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ウイルプラスホールディングスのニュース
■ウイルプラスホールディングス<3538>の事業戦略
1. 国内の自動車市場動向
少子高齢化により、日本の人口は2008年に1億2,808万人でピークを打ち減少傾向にある。2020年2月の概算値では、1憶2,601万人とピークより200万人強減少した。若者のクルマ離れや高齢者の運転免許返上が取りざたされているが、(一社)日本自動車工業会の統計によると2017年末の普通車、小型車、軽自動車を合わせた乗用車保有台数は6,180.4万台と最高水準を更新している。2017年末の乗用車保有台数は、1999年末と比べて1,063.9万台増加したが、その内訳は、普通車が578.6万台増、小型車が836.6万台減、軽乗用車が1,321.9万台増であった。1999年末から2017年への構成比の推移としては、普通車が25.4%から30.4%へ、小型車が57.1%から33.7%へ、軽乗用車が17.5%から35.9%へと変化した。消費者の購買行動が二極化し、小型車がシェアを落としたと言える。また、軽自動車の規格が、エンジンの排気量が360ccから550cc、さらに660ccへ増加し、ボディサイズも全長が3メートルから3.4メートルへ、全幅は1.3メートルから1.48メートルへ拡大されたことで、実用本位の消費者は軽自動車に流れ、趣味性やライフスタイル、価値観を重視する人は普通車に向かった。
新車販売は、景気や金利、新型モデルの発売時期などの影響を受ける。乗用車の新規登録台数は、2004年の476.8万台がピークとなり、リーマンショックの影響が出た2009年に392.4万台と400万台割れを記録した。2011年は、3月に東日本大震災が発生したことで352.5万台まで落ち込んだ。その後は400万台まで回復し、2019年には430.1万台となった。乗用車新規登録台数の内訳を1999年と2019年で比較すると、普通車が17.4%から36.9%へ、小型車が52.8%から28.7%へ、軽乗用車が29.8%から34.4%へと推移しており、小型車がシェアを大きく落としたことがうかがえる。
輸入車(外国メーカー)新規登録台数は、1999年の27.1万台からリーマンショック後の2009年に16.8万台まで縮小したが、その後は回復に転じ、2019年は32.6万台となった。日本の独自規格である軽自動車を含まない、登録車(普通車及び小型車の乗用車)に対する輸入乗用車のシェアは、1999年が9.3%、2009年が6.4%、2019年11.6%であった。世界最大規模の自動車メーカーであるVWや、高級車ブランドのMercedes-Benz、日本でも人気ブランドのBMWを擁するドイツでも、輸入車のシェアは39.2%と高い。なお、米国は23.2%、イタリアでは73.5%であることから、同社グループでは日本の輸入車シェアの拡大余地は大きいと見ている。
2. 同社の成長戦略
同社グループの成長戦略は、(1)マルチブランド戦略、(2)ドミナント戦略、(3)M&A戦略である。
(1) マルチブランド戦略
同社グループは、10ブランドを扱うマルチブランド戦略を採っている。かつて、自動車のモデルチェンジのパターンは、2年でマイナー、4年でフルモデルチェンジであったが、最近ではフルモデルチェンジの期間は6~7年に長期化している。新車開発が走行性能よりも排ガス規制やADAS(先進運転支援システム)などの安全装備主体となっており、消費者の関心もカタログ上の燃費競争よりもデザイン性や居住性、安全性にシフトしているためである。サイクルの長期化により、販売量の波は小さくなっているものの、モデル末期の販売低下や競合車種の新モデル投入に影響を受ける。同社は10ブランドを扱うことにより、モデルチェンジによる販売サイクルの波をブランド間の新型モデル投入時期の差異により打ち消し合い、平準化を図っている。
2019年(暦年)の外国メーカー車新規登録台数のランキングにおいて、同社が取り扱う10のブランドはいずれもトップ20に入っている。同社のブランドの選択基準は、1)ブランド内において主要なディーラーとなる可能性と2)ブランド力が強くコンスタントな販売が見込まれることである。同社は、未取扱いブランドの9以上をターゲットブランドとしている。一般的には、海外メーカーの日本子会社であるインポーターが、ディーラー契約に基づくエリア毎の販売権をディーラーに付与し販売させるが、エリアは既に埋まっていることが多いため、既存のディーラーを買収もしくは事業譲受するM&A戦略が重要になる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 瀬川 健)
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1. 国内の自動車市場動向
少子高齢化により、日本の人口は2008年に1億2,808万人でピークを打ち減少傾向にある。2020年2月の概算値では、1憶2,601万人とピークより200万人強減少した。若者のクルマ離れや高齢者の運転免許返上が取りざたされているが、(一社)日本自動車工業会の統計によると2017年末の普通車、小型車、軽自動車を合わせた乗用車保有台数は6,180.4万台と最高水準を更新している。2017年末の乗用車保有台数は、1999年末と比べて1,063.9万台増加したが、その内訳は、普通車が578.6万台増、小型車が836.6万台減、軽乗用車が1,321.9万台増であった。1999年末から2017年への構成比の推移としては、普通車が25.4%から30.4%へ、小型車が57.1%から33.7%へ、軽乗用車が17.5%から35.9%へと変化した。消費者の購買行動が二極化し、小型車がシェアを落としたと言える。また、軽自動車の規格が、エンジンの排気量が360ccから550cc、さらに660ccへ増加し、ボディサイズも全長が3メートルから3.4メートルへ、全幅は1.3メートルから1.48メートルへ拡大されたことで、実用本位の消費者は軽自動車に流れ、趣味性やライフスタイル、価値観を重視する人は普通車に向かった。
新車販売は、景気や金利、新型モデルの発売時期などの影響を受ける。乗用車の新規登録台数は、2004年の476.8万台がピークとなり、リーマンショックの影響が出た2009年に392.4万台と400万台割れを記録した。2011年は、3月に東日本大震災が発生したことで352.5万台まで落ち込んだ。その後は400万台まで回復し、2019年には430.1万台となった。乗用車新規登録台数の内訳を1999年と2019年で比較すると、普通車が17.4%から36.9%へ、小型車が52.8%から28.7%へ、軽乗用車が29.8%から34.4%へと推移しており、小型車がシェアを大きく落としたことがうかがえる。
輸入車(外国メーカー)新規登録台数は、1999年の27.1万台からリーマンショック後の2009年に16.8万台まで縮小したが、その後は回復に転じ、2019年は32.6万台となった。日本の独自規格である軽自動車を含まない、登録車(普通車及び小型車の乗用車)に対する輸入乗用車のシェアは、1999年が9.3%、2009年が6.4%、2019年11.6%であった。世界最大規模の自動車メーカーであるVWや、高級車ブランドのMercedes-Benz、日本でも人気ブランドのBMWを擁するドイツでも、輸入車のシェアは39.2%と高い。なお、米国は23.2%、イタリアでは73.5%であることから、同社グループでは日本の輸入車シェアの拡大余地は大きいと見ている。
2. 同社の成長戦略
同社グループの成長戦略は、(1)マルチブランド戦略、(2)ドミナント戦略、(3)M&A戦略である。
(1) マルチブランド戦略
同社グループは、10ブランドを扱うマルチブランド戦略を採っている。かつて、自動車のモデルチェンジのパターンは、2年でマイナー、4年でフルモデルチェンジであったが、最近ではフルモデルチェンジの期間は6~7年に長期化している。新車開発が走行性能よりも排ガス規制やADAS(先進運転支援システム)などの安全装備主体となっており、消費者の関心もカタログ上の燃費競争よりもデザイン性や居住性、安全性にシフトしているためである。サイクルの長期化により、販売量の波は小さくなっているものの、モデル末期の販売低下や競合車種の新モデル投入に影響を受ける。同社は10ブランドを扱うことにより、モデルチェンジによる販売サイクルの波をブランド間の新型モデル投入時期の差異により打ち消し合い、平準化を図っている。
2019年(暦年)の外国メーカー車新規登録台数のランキングにおいて、同社が取り扱う10のブランドはいずれもトップ20に入っている。同社のブランドの選択基準は、1)ブランド内において主要なディーラーとなる可能性と2)ブランド力が強くコンスタントな販売が見込まれることである。同社は、未取扱いブランドの9以上をターゲットブランドとしている。一般的には、海外メーカーの日本子会社であるインポーターが、ディーラー契約に基づくエリア毎の販売権をディーラーに付与し販売させるが、エリアは既に埋まっていることが多いため、既存のディーラーを買収もしくは事業譲受するM&A戦略が重要になる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 瀬川 健)
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