米・5月雇用統計は弱そう・・・

著者:柳澤浩
投稿:2012/06/01 13:41

NFP、市場予想は15万人増

 今夜は、皆様注目の米・5月雇用統計の発表が予定されております。NFP(非農業部門雇用者数)の市場予想は15人程度の増加と見られています。しかし、5月に発表されたこれまでの経済指標を振り返ってみると、雇用情勢の停滞、乃至は、悪化を示す様なものが多く発表されていました。ざっと挙げてみますと、以下の通りとなります。

 ADP民間雇用者調査 13.3万人増 (予想:15万人増)
 シカゴPMI 雇用 57.0 (前月:58.7)
 チャレンジャー人員削減 +66.7% (前月:+11.2%)
 消費者信頼感指数 雇用* -5.2 (前月:-1.5)
 フィラデルフィア連銀 雇用 -1.3 (前月:+17.9)
 NY連銀 雇用 20.48 (前月:19.28)
 新規失業保険申請件数 4W・MA 37.45万件 (前月:37.08マ万件)

* 6ヶ月先雇用増加期待から雇用減少懸念を引いた数字

 何と、前月よりも良かった数字は、NY連銀製造業景気指数の雇用項目のみでした。こうなると、今夜のNFPは、予想を多少下回る数字が飛び出す可能性の方が高そうです。

弱い数字には素直に反応?

 現在の外為市場は、欧州の金融システム不安の高まりにより、『リスク回避』方向への動きの方が、『リスク選好』方向への動きよりも敏感です。この為、今日の雇用統計発表後も、予想より弱い数字となれば、ドル円は続落する展開を強めるものと思われます。この為、もし、多少予想を上回る数字が出たとしても、ドル円の上昇は限定的で、買い一巡後は、再び、反落する展開が見られるものと思われます。

米国債市場睨みで・・・

 米国債相場は非常に堅調な展開を続けており、10年債利回りは連日史上最低レベルを更新しています。もし、今日の雇用統計が予想よりも弱い数字となれば、10年債は節目と見られている1.50%の大台を割り込む可能性も出て来ています。しかし、テクニカル的には買われ過ぎとの見方も出来ますから、買い一巡後には、利食い売りも入り、利回りが小幅反発する可能性も想定すべきかもしれません。その場合には、ドル円にもショートカバーが強まると思われますので、米国債相場の動向には充分注意したいと思います。
柳澤浩
(株)FXプライム byGMOチーフアナリスト
配信元: 達人の予想