ドルとユーロのシーソーゲーム

著者:川島寛貴
投稿:2015/06/22 21:26

土壇場での合意となるか

本日は、先週から持ち越しとなったギリシャ支援に関してのユーロ圏トップ会合が行われています。そのタイムスケジュールは以下のとおり。

午後19時30分:ユーロ圏緊急財務相会合
午前2時   :ユーロ圏緊急首脳会議

まず財務相会合が開催されますので、これが終わった後のヘッドライトリスクが想定されます。

IMFなどの債権団は引き続きギリシャとの溝を埋めるには難易度が高そうなことから、首脳会合を終えるまではあまりポジティブな話題は期待できそうにありません。

しかし、ギリシャとロシアの接近を良く思っていないユーロ圏と米国ですので、デフォルトのシナリオは低く、いつも通り土壇場での合意がなされるというのが市場コンセンサスとなっているようです。

ここ数週間のユーロの値動きを見ていても、下値を切り上げながら1.15へ向けて上昇しています。そしてユーロ買いは着実に進んでおり、FOMCを終えてドル円ロングは縮小し、円買いポジションも増加しています。

ユーロ買いが優勢な中、細かく値動きを見てみるとユーロドルが下落すればドル円が上昇するという、完全なドル相場。ドル円とユーロドルはシーソーゲームのように反比例しています。

ギリシャ不安があるものの、市場参加者はリスクオフではない状態だと分かります。

そんななかドル円とユーロドルのチャートを見てみると、最近ではドル円の方がやや先走って動いていることが分かります。

本日もドル円が15時30分ごろに日中高値を更新し、その後欧州株式市場が始まる16時にユーロドルの下落が起こりました。このように、ドルの動きを見ながらユーロを手掛ける欧州勢の売買のクセから少し早く取引のヒントを得ることができます。

ドル円は引き続き122.50円を底として上昇していますが、ギリシャの合意が決まれば短期的にユーロ買いドル売りとなります。

そうなれば、通常ではリスクオンとなりドル円も上昇するのですが、シーソーゲーム状態であり、材料に欠けるドル円は再び122円台に戻る可能性が高いのではないでしょうか。

また、懸念事項としては先週からギリシャの銀行の預金流出額が3,4倍となっていることです。これに対して、ギリシャの金融機関向け流動性支援はギリギリの額までしか引き上げられていない状態です。こうなると銀行の資本規制や銀行が営業しないという可能性も出てきます。

話し合いはかなり長引くことが想定されます。現在、日経平均先物は20,500円を回復し、欧州株もDAXが3%近い上昇となっている状況です。合意に向けた期待が出ていますが、こうなれば事実売りとなりやすいことから、ドル円は戻り売りの方が有利な展開のようです。

ただ、本日の会合で良い結果が聞かれなかったとしても、25~26日に行われるEU首脳会議まで交渉のタイムリミットは残されていると思われますので、連日大きくユーロ売りドル買いとなることはなさそうです。
つまり、今は短期勝負の相場のようですね!
川島寛貴
株式会社IEYASU 代表取締役
配信元: 達人の予想