ムードは「リスク選好」方向も、「もうしばらく時間がかかる」…!?

著者:武市佳史
投稿:2015/05/11 10:32

◆「強弱入り混じり」で乱高下 - 米雇用統計

※ご注意:予想期間は5月12日と表示されていますが、本日(5月11日)の東京・欧州・NY市場の値動きを想定した記述となります。


英総選挙の余波で「発射台の引き上げられた」ドル円でしたが、注目の米雇用統計は「強弱入り混じる」内容でした。
このため明白な方向感は見られず、発表直後から乱高下を示しました。

非農業部門雇用者数は事前予想をわずかに下回り(+22.3万人)、“上方修正”が期待された前回分も逆に“下方修正(+12.6万人⇒+8.5万人)”となりました。
このため発表直後からドル売りが優勢となり、120円前半で推移していたドル円は119.60円水準へと駆け降りました。

しかし失業率(5.4%)・時間当たり賃金(+0.1%)・労働参加率(62.8%)は“わずかなりとも改善”を示しました。
これは「2013年後半以降で初めて」のことであり、ドル売りに勢いが見られることはありませんでした。

◆もうしばらく方向感不在…?

こうして“表面的にはネガティブ”となったものの、「1-3月期の景気減速は一時的?」に関しては“その可能性が示唆(ポジティブ)”された格好となりました。
これは「今後の米経済指標の結果次第では…?」も残る格好であり、それまでは“もうしばらく方向感不在”を意識せざるを得ない展開が想定されるところです。
その次なる注目の米経済指標といえば小売売上高(13日)や鉱工業生産(15日)と見られますので、それが不在の本日は“119円後半を中心とした揉みあい”と考えるのが自然です。

◆ムードは“リスク選好に傾斜”しやすいが…

中国が追加利下げを発表(10日)したことで、ムードは“リスク選好に傾斜”しやすくなっています。
このため再び120円台へと押し上げられる場面がないとはいい切れませんが、“もうしばらく時間がかかる”と見ておきたいところです。
もっとも“下値は堅い”とは、引き続き考えていますが…。

◆ドル円 抵抗・支持ライン

上値5:120.762(ピボットハイブレイクアウト)
上値4:120.490(5/5高値、ピボット2ndレジスタンス)
上値3:120.224(5/8高値、ピボット1stレジスタンス)
上値2:120.000(大台)
上値1:119.917(50日移動平均線)
前営業日終値:119.753
下値1:119.585(5/8安値)
下値2:119.441(日足・一目均衡表先行スパン下限/転換線、20日移動平均線、ピボット1stサポート)
下値3:119.360(100日移動平均線)
下値4:119.215(ピボット2ndサポート)
下値5:119.057(5/7安値、大台)

※ユーロ円やユーロドルなど、他の通貨ペアの抵抗・支持ラインは〔マーケット・チェック15分Webセミナー〕にて公開。

12:37 ドル円 抵抗・支持ライン追加
16:10 誤字修正
武市佳史
株式会社マネーパートナーズ チーフアナリスト
配信元: 達人の予想