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テラスカイのニュース
■業績動向
1. 2022年2月期の業績概要
テラスカイ<3915>の2022年2月期の連結業績は、売上高が前期比12.9%増の12,578百万円と過去最高を連続更新した一方で、営業利益は同15.5%減の658百万円、経常利益は同15.2%減の661百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は同87.5%減の306百万円と3期ぶりの減益に転じた。
企業のDXへの取り組みが活発化するなか、Salesforceを中心にクラウドシステムの導入意欲は旺盛で、売上高は2ケタ増収が続いた。一方、経常利益は単体ベースで前期比82百万円増の450百万円となったものの、新設子会社4社(Quemix、TerraSky(Thailand)、リベルスカイ、テラスカイ・テクノロジーズ)で先行投資を実施し、合計260百万円の経常損失を計上※したことや、BeeXも大型案件が一巡した反動により同69百万円減の260百万円となったことが減益要因となった。子会社のうち、キットアライブやCuonについては増収増益となり、2021年2月に子会社化したエノキも金額は小さいながらも利益貢献した。なお、親会社株主に帰属する当期純利益については前期に特別利益として計上した投資有価証券売却益2,806百万円がなくなったことで大幅減益となっている。
※経常損失額は大きい順にテラスカイ・テクノロジーズ、Quemix、リベルスカイ、Terrasky(Thailand)となっており、テラスカイ・テクノロジーズで半分以上を占めたと見られる。2021年2月期はQuemixとTerrasky(Thailand)の2社で数千万円の経常損失となった。
会社計画比では売上高で4.4%下回ったものの、営業利益は22.9%上回った。売上高については、コロナ禍でTerraSky(Thailand)の稼働開始が2023年2月期にずれ込んだことや、テラスカイ・テクノロジーズの事業開始の遅れ、製品事業の売上高が全般的にやや計画に届かなかったことが未達要因となった。一方、営業利益についてはテラスカイ・テクノロジーズ及びTerrasky(Thailand)の稼働開始遅れやグループ全体の期末従業員数が777名と当初計画の800名を下回ったことにより、人件費を中心に費用が想定を下回ったことが上振れ要因となった。
ソリューション事業は2ケタ増収を継続、製品事業は大型案件の一巡で一時的に成長鈍化
2. 事業セグメント別の動向
(1) ソリューション事業
ソリューション事業の売上高はSalesforceを中心にクラウドサービスの導入開発案件が増加したことにより、前期比16.5%増の11,159百万円と2ケタ増収が続いた。また、セグメント利益(営業利益)も子会社の先行投資による損失計上やBeeXの減益があったものの、同11.4%増の1,702百万円と2ケタ増益を達成した。利益率は前期の15.9%から15.3%に低下したものの、子会社4社の損失計上分を除けば18%程度まで上昇していたことになる。四半期別の業績推移は、第4四半期が売上高で前年同期比24.4%増の3,157百万円、セグメント利益で同55.5%増の511百万円と過去最高を更新しており、企業のクラウドシステムへの投資意欲は旺盛でエンジニアのリソース不足が続いている状況に変わりない。
会社別で見ると、同社単体が2ケタ増収増益と好調に推移したほか、キットアライブやCuonも増収増益となった。CuonについてはWebシステム開発を得意としており、同社が受注した案件も振り向けるなどグループシナジーが生まれている効果もある。一方で、BeeXは2021年2月期の業績に寄与した大型開発案件(売上高で約6億円)がなくなった反動で増収ながらも減益となった。また、2021年に新設したテラスカイ・テクノロジーズではSalesforceやPardot等のクラウドサービスの保守・運用を行う認定資格保持者の人材派遣サービスを展開すべく、2021年6月から毎月10名程度の採用を開始し、期末時点で従業員数は75名まで増加した。認定資格を取得するための教育期間として数カ月程度を要するため、当初は費用が先行する格好で2022年2月期末時点における派遣の稼働率は約60%の水準となったもようだ。
量子コンピュータ関連の研究開発を行うQuemixでは、ライセンスビジネスで収益化を図るためのアルゴリズム開発や論文作成に取り組むなど現在は先行投資段階となっている。2021年9月には防衛装備庁の公募事業「安全保障技術研究推進制度」に、国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構並びに(一財)電力中央研究所と共同で提案した「海底・地下での長距離量子センシングに関する研究」※が採択されたことを発表している。
※この研究では、地場や温度を計測可能な量子センサでの長距離計測において課題となる計測系の光や高周波の減衰に焦点を絞り、炭化ケイ素を母材とするセンサ内の電子スピンを制御することで、観測点が遠方であっても安定で高感度な量子センシングを可能とする技術を開発する。
リベルスカイはGCPの構築やビッグデータ分析・AIコンサルティングサービスなどを展開すべく2021年に新設した子会社で、従業員数は数名程度と規模はまだ小さい。また、SalesforceのMAツールとなるPardotやMarketing Cloudの導入支援・運用・定着化支援を行う子会社としてDiceWorksを2022年1月に設立している。
(2) 製品事業
製品事業の売上高は前期比0.7%増の1,580百万円にとどまり、セグメント損失(営業損失)103百万円(前期はセグメント利益158百万円)を計上した。売上高のうちフロー売上(導入時の一時売上)は前第1四半期に計上した「DataSpider Cloud」の大型導入案件(約3億円)がなくなった影響で前期比58.7%減の188百万円と減少したものの、ストック売上(サブスク売上)に関しては「mitoco」の成長に加えて、「OMLINE」をソリューション事業から移管したことやエノキの売上が新たに加わったこともあり、同24.9%増の1,393百万円と2ケタ成長が続いた。なお、「OMLIN」とエノキの増収寄与分は合わせて80百万円程度と見られる。
一方、損益が悪化した要因はフロー売上の減少に加えて、「OMLINE」の事業移管に伴う人員増の影響(数千万円)及び自社イベント「TerrsSkyDays 2021 Online」の広告宣伝費負担によるものとなっている。なお、セグメント利益段階では損失を計上したものの、償却前利益段階では前期比57.2%減の200百万円と黒字を維持している。「mitoco」の開発費についてはピークを打ったもようで、開発に係る償却費も2023年2月期以降徐々に減少していくものと予想される。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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1. 2022年2月期の業績概要
テラスカイ<3915>の2022年2月期の連結業績は、売上高が前期比12.9%増の12,578百万円と過去最高を連続更新した一方で、営業利益は同15.5%減の658百万円、経常利益は同15.2%減の661百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は同87.5%減の306百万円と3期ぶりの減益に転じた。
企業のDXへの取り組みが活発化するなか、Salesforceを中心にクラウドシステムの導入意欲は旺盛で、売上高は2ケタ増収が続いた。一方、経常利益は単体ベースで前期比82百万円増の450百万円となったものの、新設子会社4社(Quemix、TerraSky(Thailand)、リベルスカイ、テラスカイ・テクノロジーズ)で先行投資を実施し、合計260百万円の経常損失を計上※したことや、BeeXも大型案件が一巡した反動により同69百万円減の260百万円となったことが減益要因となった。子会社のうち、キットアライブやCuonについては増収増益となり、2021年2月に子会社化したエノキも金額は小さいながらも利益貢献した。なお、親会社株主に帰属する当期純利益については前期に特別利益として計上した投資有価証券売却益2,806百万円がなくなったことで大幅減益となっている。
※経常損失額は大きい順にテラスカイ・テクノロジーズ、Quemix、リベルスカイ、Terrasky(Thailand)となっており、テラスカイ・テクノロジーズで半分以上を占めたと見られる。2021年2月期はQuemixとTerrasky(Thailand)の2社で数千万円の経常損失となった。
会社計画比では売上高で4.4%下回ったものの、営業利益は22.9%上回った。売上高については、コロナ禍でTerraSky(Thailand)の稼働開始が2023年2月期にずれ込んだことや、テラスカイ・テクノロジーズの事業開始の遅れ、製品事業の売上高が全般的にやや計画に届かなかったことが未達要因となった。一方、営業利益についてはテラスカイ・テクノロジーズ及びTerrasky(Thailand)の稼働開始遅れやグループ全体の期末従業員数が777名と当初計画の800名を下回ったことにより、人件費を中心に費用が想定を下回ったことが上振れ要因となった。
ソリューション事業は2ケタ増収を継続、製品事業は大型案件の一巡で一時的に成長鈍化
2. 事業セグメント別の動向
(1) ソリューション事業
ソリューション事業の売上高はSalesforceを中心にクラウドサービスの導入開発案件が増加したことにより、前期比16.5%増の11,159百万円と2ケタ増収が続いた。また、セグメント利益(営業利益)も子会社の先行投資による損失計上やBeeXの減益があったものの、同11.4%増の1,702百万円と2ケタ増益を達成した。利益率は前期の15.9%から15.3%に低下したものの、子会社4社の損失計上分を除けば18%程度まで上昇していたことになる。四半期別の業績推移は、第4四半期が売上高で前年同期比24.4%増の3,157百万円、セグメント利益で同55.5%増の511百万円と過去最高を更新しており、企業のクラウドシステムへの投資意欲は旺盛でエンジニアのリソース不足が続いている状況に変わりない。
会社別で見ると、同社単体が2ケタ増収増益と好調に推移したほか、キットアライブやCuonも増収増益となった。CuonについてはWebシステム開発を得意としており、同社が受注した案件も振り向けるなどグループシナジーが生まれている効果もある。一方で、BeeXは2021年2月期の業績に寄与した大型開発案件(売上高で約6億円)がなくなった反動で増収ながらも減益となった。また、2021年に新設したテラスカイ・テクノロジーズではSalesforceやPardot等のクラウドサービスの保守・運用を行う認定資格保持者の人材派遣サービスを展開すべく、2021年6月から毎月10名程度の採用を開始し、期末時点で従業員数は75名まで増加した。認定資格を取得するための教育期間として数カ月程度を要するため、当初は費用が先行する格好で2022年2月期末時点における派遣の稼働率は約60%の水準となったもようだ。
量子コンピュータ関連の研究開発を行うQuemixでは、ライセンスビジネスで収益化を図るためのアルゴリズム開発や論文作成に取り組むなど現在は先行投資段階となっている。2021年9月には防衛装備庁の公募事業「安全保障技術研究推進制度」に、国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構並びに(一財)電力中央研究所と共同で提案した「海底・地下での長距離量子センシングに関する研究」※が採択されたことを発表している。
※この研究では、地場や温度を計測可能な量子センサでの長距離計測において課題となる計測系の光や高周波の減衰に焦点を絞り、炭化ケイ素を母材とするセンサ内の電子スピンを制御することで、観測点が遠方であっても安定で高感度な量子センシングを可能とする技術を開発する。
リベルスカイはGCPの構築やビッグデータ分析・AIコンサルティングサービスなどを展開すべく2021年に新設した子会社で、従業員数は数名程度と規模はまだ小さい。また、SalesforceのMAツールとなるPardotやMarketing Cloudの導入支援・運用・定着化支援を行う子会社としてDiceWorksを2022年1月に設立している。
(2) 製品事業
製品事業の売上高は前期比0.7%増の1,580百万円にとどまり、セグメント損失(営業損失)103百万円(前期はセグメント利益158百万円)を計上した。売上高のうちフロー売上(導入時の一時売上)は前第1四半期に計上した「DataSpider Cloud」の大型導入案件(約3億円)がなくなった影響で前期比58.7%減の188百万円と減少したものの、ストック売上(サブスク売上)に関しては「mitoco」の成長に加えて、「OMLINE」をソリューション事業から移管したことやエノキの売上が新たに加わったこともあり、同24.9%増の1,393百万円と2ケタ成長が続いた。なお、「OMLIN」とエノキの増収寄与分は合わせて80百万円程度と見られる。
一方、損益が悪化した要因はフロー売上の減少に加えて、「OMLINE」の事業移管に伴う人員増の影響(数千万円)及び自社イベント「TerrsSkyDays 2021 Online」の広告宣伝費負担によるものとなっている。なお、セグメント利益段階では損失を計上したものの、償却前利益段階では前期比57.2%減の200百万円と黒字を維持している。「mitoco」の開発費についてはピークを打ったもようで、開発に係る償却費も2023年2月期以降徐々に減少していくものと予想される。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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