山田コンサル Research Memo(5):2026年3月期に売上高227億円を目指す(1)

配信元:フィスコ
投稿:2023/08/02 12:05
*12:05JST 山田コンサル Research Memo(5):2026年3月期に売上高227億円を目指す(1) ■今後の見通し

1. 2024年3月期の業績見通し
山田コンサルティンググループ<4792>の2024年3月期の業績は、売上高が前期比32.5%増の21,800百万円、営業利益は同21.8%増の3,500百万円、経常利益が同19.8%増の3,500百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は同20.6%増の2,550百万円の見込みである。コンサルティング事業は堅調に推移し、投資事業は前期から持ち越したファンド投資株式の売却予定で、大幅な増収増益になる見込みである。

(1) コンサルティング事業
2024年3月期のコンサルティング事業の業績は、売上高が前期比4.6%増の16,810百万円、営業利益が同2.2%減の2,750百万円と見込んでいる。

「経営コンサルティング事業」では、今後も上場企業においてサステナビリティ経営に関連したニーズが多く、特に人的資本に関する案件が増加する見込みである。また上場・非上場企業問わず、人手不足時代を背景に、人事制度の見直しや人材育成に係る案件や、生産性向上のためのITを活用した業務改善の案件も堅調に推移する見通しである。「事業再生コンサルティング事業」では、過剰債務、原料高、水道光熱費や人件費の上昇などを要因に、本業改善や財務安定化のニーズ、事業再生型M&A案件も増加していく見込みである。また同社では、「M&Aアドバイザリー事業」では、M&A案件の引き合い件数・受注件数は引き続き堅調に推移していくと見ている。2023年3月期以降、PEファンドによる大型M&A案件に関与するなど、中堅・中小企業に加え、大手企業や上場企業からの引き合いも増加傾向にあり、加えて、東証新市場区分における上場維持基準の適合のためのM&Aの検討や、上場廃止のためのMBOなどの案件が増加している。

またアフターコロナを迎え、海外との往来に制約がほぼなくなり、海外事業に関する相談・課題解決支援が年々増加している。2024年3月期は各国の拠点との連携強化、インドオフィスのリサーチ・コンサル機能の拡大により、日本及び海外現地でのスピーディーな情報取得・案件推進体制の構築に努める。

(2) 投資事業
2024年3月期の投資事業の業績は、売上高が前期比1,125.3%増の4,990百万円、営業利益が同1,270.2%増の750百万円と見込んでいる。

「未上場株式投資事業」では、引き続き新規案件発掘に注力し、投資を検討・実行する。投資済み案件については、従来通り定期的なモニタリング活動を継続し、必要に応じ、コンサルティング機能を活用して包括的な支援を行う。「不動産投資事業」では、底地、共有持分(原則収益物件に限る)、古アパート、築年数が長い自宅など次世代に承継する際に敬遠されがちな不動産や、購入資金借り入れや融資審査通過の難しい不動産、資金化を急ぐケース、守秘を徹底したうえでの売却を希望するケースなどを対象とした投資を進める。

投資事業については、投資先のイグジットの時期を自由に設定することはできないため、業績もその時期に左右され大きく上下しやすい。その対策として、投資残高を今以上にあげることで比較的平準化した高い利益を得られることを目指す。今後は資本構成の再構築や株式資金化のニーズをターゲットに、投資事業全体で自己資金50億円及び借入金50億円で平均投資残高100億円を目途に、財務健全性を維持しながら残高を増やす計画である。

2. 中期経営計画
「事業再生コンサルティング」からスタートした同社は、顧客のニーズに対応するなかで、持続的成長、IT戦略&デジタル、組織戦略、コーポレートガバナンス、教育研修、事業再生、M&A、事業承継、不動産など様々なコンサルティングサービスを増やしてきた。2023年3月期からは、顧客の状況やステージの変化に応じて事業再生支援・組織改革支援・海外展開支援・M&A支援・事業承継支援等を行い、顧客生涯価値を最大化することを重点戦略としている。この戦略に基づき、中期経営計画における基本方針として、1) 事業間連携による付加価値向上、2) サービスの均質化、3) 新規・成長分野への注力を掲げている。

(1) 基本方針
顧客のあらゆる経営課題に対応し付加価値を高めるため、各事業における取り組みの共有や案件ベースでの議論の活性化を行い、事業間連携を一層強化する。各分野のコンサルタントが顧客に様々なサービスを継続して提供し、最終的に重要な意思決定の1つとしてM&Aへとつなげる場合もある。また主に東京本社で行っている高付加価値サービスを複数拠点のコンサルタントが協働することでサービスの均質化を図るとともに、社内における知識・ノウハウのマネジメントシステムの活用を促進する。そのほか、マーケットリサーチを生かした成長戦略・資本戦略を拡大する海外コンサルティングや持続可能な株主構成等の課題解決支援を行う未上場株式投資事業、円滑な資産承継に寄与する不動産投資事業など新規・成長分野に注力する。

(2) 主要事業別の基本方針
「経営コンサルティング事業」(「事業再生コンサルティング事業」含む)は、量的拡充から質的拡充への転換を目指す。具体的には、上場企業向けコンサルティング、組織戦略と人材戦略のコンサルティング、DXコンサルティングなどのサービスの拡充と強化、幅広いソリューションの提供によって、顧客との長期的な関係構築の促進、案件協働や知識・ノウハウ共有の強化により拠点及び案件における品質の均一化を促す。2026年3月期の売上総利益7,530百万円を目指す。

「M&Aアドバイザリー事業」は、潜在ニーズ顧客への継続的なフォローを推進し良質案件の割合を増やすことで、安定的なM&A案件創出の基盤を構築する。事業間連携によって業界の専門的な知識を習得し付加価値を向上するほか、案件の顕在化を待たずに能動的にM&A案件の創出を全拠点で実施する。2026年3月期の売上総利益6,860百万円を目指す。

「事業承継コンサルティング事業」は、さらなる専門性向上による差別化を図る。専門性の高い事業承継コンサルティングの提供、知識・ノウハウの強化、事業承継型M&Aなど他事業との連携を推進する。2026年3月期の売上総利益1,900百万円を目指す。

「投資事業」では、多様なコンサルティングサービスとのアライアンス強化により投資案件の発掘を行う。また、山田インベストメントによる投資事業(未上場株式投資事業及び不動産投資事業)の一元化とそれに伴う体制の整備を推進する。2026年3月期の売上総利益800百万円を目指す。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 中山博詞)

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