契約に発展する見通し
・Emendoは2023年内の臨床試験開始と2024年以降のIPO、大型共同開発契約の早期実現を目指す
・2023年12月期の経常損失は補助金収入の計上により縮小見込み

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

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配信元: フィスコ
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