ロシアルーブルが完全変動相場制に移行

著者:矢口 新
投稿:2014/11/12 21:31

連日の年初来高値の更新

ロシアルーブルが来年にも完全変動相場制に移行する。このところ、ロシアルーブルは史上最安値を更新し続けていて、遂にロシア当局が降参したと見られている。ロシアルーブルは11月7日に史上最安値の1ドル48.50を付けたが、10日の発表後、45.10まで買い戻された。とはいえ、ルーブルの売り圧力は強く、50を超えて下落するとの観測も出ている。東京11日朝の時間帯では46.50台。

2014年になって、ウクライナ問題での制裁を受け、ロシアからは投資資金が流出、また原油安がロシアに追い打ちをかけるとの見方から、投機筋もルーブルを売り込んでいる。ここで当局が市場介入をやめ、ルーブルをサポートしなくなったら、フリーフォールになるとも言われている。

では、フリーフォールになればどうなるだろうか? 今年初めのルーブルは32台だった。その時のWTI原油価格は1バレル91ドル台、1バレル当たりの原油収入は2974ルーブル(32.5X91.5=2973.75)近辺となる。6月には原油価格が107.26ドルにまで上昇した。その時のルーブルは34.90台。バレル当たりの原油収入は3743ルーブルに増えている。11月10日のWTIは77.29ドルで引けたが、ルーブルは45.90なので、3548ルーブルが得られる。仮にルーブルが60に下落すれば、原油価格が60ドルに下落しても、現状のルーブル収入が確保できるのだ。制裁前、年初の2974ルーブルでいいのなら、原油価格が50ドルでも大丈夫だ。

かって通貨危機と呼ばれた経済は、いずれも通貨の大幅下落により、急速に立ち直った。通貨安の恩恵(通貨高のハンディ)は、一般に思われているよりも大きい。通貨の変動は、経済の強弱の調整弁となっているのだ。このことは、ギリシャなどが、どうしていつまでも立ち直れないのかの、答えもくれている。
配信元: 達人の予想