【IRアナリストレポート】日進工具(6157)

著者:鈴木 行生
投稿:2026/06/02 11:29

~超硬小径エンドミルで業界No.1、新たな市場開拓へ~

・主力原材料の1つであるタングステンの価格が高騰している。米中貿易摩擦を受けて、レアアースの需給がタイト化し、国際市況は一時7倍となり、その後も高止まりしている。中国の輸出規制もあり、資材メーカーはタングステンの調達が苦しい。

・この影響が、今2027年3月期の半ばから超硬工具の仕入れ材の価格に反映してこよう。競合を見ながら、内外の販売価格に転嫁していくことになろう。8月受注分から価格改定がスタートするが、タイムラグが想定されるので、今下期の業績は落ち込もう。

・数年かけて、中国以外の国やリサイクルの活用など、調達の多様化がサプライチェーン全体で進むことになろう。来期の業績は、タングステンの供給制約の行方次第だが、慎重に見る必要がある。一方で事態が好転すれば、業績の回復テンポは早まろう。

・中国では、政府の方針として自国製工具への切り替え圧力を強めている。今後、中国産工具の利用が進むとしても、高性能、高効率の加工を必要とする領域では、日進工具のエンドミルに追い付けないので、高級品分野で一定の需要は確保できよう。インドは有望で、中国からベトナムへの対応も進めている。

・自動車関連から半導体関連の電子部品、産業用の精密部品へのシフトは一段と進むことになろう。AI向けデータセンターが増大し、発電用の設備需要も大きく伸びるので、用途の広がりが期待できる。新製品の開発では、アジャイル型の開発に舵を切っている。顧客ニーズに合わせて開発に当たってきたが、このペースを上げている。新製品に対するプライシングについては、性能・効果に見合って対応していくことになろう。

・当社は、もともと規模を追求していない。高収益、高効率経営を目指している。エンドミルの高性能製品では、世界トップクラスであり、競争優位性に陰りは見えない。

・継続的増配が続いており、今2026年3月期の配当も30円を予定している。今後ともフリーキャッシュフローが積み上がってこよう。いずれ大型設備投資が必要になるとしても、内部資金で十分充当できよう。キャッシュを過度に積み上げないという点で、タイミングを見て自社株買いや継続的な増配が実行されよう。

目次
1.特色 超硬小径エンドミルで業界トップ
2.強み 一貫した集中と差異化で攻める
3.中期経営戦略 ユニークな精密・微細加工技術で内外の新市場を開拓
4.当面の業績 タングステンの市況高騰の影響で、今2027年3月期は減益へ
5.企業評価 競争力を強化し、高収益へ復帰をめざす

日進工具 <6157>
企業レーティング B
株価
(2026年6月1日)
846円
時価総額 212億円
(25百万株)
PBR 1.13倍
ROE 6.5%
PER 17.3倍
配当利回り 3.5%
総資産 19595百万円
純資産 17851百万円
自己資本比率 90.1%
BPS 751.9円
(百万円、円)
決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益 EPS 配当
2017.3 8825 2013 2026 1420 56.8 20.0
2018.3 9767 2685 2733 1903 76.1 22.5
2019.3 10476 2879 2894 1970 78.8 22.5
2020.3 9531 2219 2231 1545 61.8 22.5
2021.3 8100 1512 1712 1214 48.6 17.5
2022.3 9524 2111 2156 1522 60.9 22.5
2023.3 9656 2108 2131 1475 59.2 22.5
2024.3 9040 1867 1908 1320 53.0 27.5
2025.3 9431 1767 1779 1264 50.8 30.0
2026.3 9494 1959 2011 1442 58.4 30.0
2027.3(予) 9900 1650 1650 1150 49.0 30.0

(2026.3ベース)

(注)ROE、PER、配当利回りは今期予想ベース。 2017年 1月に 1:2、2021年 4月に 1:2の株式分割を実施。2022.3期以前の EPS、配当は修正ベース。 2017.3期は 2部上場記念配 (5円)、 2018.3期は 1部上場記念配 (5円)、2024.3期は創業 70周年記念配(2.5円)を含む。
 
企業レーティングの定義:当該企業の、(1)経営者の経営力、(2)事業の成長力・持続力、(3)業績下方修正の可能性、という点から定性評価している。A:良好である、B:一定の努力を要する、C:相当の改善を要する、D:極めて厳しい局面にある、という4段階で示す。

レポート全文はこちらから
https://www.belletk.com/niltusinnkougu202606.pdf

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配信元: みんかぶ株式コラム

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