590円
クロス・マーケティンググループのニュース
■会社概要
1. 事業概要
クロス・マーケティンググループ<3675>は、子会社を通じてデジタルマーケティング支援を中心にマーケティングソリューション事業を展開する持株会社である。オンラインやオフラインのマーケティングリサーチを起点に、分析やレポーティング、ITソリューションやプロモーションといった事業を展開、総合的なマーケティングソリューション企業として、マーケティングプロセスで発生する様々な顧客の課題解決を支援している。現在、世界の社会・経済はDXといわれる変革の最中にあり、様々な分野でデジタル化が進展、マーケティング業界も、環境は様変わりし顧客ニーズの多様化が急速に進んでいる。同社はこうした変化を先取って、これまで業容を拡大し体質を強化してきた。その結果、2021年6月期(6カ月決算)には大幅増収増益になるなど大きな成果が現れつつある。こうした状況を弾みに同社は中期経営計画(2022年6月期~2024年6月期)を策定、さらなる飛躍に向けて新たなスタートを切ったところである。
事業の主軸を組み替えてさらなる成長を目指す
2. 沿革
同社は、2003年4月に現代表取締役社長兼CEOの五十嵐幹(いがらしみき)氏により、オンラインリサーチ専業の(株)クロス・マーケティングとして設立された。2006年5月に(株)ECナビ(現(株)VOYAGE GROUP (CARTA HOLDINGS)<3688>):アドプラットフォーム事業やポイントメディア事業を運営)と資本・業務提携、これを弾みに2007年3月には(株)電通リサーチ(現(株)電通マクロミルインサイト)や(株)ビデオリサーチなど大手リサーチ会社とも資本提携した。2008年10月に東証マザーズに上場し、2011年8月に(株)インデックスよりモバイルソリューション事業(現デジタルマーケティング事業)を譲り受け、中国(上海)に子会社を設立して海外進出を果たすなど事業領域の拡大を図ってきた。
2013年には社名を現在の(株)クロス・マーケティンググループとして持株会社化、2018年3月に東京証券取引所市場第1部への上場市場変更を果たした。その後は、サポタント(株)(現株式会社Fittio)などの有力企業のM&Aや、メディリードやD&Mなどの新規事業の創設など、構造改革を加速、後発ながらマーケティングリサーチ業界大手の1社として成長を続けてきた。しかし、2020年は新型コロナウイルス感染症の影響により、一時的ながら業界ともども業績が足踏みした。また、コロナ禍と並行するようにDXが大きな広がりを見せており、企業や社会の在り方が急速に変化してきた。こうした激動を受け、同社は2021年に事業の主軸をリサーチからデジタルマーケティングへと組み換えるとともに株式会社ドゥハウスの獲得による同事業を強化、また中期経営計画を策定してさらなる成長を目指すこととなった。
大きく変わるマーケティングリサーチ市場
3. 業界環境
マーケティングリサーチ市場は、消費者ニーズの多様化や企業業績の拡大などとともに安定して成長してきた。特に2000年以降、オンラインリサーチはインターネットの利用の広がりとともに急速に市場を拡大した。一方、近年、デジタル化の中でスマートフォンの位置データやウェブアクセスログなど大量のビッグデータを容易に取得できるようになってきた。企業であれば、そうしたビッグデータを分析し、インターネット広告やD2C※など様々な企業価値向上策に応用していくことになるのだが、多くの企業が取得したビッグデータをビジネスに活かすことができず、DXの流れに乗りきれない状況にある。
※D2C(Direct to Consumer):広告代理店や小売を挟まず、自社商品をインターネットなどで直接消費者に訴求し販売すること。
そこで、こうしたビッグデータを調査・分析し利用価値の高い情報へと変換するビジネスが必要となってくる。従来のデータの付加価値化は、リサーチやコンサルティング、IT、広告、マーケティングなど、各業界がそれぞれ得意分野に限ってアプローチしていたため部分最適にとどまることが多かった。しかし、ビッグデータの活用となると、業界を超えて全体最適が求められるようになる。このため、ビッグデータを活用して高付加価値化するビジネスは、DXの広がりとともに高い成長が期待されており、今やデジタルマーケティング市場とでもいうべき、ひとまとまりの大きな市場を形成しつある。同社はマーケティングリサーチやIT領域からのアプローチとなるが、事業の軸を組み換えるなど、変化をビジネスチャンスとして活かそうと考えている。
こうした市場の変化を受けてESOMAR(ヨーロッパ世論・市場調査協会)は、リサーチ市場を新たに、一部ITやコンサルティングを含んだ「さまざまなデータを収集・分析し、クライアントにインサイト※を提供する」市場と定義し直した。この結果、同社が関わってきたマーケティングリサーチのグローバル市場規模5.2兆円が、データ分析やレポート作成などを含むインサイト市場9.8兆円へと拡大することになった。また、2,200億円規模の国内リサーチ市場と、2.2兆円規模のD2C市場を含めると、同社がターゲットにする市場は、重複分などを考慮しても10兆円を超える規模になったと推定される。こうした市場は非常に広大で、1社ですべてをカバーできる企業はまだそう多くないと考えられるが、アンケートなど1次情報の取得を武器とする同社のようなオンラインリサーチ大手3社にとって、有利な市場になったということができる。大手3社も市場の変化を受けて成長戦略を講じているが、広大な市場ゆえ各社の方向感が微妙に異なり、競合しない分野も増えているという印象である。一方、他の業界からアプローチしてくる企業も多いが、現在のところ競争相手というより全体最適のための協業相手といった方が適当かもしれない。この点に関しては、同社もしっかり連携していく考えのようだ。
※インサイト(マーケティング用語):消費者の行動や思惑の背景にある意識構造を分析して得られる購買のトリガー。消費者の潜在ニーズを顕在化させるスイッチ。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)
<ST>
1. 事業概要
クロス・マーケティンググループ<3675>は、子会社を通じてデジタルマーケティング支援を中心にマーケティングソリューション事業を展開する持株会社である。オンラインやオフラインのマーケティングリサーチを起点に、分析やレポーティング、ITソリューションやプロモーションといった事業を展開、総合的なマーケティングソリューション企業として、マーケティングプロセスで発生する様々な顧客の課題解決を支援している。現在、世界の社会・経済はDXといわれる変革の最中にあり、様々な分野でデジタル化が進展、マーケティング業界も、環境は様変わりし顧客ニーズの多様化が急速に進んでいる。同社はこうした変化を先取って、これまで業容を拡大し体質を強化してきた。その結果、2021年6月期(6カ月決算)には大幅増収増益になるなど大きな成果が現れつつある。こうした状況を弾みに同社は中期経営計画(2022年6月期~2024年6月期)を策定、さらなる飛躍に向けて新たなスタートを切ったところである。
事業の主軸を組み替えてさらなる成長を目指す
2. 沿革
同社は、2003年4月に現代表取締役社長兼CEOの五十嵐幹(いがらしみき)氏により、オンラインリサーチ専業の(株)クロス・マーケティングとして設立された。2006年5月に(株)ECナビ(現(株)VOYAGE GROUP (CARTA HOLDINGS)<3688>):アドプラットフォーム事業やポイントメディア事業を運営)と資本・業務提携、これを弾みに2007年3月には(株)電通リサーチ(現(株)電通マクロミルインサイト)や(株)ビデオリサーチなど大手リサーチ会社とも資本提携した。2008年10月に東証マザーズに上場し、2011年8月に(株)インデックスよりモバイルソリューション事業(現デジタルマーケティング事業)を譲り受け、中国(上海)に子会社を設立して海外進出を果たすなど事業領域の拡大を図ってきた。
2013年には社名を現在の(株)クロス・マーケティンググループとして持株会社化、2018年3月に東京証券取引所市場第1部への上場市場変更を果たした。その後は、サポタント(株)(現株式会社Fittio)などの有力企業のM&Aや、メディリードやD&Mなどの新規事業の創設など、構造改革を加速、後発ながらマーケティングリサーチ業界大手の1社として成長を続けてきた。しかし、2020年は新型コロナウイルス感染症の影響により、一時的ながら業界ともども業績が足踏みした。また、コロナ禍と並行するようにDXが大きな広がりを見せており、企業や社会の在り方が急速に変化してきた。こうした激動を受け、同社は2021年に事業の主軸をリサーチからデジタルマーケティングへと組み換えるとともに株式会社ドゥハウスの獲得による同事業を強化、また中期経営計画を策定してさらなる成長を目指すこととなった。
大きく変わるマーケティングリサーチ市場
3. 業界環境
マーケティングリサーチ市場は、消費者ニーズの多様化や企業業績の拡大などとともに安定して成長してきた。特に2000年以降、オンラインリサーチはインターネットの利用の広がりとともに急速に市場を拡大した。一方、近年、デジタル化の中でスマートフォンの位置データやウェブアクセスログなど大量のビッグデータを容易に取得できるようになってきた。企業であれば、そうしたビッグデータを分析し、インターネット広告やD2C※など様々な企業価値向上策に応用していくことになるのだが、多くの企業が取得したビッグデータをビジネスに活かすことができず、DXの流れに乗りきれない状況にある。
※D2C(Direct to Consumer):広告代理店や小売を挟まず、自社商品をインターネットなどで直接消費者に訴求し販売すること。
そこで、こうしたビッグデータを調査・分析し利用価値の高い情報へと変換するビジネスが必要となってくる。従来のデータの付加価値化は、リサーチやコンサルティング、IT、広告、マーケティングなど、各業界がそれぞれ得意分野に限ってアプローチしていたため部分最適にとどまることが多かった。しかし、ビッグデータの活用となると、業界を超えて全体最適が求められるようになる。このため、ビッグデータを活用して高付加価値化するビジネスは、DXの広がりとともに高い成長が期待されており、今やデジタルマーケティング市場とでもいうべき、ひとまとまりの大きな市場を形成しつある。同社はマーケティングリサーチやIT領域からのアプローチとなるが、事業の軸を組み換えるなど、変化をビジネスチャンスとして活かそうと考えている。
こうした市場の変化を受けてESOMAR(ヨーロッパ世論・市場調査協会)は、リサーチ市場を新たに、一部ITやコンサルティングを含んだ「さまざまなデータを収集・分析し、クライアントにインサイト※を提供する」市場と定義し直した。この結果、同社が関わってきたマーケティングリサーチのグローバル市場規模5.2兆円が、データ分析やレポート作成などを含むインサイト市場9.8兆円へと拡大することになった。また、2,200億円規模の国内リサーチ市場と、2.2兆円規模のD2C市場を含めると、同社がターゲットにする市場は、重複分などを考慮しても10兆円を超える規模になったと推定される。こうした市場は非常に広大で、1社ですべてをカバーできる企業はまだそう多くないと考えられるが、アンケートなど1次情報の取得を武器とする同社のようなオンラインリサーチ大手3社にとって、有利な市場になったということができる。大手3社も市場の変化を受けて成長戦略を講じているが、広大な市場ゆえ各社の方向感が微妙に異なり、競合しない分野も増えているという印象である。一方、他の業界からアプローチしてくる企業も多いが、現在のところ競争相手というより全体最適のための協業相手といった方が適当かもしれない。この点に関しては、同社もしっかり連携していく考えのようだ。
※インサイト(マーケティング用語):消費者の行動や思惑の背景にある意識構造を分析して得られる購買のトリガー。消費者の潜在ニーズを顕在化させるスイッチ。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)
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