円相場は乱高下、植田日銀総裁発言に敏感に反応 ドル円一時156.40台=ロンドン為替概況

著者:MINKABU PRESS
投稿:2025/12/09 20:48
円相場は乱高下、植田日銀総裁発言に敏感に反応 ドル円一時156.40台=ロンドン為替概況

 ロンドン市場では、植田日銀総裁の発言に翻弄され、円相場が乱高下する展開となった。当初、総裁が国会答弁で長期金利急騰時の「機動的な国債買い入れ」を強調し、12月利上げへの具体的言及を避けたため、緩和継続との見方から円売りが先行。ドル円は一時156.43付近、ユーロ円は182.15付近、ポンド円は208.71付近まで上昇、高値を更新した。しかしその後、英FT紙インタビューで総裁が「緩和の水準調整を続ける」と述べ、賃金圧力や為替変動などインフレへの警戒を示したことが伝わると流れは一変した。市場にタカ派的な内容と受け止められ、早期利上げ観測の再燃により円が急速に買い戻された。ドル円は156円付近へ押し戻され、ユーロ円は181.60台、ポンド円は208円手前まで反落。いずれも序盤の円安分をほぼ帳消しにする「往って来い」の動きを見せている。市場は総裁の真意を測りかねて揺れ動いた格好。ドル相場もドル円の上下動の影響を受けて振幅。ユーロドルは1.16台前半から半ば、ポンドドルは1.33台前半から半ばで売買が交錯、方向感に欠ける取引となっている。

 ドル円は156円台前半での取引。東京午前の155.74付近を安値に午後には156円台乗せへとじり高の動きとなった。国会答弁で植田日銀総裁が長期金利急騰時の「機動的な国債買い入れ」を強調したことで円売り反応が強まり、ロンドン序盤にかけて高値を156.43付近に伸ばした。しかし、その後の英FTとのインタビューで植田総裁が「緩和の水準調整を続ける」と述べ、賃金圧力や為替変動などインフレへの警戒を示したことで、円買い反応が広がった。一時156円割れまで反落し、ロンドン序盤の円安を帳消しにした。

 ユーロドルは1.16台前半での取引。ロンドン朝方の1.1634付近を安値に、その後一時1.1657付近まで高値を伸ばした。しかし、買いも続かず1.16台前半での揉み合いが続いている。ドル円相場が上下動にドル買い・ドル売りが交錯した格好。ユーロ円は円売り主導で買われ、高値を182.15付近に更新したが、その後は181.70付近まで反落と振幅。対ポンドではユーロ売り先行も、足元では買い戻されており、方向性は希薄。

 ポンドドルは1.33台前半での取引。東京朝方の1.3319付近を安値に、ロンドン序盤にかけては1.3356付近まで一時買われた。その後は、再び売りに押されて1.33台前半に押し戻されている。ポンド円はドル円とともに円売りが先行。高値を208.71付近に伸ばした。その後は円買いに押されて208円近くまで反落している。ユーロポンドは0.8721から0.8739までのレンジで下に往って来い。この日は目立った英欧指標発表はなく、円相場主導の展開になっている。

minkabu PRESS編集部 松木秀明

このニュースはみんかぶ(FX/為替)から転載しています。

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