ドル円は一時131円台に下落 市場の不信感は根強い=NY為替前半

著者:MINKABU PRESS
投稿:2023/03/18 03:02
 きょうのドル円はNY時間に入って戻り売りが強まり、一時131円台に下落した。前日の安値が131.70円付近にあり、試しに行くか注目される。今週は金融システムを巡って波乱の1週間となったが、クレディスイス問題はスイス中銀の支援、米地銀も米政府を中心に具体的な支援策が打ち出されたことから、ひとまず落ち着きを取り戻している。しかし、市場の不信感は根強く、ドル円の上値は重い。米株式市場も銀行株への売りが続くなど軟調に推移しており、ドル円を圧迫している。

 米銀行への最後の貸し手であるFRBが前日に連銀貸出の結果を発表していたが、2つの貸出制度を通じて3月15日までの1週間で計1648億ドルを貸し出していた。2008年の金融危機時に記録した1110億ドルを上回っている。これはSVBの破綻で米中小金融機関の資金調達状況が悪化したことを示す。また、今後、金融機関の融資基準が厳格化されることが予想され、中小企業を始めとした米企業の資金繰りが悪化し、経済全体へのマイナス面も指摘されている。

 FRBは来週にFOMCを開催するが、0.25%ポイントの利上げが有力視され、現状は70%程度の確率で市場は織り込んでいる。しかし、その後については慎重なアプローチも強調してくるのではとの見方もあるようだ。ただ、早期利下げ開始の選択肢までは、いまのところ有力視されていない。

 ユーロドルは1.06ドル台で上下動。前日のECB理事会では、予想に反して、コミット通りに0.50%ポイントの大幅利上げを実施して来た。これまでのような金利の道筋に対するヒントは示さなかったものの、ラガルド総裁の会見はタカ派姿勢を温存していた印象が強かった。

 市場からは、ECBはペースを減速させても利上げは継続するとの見方が出ている。引き締めの効果が徐々に現れる中、ECBは年内の利上げペースを減速させる可能性が高いと指摘。ECBがユーロの約20年の歴史で最も急ピッチに政策金利を引き上げたことで、銀行部門や加盟国政府の厳しい財政も含め、それが金融の安定性に影響する可能性があるという。

 しかし、エネルギー価格の低下から、総合インフレこそ最近は下がり始めているものの、コアインフレは依然として高止まりしており、賃金の伸びも拡大が続いている。そのため、利上げ継続に向けた圧力は続くと指摘した。

 ポンドドルは1.21ドル台で推移しているものの、買い優勢の展開が見られ、21日線の上での推移を続けている状況。目先は直近高値の1.22ドルちょうど付近を突破し、1月に到達できなかった1.25ドルを試す流れになるか注目される。

 来週のポンドはイベントが多く、忙しい週となりそうだ。最も注目なのは23日の英中銀金融政策委員会(MPC)だが、その前日22日に英消費者物価指数(CPI)の発表が予定されている。

 最近の英中銀はサービスインフレに注目しており、その中でも、教育、パッケージ旅行、航空券を除外し、付加価値税の変化を調整したコア・サービスインフレが注目を集めている。エコノミストの計算によると、1月のコア・サービスインフレは前年比5.3%に大幅に低下したという。今回2月のデータはさらに低下が予想され、英中銀の予想である6.9%を大きく下回る可能性があるという。

 市場では来週のMPCは0.25%の利上げが有力視されている。ただ、英中銀は利上げ打ち止めを示唆してくるのではとの見方もあるようだ。

MINKABU PRESS編集部 野沢卓美

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