【中銀チェック】据え置き織り込みから一部で利上げ見通し広がる状況へ=豪中銀金融政策会合

著者:MINKABU PRESS
投稿:2023/06/04 15:10
【中銀チェック】据え置き織り込みから一部で利上げ見通し広がる状況へ=豪中銀金融政策会合

 6日13時半にオーストラリア準備銀行(中央銀行)金融政策会合の結果が発表されます。2022年5月の会合で利上げをスタートした豪中銀は今年3月まで10会合連続での利上げを行った後、4月の会合でいったん金利を据え置きました。前回5月2日の会合では大方の据え置き見通しに反して、0.25%の利上げを実施し、現在政策金利であるオフィシャル・キャッシュ・レートは3.85%となっています。
 ロウ中銀総裁は5月会合での声明において「妥当な期間内にインフレ率が目標に戻ることに確実を期すためには、幾分の追加的な金融引き締めが必要になる可能性があるが、それは景気およびインフレ動向次第になる」と今後のデータ次第という姿勢を示しました。
 
 発表後は6月の会合では金利を据え置くという見通しがほとんどでした。 5月の利上げの影響を検証するために、6月は金利を据え置き、7月もしくは8月に利上げを行うという見通しが大勢となっていました。豪中銀の金融政策理事会は年11回(基本毎月で1月だけ夏休み)と、日本や米国、英、ユーロ、カナダなどほとんどの国で採用されている年8回に比べて多く、毎回の利上げを実施していては影響が見えにくいという面があります。
 前回会合の市場予想で据え置きが多くなった背景でもある4月26日発表の第1四半期消費者物価指数の伸び鈍化なども落ち着いた利上げサイクルへの期待につながっていました。

 しかし、先週に入って追加利上げ期待が強まってきました。5月31日に発表された4月の月次消費者物価指数の伸びが前年比+6.8%と市場予想及び3月の水準を超える力強いものとなり、追加利上げ期待が広がりました。

 まだ豪州の政府機関である労使裁定機関は6月2日に、豪州の最低賃金を7月1日から5.75%引き上げて時給23.23豪ドルとすることを発表しました。

 こうした状況を受けて短期金利市場での6月の利上げ見通しは40%まで上昇してきています。ほぼゼロに近かった状況からの変化だけに相場にも豪ドル買いの影響が出ています。13日、14日の米連邦公開市場委員会(FOMC)での金利据え置き見通しが高まっているところだけに、金利差縮小に向けた動きは豪ドル買いドル売りにつながりやすい地合いとなっています。とはいえ、利上げ見通しはまだ少数派となっている為、実際に利上げが実施された場合はもう一段の豪ドル買いが入る可能性が高いです。

MINKABU PRESS 山岡和雅

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