*15:47JST RSテクノ Research Memo(7):ウェーハ再生事業、プライムウェーハ事業を両輪に成長が続く見通し(1)
■今後の見通し
2. 中期経営計画の進捗状況
RS Technologies<3445>は中期業績目標として、2025年12月期に売上高57,600百万円、営業利益14,700百万円を設定している。3年間の年平均成長率は売上高で4.9%、営業利益で4.1%とやや低く見えるが、2023年12月期の業績計画を保守的に見ているためで、2024年12月期以降の2年間で見れば売上高で6.5%、営業利益で5.9%成長となる。
世界半導体市場統計(WSTS)が2023年11月に発表した市場予測によれば、2023年の半導体出荷額伸び率(ドルベース)は前年比9.4%減と4年ぶりにマイナス成長となるものの、2024年は同13.1%増となり、金額ベースで過去最高を更新する見通しとなっている。パワー半導体の安定成長が続くほか、2023年後半から立ち上がった生成AI関連の高性能GPUの伸長、並びにPCやスマートフォンの生産台数回復に伴ってメモリやマイクロなどその他半導体の需要も回復を見込んでいる。2024年の市場環境は好転が見込まれることから、同社の業績も成長が続く可能性が高いと弊社では見ている。
中国の半導体生産については米商務省が2022年10月に、最先端の半導体製品を製造するために必要となる装置の輸出規制を実施し、2023年に入って日本やオランダも歩調を合わせることに合意したことから、今後は最先端半導体工場の新設が困難な状況となっている。一方で、回路線幅で28nm以上のレガシーな半導体(アナログ半導体やパワー半導体等)については製造装置の輸出規制がないため、工場の新設は可能で引き続き拡大すると予想される。
なお、こうした中国への輸出規制が同社業績に与える影響はほとんどないと弊社では見ている。ウェーハ再生事業については国内工場で主に日本及び北米・欧州向け、台湾工場で主に台湾向け、中国工場で中国国内向けの需要にそれぞれ対応しており、米中貿易摩擦の影響を受けない体制を構築済みである。プライムウェーハ事業は、5インチ、6インチ、8インチのプライムウェーハを製造しており、中国ローカルメーカーの需要に対しシェアを拡大するだけでも成長する余地が大きいためだ。
今後、中国市場で12インチのプライム及び再生ウェーハ事業を持分法適用関連会社であるSGRSで展開する計画であるが、プライムウェーハについては輸出規制対象外のレガシーな半導体向けをターゲットにしているため、影響はないと考えられる。中国リスクが懸念されてはいるものの、パソコンやスマートフォン、テレビなど多くのエレクトロニクス製品は中国で生産されており、メーカーシェアでも上位を占める中国企業が国策として、中国製半導体の調達比率を引き上げる可能性が高いこと、またGRITEKやSGRSは内資企業ということもあり事業面でのリスクは低いと弊社では考えている。さらに、将来的に最先端品に対応した12インチプライムウェーハの量産が可能になった場合は、海外大手半導体メーカーを顧客ターゲットにすることもできる。SGRSは収益化の目途が立った段階で連結子会社として組み入れる意向であり、中長期的に同社の業績を大きくけん引するものと期待される。
(1) ウェーハ再生事業
ウェーハ再生事業については、12インチ再生ウェーハの旺盛な需要に対応するため、日本及び台湾で能力増強を進めるほか、SGRSの徳州工場でも量産を開始し中国での需要を取り込む戦略である。
能力増強スケジュールとしては、日本が2022年12月期末の月間30万枚から2025年12月期末には34万枚、台湾が同20万枚から28万枚とそれぞれ段階的に増強する。また、中国については同5万枚から10万枚へ拡大する計画である。設備投資額について見ると、2023年度から2025年度までの3年間で日本は25億円、台湾は36億円の投資を行う予定で、主にスループットの低い工程の設備機器を増設する。工場内の製造ライン増設余地は日本、台湾ともにあり、当面は設備の追加投資だけで能力を増強できる見通しだ。一方、中国については2024年以降の投資計画を未定としている。これは、米中貿易摩擦により12インチウェーハの需要動向がどのように推移するか見極める必要があるためで、外部委託なども含めて様々な選択肢のなかから決定する方針である。
12インチ再生ウェーハの月産能力はグループ全体で2022年12月期末の55万枚から2025年12月期末には72万枚と約1.3倍に拡大し(徳州工場を除けば62万枚で1.24倍)、徳州工場を除いて年率換算すれば7.4%増となる。今後もフル稼働が続き価格が安定的に推移すれば、売上高も同程度の成長が期待できる。営業利益率に関しては2017年12月期以降35~40%の水準で安定的に推移してきたことから、今後も同水準で推移すると見込まれる。市場シェアについても同社の強みを生かすことで、現在の33%の水準を維持できる見通しだ。なお、直近のトピックスとして、半導体受託生産で世界6位のPSMC(台湾)がSBIホールディングスとの合弁で、宮城県に新工場の建設を発表した。総投資額は8,000億円で、2027年に月産1万枚の量産を開始し、2029年に月産4万枚まで拡張する計画だ。立地場所は同社の工場に近く、ウェーハ再生事業だけでなく、半導体製造装置用消耗部材の売上増が期待できる動きとして注目される。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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2. 中期経営計画の進捗状況
RS Technologies<3445>は中期業績目標として、2025年12月期に売上高57,600百万円、営業利益14,700百万円を設定している。3年間の年平均成長率は売上高で4.9%、営業利益で4.1%とやや低く見えるが、2023年12月期の業績計画を保守的に見ているためで、2024年12月期以降の2年間で見れば売上高で6.5%、営業利益で5.9%成長となる。
世界半導体市場統計(WSTS)が2023年11月に発表した市場予測によれば、2023年の半導体出荷額伸び率(ドルベース)は前年比9.4%減と4年ぶりにマイナス成長となるものの、2024年は同13.1%増となり、金額ベースで過去最高を更新する見通しとなっている。パワー半導体の安定成長が続くほか、2023年後半から立ち上がった生成AI関連の高性能GPUの伸長、並びにPCやスマートフォンの生産台数回復に伴ってメモリやマイクロなどその他半導体の需要も回復を見込んでいる。2024年の市場環境は好転が見込まれることから、同社の業績も成長が続く可能性が高いと弊社では見ている。
中国の半導体生産については米商務省が2022年10月に、最先端の半導体製品を製造するために必要となる装置の輸出規制を実施し、2023年に入って日本やオランダも歩調を合わせることに合意したことから、今後は最先端半導体工場の新設が困難な状況となっている。一方で、回路線幅で28nm以上のレガシーな半導体(アナログ半導体やパワー半導体等)については製造装置の輸出規制がないため、工場の新設は可能で引き続き拡大すると予想される。
なお、こうした中国への輸出規制が同社業績に与える影響はほとんどないと弊社では見ている。ウェーハ再生事業については国内工場で主に日本及び北米・欧州向け、台湾工場で主に台湾向け、中国工場で中国国内向けの需要にそれぞれ対応しており、米中貿易摩擦の影響を受けない体制を構築済みである。プライムウェーハ事業は、5インチ、6インチ、8インチのプライムウェーハを製造しており、中国ローカルメーカーの需要に対しシェアを拡大するだけでも成長する余地が大きいためだ。
今後、中国市場で12インチのプライム及び再生ウェーハ事業を持分法適用関連会社であるSGRSで展開する計画であるが、プライムウェーハについては輸出規制対象外のレガシーな半導体向けをターゲットにしているため、影響はないと考えられる。中国リスクが懸念されてはいるものの、パソコンやスマートフォン、テレビなど多くのエレクトロニクス製品は中国で生産されており、メーカーシェアでも上位を占める中国企業が国策として、中国製半導体の調達比率を引き上げる可能性が高いこと、またGRITEKやSGRSは内資企業ということもあり事業面でのリスクは低いと弊社では考えている。さらに、将来的に最先端品に対応した12インチプライムウェーハの量産が可能になった場合は、海外大手半導体メーカーを顧客ターゲットにすることもできる。SGRSは収益化の目途が立った段階で連結子会社として組み入れる意向であり、中長期的に同社の業績を大きくけん引するものと期待される。
(1) ウェーハ再生事業
ウェーハ再生事業については、12インチ再生ウェーハの旺盛な需要に対応するため、日本及び台湾で能力増強を進めるほか、SGRSの徳州工場でも量産を開始し中国での需要を取り込む戦略である。
能力増強スケジュールとしては、日本が2022年12月期末の月間30万枚から2025年12月期末には34万枚、台湾が同20万枚から28万枚とそれぞれ段階的に増強する。また、中国については同5万枚から10万枚へ拡大する計画である。設備投資額について見ると、2023年度から2025年度までの3年間で日本は25億円、台湾は36億円の投資を行う予定で、主にスループットの低い工程の設備機器を増設する。工場内の製造ライン増設余地は日本、台湾ともにあり、当面は設備の追加投資だけで能力を増強できる見通しだ。一方、中国については2024年以降の投資計画を未定としている。これは、米中貿易摩擦により12インチウェーハの需要動向がどのように推移するか見極める必要があるためで、外部委託なども含めて様々な選択肢のなかから決定する方針である。
12インチ再生ウェーハの月産能力はグループ全体で2022年12月期末の55万枚から2025年12月期末には72万枚と約1.3倍に拡大し(徳州工場を除けば62万枚で1.24倍)、徳州工場を除いて年率換算すれば7.4%増となる。今後もフル稼働が続き価格が安定的に推移すれば、売上高も同程度の成長が期待できる。営業利益率に関しては2017年12月期以降35~40%の水準で安定的に推移してきたことから、今後も同水準で推移すると見込まれる。市場シェアについても同社の強みを生かすことで、現在の33%の水準を維持できる見通しだ。なお、直近のトピックスとして、半導体受託生産で世界6位のPSMC(台湾)がSBIホールディングスとの合弁で、宮城県に新工場の建設を発表した。総投資額は8,000億円で、2027年に月産1万枚の量産を開始し、2029年に月産4万枚まで拡張する計画だ。立地場所は同社の工場に近く、ウェーハ再生事業だけでなく、半導体製造装置用消耗部材の売上増が期待できる動きとして注目される。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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