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日本調剤のニュース
■会社概要
2. 保険薬局事業
(1) 事業規模と業界内でのポジショニング
保険薬局事業セグメントの事業内容は、調剤薬局の運営と病院内売店の運営の2つだ。このうち、店舗数では調剤薬局が全体の約97%を占め、また売上高でも同様の構成比と推測される。
調剤薬局業界におけるクオールホールディングス<3034>のポジショニングは、店舗数で第2位、売上高で第3位というものだ。2019年3月期末時点で同社は調剤薬局745店舗(売店21店舗を含む総店舗数は766店舗)を擁し、上場している調剤専門チェーンの中ではアインホールディングス<9627>に次ぐ位置にある。売上高についてはアインホールディングス、日本調剤<3341>に次いで上場企業の中では業界第3位の位置にある。同社の店舗当たり売上高が業界で平均的水準にあるのに対して日本調剤のそれは業界平均を上回っているため、売上高では同社を逆転している。両社の店舗当たり売上高の差は店舗戦略の違いに起因している。
(2) 店舗戦略
保険薬局事業における同社の事業戦略上の特徴は、タイプの大きく異なる2つの業態で事業を展開していることだ。1つは『マンツーマン薬局』であり、もう1つはコンビニ大手であるローソン<2651>やJR西日本<9021>のグループ会社などの異業種との連携による新業態薬局の展開だ。
『マンツーマン薬局』というのは同社の通常のクオール店舗を対象とした店舗展開の基本スタンスを表象するコンセプトであり、事業モデルにおける“コアビジネス”でもある。そのポイントは処方元医療機関とクオール薬局との深い連携関係にある。“マンツーマン”という言葉は医療機関との深い連携関係をするために使用されていると弊社では理解している。マンツーマン(1対1)という言葉からは、1つのクオール薬局は1つの処方元医療機関とだけ連携を深めるとイメージしがちだ。しかし実際には、1つの薬局は複数の医療機関と深い連携関係を構築していることが多いもようだ。
マンツーマン薬局では医療機関との連携を生かして効率的でローコストのオペレーションを実現し、その果実を患者のためのサービス向上に投資することを目指している。より具体的には、当該店舗がマンツーマン関係にある処方元医療機関の診療科目や地域性等に応じて店舗設計や機能を変化させた店づくりを追求している。その原資はマンツーマン経営の利点である医薬品在庫の効率化を始めとする店舗の低コスト構造から生み出される。同社はマンツーマン薬局のコンセプトのもと、患者にとって利用価値の高い、患者から選ばれる薬局づくりを店舗戦略の中核に位置付けている。また、医療機関との連携を本質とするマンツーマン薬局のコンセプトは、国が掲げる『患者のための薬局ビジョン』に沿ったものと言え、成長戦略においても重要なポイントとなっている。
もう1つの業態である、異業種との連携による“新業態”薬局の展開は、2009年6月の薬事法改正により、コンビニやドラッグストア、スーパーなどの他業種店舗が登録業者として一般用医薬品(いわゆる大衆薬)を販売可能となったことが背景にある。これを機に他業種から調剤薬局事業に参入する流れを受けて、それを迎え撃つ施策として同社は前述の2社との事業提携に踏み切った。その後もビックカメラ<3048>等の異業種との事業連携等を逐次推進してきている。
事業提携を通じた店舗が“新業態”とされるのは、前出の“マンツーマン薬局”との対比において、ターゲット顧客層が異なることがその理由だ。前述のようにマンツーマン薬局では顧客層がある程度絞り込まれ、医薬品在庫などもそれを念頭において効率化されたものとなっている。一方新業態薬局は、人通りの多い立地で不特定多数の顧客をターゲットとする、いわゆる面対応型薬局となる。これらの店舗では在庫投資等の点ではマンツーマン薬局よりも負担が増えるが、より多くの来店客数(すなわち処方箋応需枚数)を期待できる。マンツーマン薬局をコアモデルと位置付けつつ、新業態によって成長の加速を図るというのが同社の狙いだ。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川裕之)
<SF>
2. 保険薬局事業
(1) 事業規模と業界内でのポジショニング
保険薬局事業セグメントの事業内容は、調剤薬局の運営と病院内売店の運営の2つだ。このうち、店舗数では調剤薬局が全体の約97%を占め、また売上高でも同様の構成比と推測される。
調剤薬局業界におけるクオールホールディングス<3034>のポジショニングは、店舗数で第2位、売上高で第3位というものだ。2019年3月期末時点で同社は調剤薬局745店舗(売店21店舗を含む総店舗数は766店舗)を擁し、上場している調剤専門チェーンの中ではアインホールディングス<9627>に次ぐ位置にある。売上高についてはアインホールディングス、日本調剤<3341>に次いで上場企業の中では業界第3位の位置にある。同社の店舗当たり売上高が業界で平均的水準にあるのに対して日本調剤のそれは業界平均を上回っているため、売上高では同社を逆転している。両社の店舗当たり売上高の差は店舗戦略の違いに起因している。
(2) 店舗戦略
保険薬局事業における同社の事業戦略上の特徴は、タイプの大きく異なる2つの業態で事業を展開していることだ。1つは『マンツーマン薬局』であり、もう1つはコンビニ大手であるローソン<2651>やJR西日本<9021>のグループ会社などの異業種との連携による新業態薬局の展開だ。
『マンツーマン薬局』というのは同社の通常のクオール店舗を対象とした店舗展開の基本スタンスを表象するコンセプトであり、事業モデルにおける“コアビジネス”でもある。そのポイントは処方元医療機関とクオール薬局との深い連携関係にある。“マンツーマン”という言葉は医療機関との深い連携関係をするために使用されていると弊社では理解している。マンツーマン(1対1)という言葉からは、1つのクオール薬局は1つの処方元医療機関とだけ連携を深めるとイメージしがちだ。しかし実際には、1つの薬局は複数の医療機関と深い連携関係を構築していることが多いもようだ。
マンツーマン薬局では医療機関との連携を生かして効率的でローコストのオペレーションを実現し、その果実を患者のためのサービス向上に投資することを目指している。より具体的には、当該店舗がマンツーマン関係にある処方元医療機関の診療科目や地域性等に応じて店舗設計や機能を変化させた店づくりを追求している。その原資はマンツーマン経営の利点である医薬品在庫の効率化を始めとする店舗の低コスト構造から生み出される。同社はマンツーマン薬局のコンセプトのもと、患者にとって利用価値の高い、患者から選ばれる薬局づくりを店舗戦略の中核に位置付けている。また、医療機関との連携を本質とするマンツーマン薬局のコンセプトは、国が掲げる『患者のための薬局ビジョン』に沿ったものと言え、成長戦略においても重要なポイントとなっている。
もう1つの業態である、異業種との連携による“新業態”薬局の展開は、2009年6月の薬事法改正により、コンビニやドラッグストア、スーパーなどの他業種店舗が登録業者として一般用医薬品(いわゆる大衆薬)を販売可能となったことが背景にある。これを機に他業種から調剤薬局事業に参入する流れを受けて、それを迎え撃つ施策として同社は前述の2社との事業提携に踏み切った。その後もビックカメラ<3048>等の異業種との事業連携等を逐次推進してきている。
事業提携を通じた店舗が“新業態”とされるのは、前出の“マンツーマン薬局”との対比において、ターゲット顧客層が異なることがその理由だ。前述のようにマンツーマン薬局では顧客層がある程度絞り込まれ、医薬品在庫などもそれを念頭において効率化されたものとなっている。一方新業態薬局は、人通りの多い立地で不特定多数の顧客をターゲットとする、いわゆる面対応型薬局となる。これらの店舗では在庫投資等の点ではマンツーマン薬局よりも負担が増えるが、より多くの来店客数(すなわち処方箋応需枚数)を期待できる。マンツーマン薬局をコアモデルと位置付けつつ、新業態によって成長の加速を図るというのが同社の狙いだ。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川裕之)
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