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明豊ファシリティワークスのニュース
■事業概要
5. SWOT分析
明豊ファシリティワークス<1717>の経営を取り巻く外部環境と経営の現状について、SWOT分析を行う。SWOT分析とは、強み「Strength」、弱み「Weakness」、機会「Opportunity」、脅威「Threat」の4つに区分して、組織のビジョンや戦略を企画立案する際に利用する、経営分析の一般的な手法である。
外部環境面での成長機会としては、対建設投資において品質、コスト、スピード面での発注者側の意識が高まっていること、また、企業のコンプライアンス意識の高まりによって、発注プロセスやコストを明確に開示し、建設費用の削減に資するCM事業者へ発注するケースが増えていくことが想定される。また、2014年に品確法が改正されて以降、公共分野においてもCM方式を導入する動きが広がりを見せているほか、ESG/SDGsへの関心の高まりもあって、環境・再生可能エネルギーの活用をテーマとしたCM業務の需要も今後拡大していくことが予想される。
同業他社との差別化という点においては、一般的なCM事業者の場合、設計工程完了後にプロジェクトに参画するケースがほとんどだが、同社はさらに上流工程となる建設の基本構想段階から参画するケースが全体の7割以上を占めるようになってきており、多様な人材をそろえることによってプロジェクト全体をマネジメントできる能力を持っていることが強みとなる。
一方、外部環境面でのリスク要因としては、CM事業者の新規参入による競争激化や建設投資動向の影響を少なからず受けること、また、今回のコロナ禍のように何らかの理由で景気が大きく悪化した場合は、顧客側の投資意欲が冷え込む可能性があることなどが挙げられる。ただ、対象と成り得る建設プロジェクトのうちCMを導入している比率は民間で全体の20~25%程度とまだ低く、地方自治体など公共分野ではさらに低いことから、仮に全体の建設投資が冷え込んだとしても、マイナスの影響は限定的と考えられる。なお、コロナ禍でリモートワークが普及したことにより、オフィス面積を縮小する動きも出てきており、オフィス事業においてのリスク要因となるが、一方で、「働き方改革」を含めてオフィスの在り方を再構築するといった動きも出てきている。
内部環境における「強み」としては、独立系であり「フェアネス」と「透明性」において既存顧客から高い信頼を獲得し、それが今では企業風土として新規顧客の開拓においてもプラスに働いている点が挙げられる。また、同社は情報の可視化等を目的に自社開発した「MeihoPMS」や「MeihoAMS」を使って、受注プロジェクトごとのコストを可視化し、従業員一人ひとりのマンアワーコストを定量化して管理するなど、生産性向上に対する意識が会社全体に浸透していることも強みと言える。ワークスタイル面でも、早くからテレワークを全社で導入し、社内のフリーアドレス化、ペーパーレス化を実現し、また、対外折衝においてもすべてペーパーレスで行うなど、ITを積極的に活用することで生産性向上につなげている。こうした取り組みが評価されて総務省が実施・選出する「2019年度テレワーク先駆者百選 総務大臣賞」を受賞した。最近は経営のDX化に取り組む企業が増えているが、同社は業界のなかでもDX化の先進企業として位置付けられる。
一方、内部的な「弱み」としては専門性の高い人材がプロジェクト数に比例して必要となるため、成長を持続していくためには優秀な人材の継続的な確保と組織力の強化が必要となる点が挙げられる。ここ数年で業界のなかでの同社のブランド力、知名度は格段に上昇し、大企業や設計事務所などから優秀な人材が採用できるようになるなど、人材の確保という点では以前よりも難しくはなくなっているが、それでも事業規模を一段と拡大していくためには人員のさらなる拡大と育成が必要となる。
同社は人員に関して年間10名前後の純増ペースを続けていきたい考えで、採用に関しては専門性の高い人材だけでなく、複数の専門的業務に従事できる人材を優先的に獲得することで、1人当たり生産性のさらなる向上を目指している。また、組織力についてもコミュニケーションスキルの向上を中心とした人材育成に取り組んでいる。CM業務ではプロジェクトごとに複数のメンバーが集まって業務を遂行するが、メンバーを束ねるプロジェクト・マネージャーの資質によって、プロジェクト品質に差が生じることを認識しており、プロジェクト・マネージャーとしての能力を見出すこと、あるいは育成することで組織力が強化され、全体の生産性向上につながると考えている。
ここ数年で採用した若手社員も同社の理念を吸収して順調に育ち、プロジェクト・マネージャーの人員体制の拡充が進んでいることから、今後さらなる生産性向上が期待される。なお、2021年9月末の従業員数は前期末比で1名増の237名となっている。2020年3月末の230名から悩んでいるように見えるが、RPAの導入推進による派遣社員の減少が要因と見られる。退職率に関しては数%程度と変わりはなく、引き続き高いスキルを持つ人材を厳選して採用を進めていく方針だ。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
<YM>
5. SWOT分析
明豊ファシリティワークス<1717>の経営を取り巻く外部環境と経営の現状について、SWOT分析を行う。SWOT分析とは、強み「Strength」、弱み「Weakness」、機会「Opportunity」、脅威「Threat」の4つに区分して、組織のビジョンや戦略を企画立案する際に利用する、経営分析の一般的な手法である。
外部環境面での成長機会としては、対建設投資において品質、コスト、スピード面での発注者側の意識が高まっていること、また、企業のコンプライアンス意識の高まりによって、発注プロセスやコストを明確に開示し、建設費用の削減に資するCM事業者へ発注するケースが増えていくことが想定される。また、2014年に品確法が改正されて以降、公共分野においてもCM方式を導入する動きが広がりを見せているほか、ESG/SDGsへの関心の高まりもあって、環境・再生可能エネルギーの活用をテーマとしたCM業務の需要も今後拡大していくことが予想される。
同業他社との差別化という点においては、一般的なCM事業者の場合、設計工程完了後にプロジェクトに参画するケースがほとんどだが、同社はさらに上流工程となる建設の基本構想段階から参画するケースが全体の7割以上を占めるようになってきており、多様な人材をそろえることによってプロジェクト全体をマネジメントできる能力を持っていることが強みとなる。
一方、外部環境面でのリスク要因としては、CM事業者の新規参入による競争激化や建設投資動向の影響を少なからず受けること、また、今回のコロナ禍のように何らかの理由で景気が大きく悪化した場合は、顧客側の投資意欲が冷え込む可能性があることなどが挙げられる。ただ、対象と成り得る建設プロジェクトのうちCMを導入している比率は民間で全体の20~25%程度とまだ低く、地方自治体など公共分野ではさらに低いことから、仮に全体の建設投資が冷え込んだとしても、マイナスの影響は限定的と考えられる。なお、コロナ禍でリモートワークが普及したことにより、オフィス面積を縮小する動きも出てきており、オフィス事業においてのリスク要因となるが、一方で、「働き方改革」を含めてオフィスの在り方を再構築するといった動きも出てきている。
内部環境における「強み」としては、独立系であり「フェアネス」と「透明性」において既存顧客から高い信頼を獲得し、それが今では企業風土として新規顧客の開拓においてもプラスに働いている点が挙げられる。また、同社は情報の可視化等を目的に自社開発した「MeihoPMS」や「MeihoAMS」を使って、受注プロジェクトごとのコストを可視化し、従業員一人ひとりのマンアワーコストを定量化して管理するなど、生産性向上に対する意識が会社全体に浸透していることも強みと言える。ワークスタイル面でも、早くからテレワークを全社で導入し、社内のフリーアドレス化、ペーパーレス化を実現し、また、対外折衝においてもすべてペーパーレスで行うなど、ITを積極的に活用することで生産性向上につなげている。こうした取り組みが評価されて総務省が実施・選出する「2019年度テレワーク先駆者百選 総務大臣賞」を受賞した。最近は経営のDX化に取り組む企業が増えているが、同社は業界のなかでもDX化の先進企業として位置付けられる。
一方、内部的な「弱み」としては専門性の高い人材がプロジェクト数に比例して必要となるため、成長を持続していくためには優秀な人材の継続的な確保と組織力の強化が必要となる点が挙げられる。ここ数年で業界のなかでの同社のブランド力、知名度は格段に上昇し、大企業や設計事務所などから優秀な人材が採用できるようになるなど、人材の確保という点では以前よりも難しくはなくなっているが、それでも事業規模を一段と拡大していくためには人員のさらなる拡大と育成が必要となる。
同社は人員に関して年間10名前後の純増ペースを続けていきたい考えで、採用に関しては専門性の高い人材だけでなく、複数の専門的業務に従事できる人材を優先的に獲得することで、1人当たり生産性のさらなる向上を目指している。また、組織力についてもコミュニケーションスキルの向上を中心とした人材育成に取り組んでいる。CM業務ではプロジェクトごとに複数のメンバーが集まって業務を遂行するが、メンバーを束ねるプロジェクト・マネージャーの資質によって、プロジェクト品質に差が生じることを認識しており、プロジェクト・マネージャーとしての能力を見出すこと、あるいは育成することで組織力が強化され、全体の生産性向上につながると考えている。
ここ数年で採用した若手社員も同社の理念を吸収して順調に育ち、プロジェクト・マネージャーの人員体制の拡充が進んでいることから、今後さらなる生産性向上が期待される。なお、2021年9月末の従業員数は前期末比で1名増の237名となっている。2020年3月末の230名から悩んでいるように見えるが、RPAの導入推進による派遣社員の減少が要因と見られる。退職率に関しては数%程度と変わりはなく、引き続き高いスキルを持つ人材を厳選して採用を進めていく方針だ。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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