新たな材料欲しいが…?

著者:武市佳史
投稿:2015/06/04 11:03

◆ユーロ買い戻しの余波から、ドルは伸び悩み

※ご注意:予想期間は6月5日と表示されていますが、本日(6月4日)の東京・欧州・NY市場の値動きを想定した記述となります。


ADP雇用統計はほぼ予想通り(+20.1万人)でしたが、米4月貿易収支は-408.79億ドルへと改善しました。
これを“米GDPへの押し下げ圧力低下”と捉えたマーケットは、米国債売り(利回りは上昇)/ドル買いとなってドル円を一時124.671円へと押し上げました。

しかしこの動きを上回ったのが、独10年債利回りの上昇でした。

ドラギ総裁の定例記者会見では「激しく揺れ動く独国債利回り」が懸念されることはなく、事実上“容認”された格好になったからです。
これにギリシャ懸念の緩和期待が重なったことで、ユーロの買い戻し圧力に拍車がかかりました。
ユーロドルは1.12ドルを回復、ユーロ円も140円の大台に乗せる大幅続伸を見せ、相対的にドルは売られる展開となりました。
こうして堅調推移こそ見せたドル円でしたが、上値を押さえられ、124円前半で伸び悩んで昨日の取引を終えています。

◆それでもドル先高観は健在!

こうしてユーロ急騰がドル買いの行く手を阻んでおり、上値を重くしています。
また到達した125円ライン手前に「再びドル売りオーダーが並んでいる」との指摘も、意識されています。
一方で米金利先高観は根強く、これを背景にしたドルの押し目買いニーズは健在です。
目先は“下値は堅い”が“上値は押さえられやすい”と考えるのが自然ということになります。

◆期待は“早過ぎるユーロ買い戻し圧力”の減退…?

膠着から抜け出すには新たな材料が欲しいわけですが、本日は非農業部門労働生産性/新規失業保険申請件数くらいしか予定されていません。
ギリシャ絡みで揺れ動く可能性は残っていますが、本日に関しては124.20-70円を中心とした揺れ動きと考えるべきか。
速過ぎるユーロ買い戻しの減退に関しては、少し期待していますが…。

◆ドル円 抵抗・支持ライン

上値5:125.502(6/2安値~6/3高値-6/3NYタイム安値の161.8%返し、ピボットハイブレイクアウト)
上値4:125.044(6/2高値、大台、ピボット2ndレジスタンス)
上値3:124.932(6/2安値~6/3高値-6/3NYタイム安値の100%返し)
上値2:124.671(6/3高値、ピボット1stレジスタンス、6/2~6/3の76.4%戻し)
上値1:124.576(6/2安値~6/3高値-6/3NYタイム安値の61.8%返し)
前営業日終値:124.220
下値1:124.000(大台)
下値2:123.741(6/2-3安値、ピボット1stサポート)
下値3:123.601(5/29安値)
下値4:123.488(5/28安値)
下値5:123.362(5/22~6/2の38.2%押し、ピボット2ndサポート)

※ユーロ円やユーロドルなど、他の通貨ペアの抵抗・支持ラインは〔マーケット・チェック15分Webセミナー〕にて公開。

11:56 ドル円 抵抗・支持ライン追加
武市佳史
株式会社マネーパートナーズ チーフアナリスト
配信元: 達人の予想