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ファーストコーポレーションのニュース
■業績動向
2019年7月9日に発表したファーストコーポレーション<1430>の2019年5月期決算は、売上高が前期比8.7%減の19,015百万円、営業利益が同16.4%減の1,877百万円、経常利益は同16.1%減の1,874百万円、当期利益は同18.7%減の1,275百万円と減収減益となった。
売上高では、当初は増収を見込んでいたものの、完成工事高、不動産売上高の伸び悩みが響き、マイナスを余儀なくされている。
期中に修正した計画との比較では、売上高が計画の21,499百万円に対して実績値は19,015百万円にとどまった。これを詳細に見ると、完成工事高については、着工の遅れや受注のずれ込みがあったものの、工事の進ちょくが想定を上回ったことにより、計画の14,096百万円に対して14,462百万円に上振れた。しかし、不動産売上高が、交渉長期化や競争激化を背景に、計画の4,214百万円に対して実績値は1,682百万円と厳しい状況にあることを浮き彫りにしている。
その結果、完成工事総利益は2,191百万円と前期比で5.5%減となりながらも、修正した計画の1,983百万円を上回り、落ち込みを最小限にとどめただけではなく、完成工事総利益率は15.2%と前期の14.5%から改善した。これは工事減価が低減したことが多い。不動産売上総利益は120百万円と前期の3割以下まで落ち込んでいる。
一方、これらの不調を共同事業が支えた格好。これは前述した造注方式のビジネスモデルが厳しい環境下で効果を発揮したためと言えそうだ。共同事業売上高は前期の2.21倍となる2,690百万円、総利益は480百万円(同43.2%増)と好調だった。
事業を遂行するうえで肝となる用地の確保は、依然として苦戦を強いられている。2020年の東京オリンピック・パラリンピックを控えた不動産特需も、開幕まで約1年となったこの時期は、一巡しそうなタイミングと言えそうだが、土地の売り手が強気の状態であることに変わりがないという。
これまではホテルとの用地確保における競争において、ホテル業界が提示する利回り等の条件で、どうしてもマンションは優位に立てず、良質な用地がホテル建設にさらわれる状況が続き、それがようやくピークを過ぎたと思われながらも、病院建設などのニーズも残り、思うように土地が確保できていない。
ちなみに、2019年5月期上期においては、2019年1月に東京都北区で2,251.14平方メートルの土地を取得、ファミリー向け分譲マンションを企画予定している。当面は仕掛中の案件について成約を目指している。ただ、受注全体では、9件16,480百万円の計画に対し、実績値は7件13,032百万円にとどまっている。前期に比べると、-37.8%のダウンとなった。
さらに、収益を引っ張る役割を果たす造注方式の割合は、27.0%と前年の26.4%に比べてわずかながら上回っている。今後は、かつては70%に達していた造注方式の比率の回復を目指していく方針だ。
利益面では、用地確保の苦戦がそのまま工事の受注編成に響いているほか、何よりも不動産売上の不振が足かせとなっている。ただ、同社では事業収支が合わない案件は見送る姿勢を徹底しており、今後もこのスタンスを継続しながら、用地確保に全力を注ぐ。
一方で、財務面は順調だ。一般的に建設業、不動産業は借入金が多く、他の産業に比べて脆弱なイメージがあるが、同社は公募増資を実施した上に、安定した利益計上によって内部留保の蓄積も進み、自己資本比率は2018年5月期の37.3%から2019年5月期は51.9%まで上昇している。
2020年5月期の見通しについては、売上高こそ前期比5.2%増の20,005百万円と増収を確保するものの、営業利益は同31.7%減の1,282百万円、経常利益が同32.6%減の1,264百万円、当期利益は同31.2%減の877百万円と連続減益となることを想定している。
受注が伸び悩んだことを背景に、工事施工にかかる完成工事高は、12,816百万円(前期比11.4%減)とダウンする見通し。半面、造注方式や共同事業にかかる不動産売上高は4,585百万円(同172.6%増)と大幅な伸びが見込まれる。
利益面では、造注方式の案件が減少することから、悪化が避けられない。完成工事高における売上総利益は1,362百万円(同37.8%減)と悪化する。一方、不動産売上高における売上総利益は555百万円(同362.7%増)と飛躍。売上総利益は、合計で2,366百万円(同17.8%減)となる。売上高総利益率は、完成工事が10.6%、不動産が12.1%となる見通しだ。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 水野文也)
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2019年7月9日に発表したファーストコーポレーション<1430>の2019年5月期決算は、売上高が前期比8.7%減の19,015百万円、営業利益が同16.4%減の1,877百万円、経常利益は同16.1%減の1,874百万円、当期利益は同18.7%減の1,275百万円と減収減益となった。
売上高では、当初は増収を見込んでいたものの、完成工事高、不動産売上高の伸び悩みが響き、マイナスを余儀なくされている。
期中に修正した計画との比較では、売上高が計画の21,499百万円に対して実績値は19,015百万円にとどまった。これを詳細に見ると、完成工事高については、着工の遅れや受注のずれ込みがあったものの、工事の進ちょくが想定を上回ったことにより、計画の14,096百万円に対して14,462百万円に上振れた。しかし、不動産売上高が、交渉長期化や競争激化を背景に、計画の4,214百万円に対して実績値は1,682百万円と厳しい状況にあることを浮き彫りにしている。
その結果、完成工事総利益は2,191百万円と前期比で5.5%減となりながらも、修正した計画の1,983百万円を上回り、落ち込みを最小限にとどめただけではなく、完成工事総利益率は15.2%と前期の14.5%から改善した。これは工事減価が低減したことが多い。不動産売上総利益は120百万円と前期の3割以下まで落ち込んでいる。
一方、これらの不調を共同事業が支えた格好。これは前述した造注方式のビジネスモデルが厳しい環境下で効果を発揮したためと言えそうだ。共同事業売上高は前期の2.21倍となる2,690百万円、総利益は480百万円(同43.2%増)と好調だった。
事業を遂行するうえで肝となる用地の確保は、依然として苦戦を強いられている。2020年の東京オリンピック・パラリンピックを控えた不動産特需も、開幕まで約1年となったこの時期は、一巡しそうなタイミングと言えそうだが、土地の売り手が強気の状態であることに変わりがないという。
これまではホテルとの用地確保における競争において、ホテル業界が提示する利回り等の条件で、どうしてもマンションは優位に立てず、良質な用地がホテル建設にさらわれる状況が続き、それがようやくピークを過ぎたと思われながらも、病院建設などのニーズも残り、思うように土地が確保できていない。
ちなみに、2019年5月期上期においては、2019年1月に東京都北区で2,251.14平方メートルの土地を取得、ファミリー向け分譲マンションを企画予定している。当面は仕掛中の案件について成約を目指している。ただ、受注全体では、9件16,480百万円の計画に対し、実績値は7件13,032百万円にとどまっている。前期に比べると、-37.8%のダウンとなった。
さらに、収益を引っ張る役割を果たす造注方式の割合は、27.0%と前年の26.4%に比べてわずかながら上回っている。今後は、かつては70%に達していた造注方式の比率の回復を目指していく方針だ。
利益面では、用地確保の苦戦がそのまま工事の受注編成に響いているほか、何よりも不動産売上の不振が足かせとなっている。ただ、同社では事業収支が合わない案件は見送る姿勢を徹底しており、今後もこのスタンスを継続しながら、用地確保に全力を注ぐ。
一方で、財務面は順調だ。一般的に建設業、不動産業は借入金が多く、他の産業に比べて脆弱なイメージがあるが、同社は公募増資を実施した上に、安定した利益計上によって内部留保の蓄積も進み、自己資本比率は2018年5月期の37.3%から2019年5月期は51.9%まで上昇している。
2020年5月期の見通しについては、売上高こそ前期比5.2%増の20,005百万円と増収を確保するものの、営業利益は同31.7%減の1,282百万円、経常利益が同32.6%減の1,264百万円、当期利益は同31.2%減の877百万円と連続減益となることを想定している。
受注が伸び悩んだことを背景に、工事施工にかかる完成工事高は、12,816百万円(前期比11.4%減)とダウンする見通し。半面、造注方式や共同事業にかかる不動産売上高は4,585百万円(同172.6%増)と大幅な伸びが見込まれる。
利益面では、造注方式の案件が減少することから、悪化が避けられない。完成工事高における売上総利益は1,362百万円(同37.8%減)と悪化する。一方、不動産売上高における売上総利益は555百万円(同362.7%増)と飛躍。売上総利益は、合計で2,366百万円(同17.8%減)となる。売上高総利益率は、完成工事が10.6%、不動産が12.1%となる見通しだ。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 水野文也)
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