*14:33JST PCNET Research Memo(3):ITサブスクリプション事業は持続的成長の基盤、最重要分野と位置づけ
■事業概要
パシフィックネット<3021>の事業セグメントは、サブスクリプション型サービスが大部分を占める「ITサブスクリプション事業」、使用済みIT機器のデータ消去及び適正処理サービス等を手掛ける「ITAD事業」、「イヤホンガイド(R)」の製造販売・レンタル・保守・メンテナンスを手掛ける「コミュニケーション・デバイス事業」に区分される。
1. ITサブスクリプション事業
ITサブスクリプション事業は法人・官公庁が業務で使用するPCのサブスクリプションでの提供及び、運用保守・クラウド等のITサービスが主な事業となる。同社が将来収益の拡大、持続的成長の基盤、環境変化への耐性強化として事業規模の拡大を進めている事業である。
同事業の規模拡大にはPCの仕入のほか、IT人材・設備への投資、基幹システムやCRM(顧客管理)システム刷新等のシステム投資の拡大のためのサービス提供インフラの先行投資が必要となる。そのためPCの仕入による減価償却費が先行することにより、受注時期とサブスクリプション開始時期(売上計上)に数ヶ月から半年程度のタイムラグがある。同分野は2025年10月にWindows 10のサポート終了が予定されているため、PC更新需要の拡大と事業規模拡大に備えた投資を先行させており、2025年にかけて重要な成長機会となる。
主なソリューションとしては、企業が業務で使用するPC等のIT機器を月額課金で提供するIT機器サブスクリプション、Microsoft 365等のクラウド導入サービス、デバイスの導入・運用保守・データ消去と通信、クラウド等をパッケージ化し、各種運用管理の業務負荷軽減に対応した「Marutto(まるっと)365」が挙げられる。また、「まるっとテレワーク Marutto Device Service」では、社内ヘルプデスク、PCの保管・配送、アカウント登録・管理など、情報システム担当者も含めた全社でのテレワークを可能にするソリューションを提供している。その他、従来の基盤構築に加え、サーバーの仮想化やクラウド環境の構築、リモート対応を中心とした保守サービスを備えた「ITインフラ構築支援ソリューション」の提供により、企業の働き方改革や業務の生産性向上、デジタル化、アウトソーシングニーズに対応している。
新サービスとしては、2022年7月より、企業のIT支援及び情報システム部門の業務負荷軽減に向けて「LCM as a Service」(サブスクリプション型サービス)の提供を開始した。LCMは、IT資産の導入・初期セッティングから運用管理、終了後の適正処分までを一元管理する仕組みであり、同社はすべてを自社で完結できることから、顧客のPC利用実態やLCM業務の課題に合わせたサービスを構築できることが強みとなっている。月額制及び従量制で高い費用対効果と可視化を実現するほか、毎月レポートで効果を共有する。Microsoft 365等のクラウドサービスもオプションとして提供し、業界最高水準のセキュリティを有する全国7ヶ所のセンターで対応する。
2. ITAD事業
ITADとは、IT Asset Dispositionの略語であり、IT機器資産の適正処分を意味する。ITAD事業は、使用済みIT機器のデータ消去・適正処理サービス、リユース・リサイクル販売が主な事業となる。データの漏洩を防ぐため国内最高レベルのセキュリティ環境にて機器の回収及びデータ消去を実施しており、2019年12月に起きた同業他社のハードディスク転売事件を機に、需要が高まっている。また、回収した機器は、すべて国内でリユース・リサイクル販売することにより、コンプライアンスと環境問題にも貢献する。
同社ではデータ漏洩に対する企業・官公庁の危機意識の高まりを背景に、独自のセキュリティポリシーに基づき、確実なデータ消去作業の実施、自社テクニカルセンター設備のセキュリティ強化と作業に携わる従業員の教育に徹底して取り組んでいる。
2022年6月より、顧客から回収した使用済みIT機器において、全台数のデータ消去のエビデンス(機器ごとの詳細データ)を自動生成し10年間保管する「Secure Trace(セキュアトレース)」の提供を開始した。データ消去証明書発行の有無にかかわらず、顧客から回収した使用済みIT機器のデータ消去情報をデジタルで紐づける画期的なシステムである。
また、使用済みIT機器処分に関する課題を解決する「排出管理BPOサービス」を2022年11月より開始した。これまで一部の大企業に限定して提供してきたが、ノウハウの蓄積やシステム構築等のデジタル化等業務面での諸準備が完了したため、提供を開始した。使用済みIT機器はリプレイス後に社内ネットワークから切り離されてしまうため、保有台数や拠点数の多い大企業では機器及びトレーサビリティ管理にかかる膨大な業務負荷・コスト負担、及び機器からのデータ漏洩等のリスクが大きな課題であった。同サービスはIT機器の排出時における回収の督促から適正処分までの業務をすべて受託(一部でも可能)するほか、これまで課題であった機器のトレーサビリティや消去データのデジタル管理及び可視化を実現した。IT機器に関するノウハウや高い技術力を持つ同社スタッフが、顧客の業務実態や課題に合わせサービスをカスタマイズする。
3. コミュニケーション・デバイス事業
コミュニケーション・デバイス事業は、ガイドレシーバーで高い国内シェアを持つケンネットが、「イヤホンガイド(R)」の製造販売・レンタル・保守・メンテナンスを提供している。「イヤホンガイド(R)」は送信機と複数の受信機からなる、手のひらサイズのワイヤレスガイド無線機で、約100メートルの距離まで届き、マスク越しや小声でも相手に明瞭に音声が伝わる性能を有している。旅行関連市場では国内トップシェアを有しており、観光地ガイドを中心に、国際会議での通訳や騒音の多い工場見学、美術館や博物館等などでも利用されているほか、近年は日本の世界遺産での採用やコロナ感染対策ツールとしての利用も増えている。直近では、2022年10月に大東文化大学の履修証明プログラムの1つで採用されたほか、11月には佐々木酒造(株)の蔵見学ツールで採用された。なお、SDGsへの取り組みの一環として、2021年7月より国内外のイヤホンガイドツアーで使用したアルカリ乾電池を社会福祉法人やこども園等に寄付をする活動を続けており、開始から約1年で寄贈実績が18万本を超えている。また、使用済乾電池を有効利用が可能な市場へ提供し、再利用する流通網を構築した。
(執筆:フィスコアナリスト 村瀬智一)
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パシフィックネット<3021>の事業セグメントは、サブスクリプション型サービスが大部分を占める「ITサブスクリプション事業」、使用済みIT機器のデータ消去及び適正処理サービス等を手掛ける「ITAD事業」、「イヤホンガイド(R)」の製造販売・レンタル・保守・メンテナンスを手掛ける「コミュニケーション・デバイス事業」に区分される。
1. ITサブスクリプション事業
ITサブスクリプション事業は法人・官公庁が業務で使用するPCのサブスクリプションでの提供及び、運用保守・クラウド等のITサービスが主な事業となる。同社が将来収益の拡大、持続的成長の基盤、環境変化への耐性強化として事業規模の拡大を進めている事業である。
同事業の規模拡大にはPCの仕入のほか、IT人材・設備への投資、基幹システムやCRM(顧客管理)システム刷新等のシステム投資の拡大のためのサービス提供インフラの先行投資が必要となる。そのためPCの仕入による減価償却費が先行することにより、受注時期とサブスクリプション開始時期(売上計上)に数ヶ月から半年程度のタイムラグがある。同分野は2025年10月にWindows 10のサポート終了が予定されているため、PC更新需要の拡大と事業規模拡大に備えた投資を先行させており、2025年にかけて重要な成長機会となる。
主なソリューションとしては、企業が業務で使用するPC等のIT機器を月額課金で提供するIT機器サブスクリプション、Microsoft 365等のクラウド導入サービス、デバイスの導入・運用保守・データ消去と通信、クラウド等をパッケージ化し、各種運用管理の業務負荷軽減に対応した「Marutto(まるっと)365」が挙げられる。また、「まるっとテレワーク Marutto Device Service」では、社内ヘルプデスク、PCの保管・配送、アカウント登録・管理など、情報システム担当者も含めた全社でのテレワークを可能にするソリューションを提供している。その他、従来の基盤構築に加え、サーバーの仮想化やクラウド環境の構築、リモート対応を中心とした保守サービスを備えた「ITインフラ構築支援ソリューション」の提供により、企業の働き方改革や業務の生産性向上、デジタル化、アウトソーシングニーズに対応している。
新サービスとしては、2022年7月より、企業のIT支援及び情報システム部門の業務負荷軽減に向けて「LCM as a Service」(サブスクリプション型サービス)の提供を開始した。LCMは、IT資産の導入・初期セッティングから運用管理、終了後の適正処分までを一元管理する仕組みであり、同社はすべてを自社で完結できることから、顧客のPC利用実態やLCM業務の課題に合わせたサービスを構築できることが強みとなっている。月額制及び従量制で高い費用対効果と可視化を実現するほか、毎月レポートで効果を共有する。Microsoft 365等のクラウドサービスもオプションとして提供し、業界最高水準のセキュリティを有する全国7ヶ所のセンターで対応する。
2. ITAD事業
ITADとは、IT Asset Dispositionの略語であり、IT機器資産の適正処分を意味する。ITAD事業は、使用済みIT機器のデータ消去・適正処理サービス、リユース・リサイクル販売が主な事業となる。データの漏洩を防ぐため国内最高レベルのセキュリティ環境にて機器の回収及びデータ消去を実施しており、2019年12月に起きた同業他社のハードディスク転売事件を機に、需要が高まっている。また、回収した機器は、すべて国内でリユース・リサイクル販売することにより、コンプライアンスと環境問題にも貢献する。
同社ではデータ漏洩に対する企業・官公庁の危機意識の高まりを背景に、独自のセキュリティポリシーに基づき、確実なデータ消去作業の実施、自社テクニカルセンター設備のセキュリティ強化と作業に携わる従業員の教育に徹底して取り組んでいる。
2022年6月より、顧客から回収した使用済みIT機器において、全台数のデータ消去のエビデンス(機器ごとの詳細データ)を自動生成し10年間保管する「Secure Trace(セキュアトレース)」の提供を開始した。データ消去証明書発行の有無にかかわらず、顧客から回収した使用済みIT機器のデータ消去情報をデジタルで紐づける画期的なシステムである。
また、使用済みIT機器処分に関する課題を解決する「排出管理BPOサービス」を2022年11月より開始した。これまで一部の大企業に限定して提供してきたが、ノウハウの蓄積やシステム構築等のデジタル化等業務面での諸準備が完了したため、提供を開始した。使用済みIT機器はリプレイス後に社内ネットワークから切り離されてしまうため、保有台数や拠点数の多い大企業では機器及びトレーサビリティ管理にかかる膨大な業務負荷・コスト負担、及び機器からのデータ漏洩等のリスクが大きな課題であった。同サービスはIT機器の排出時における回収の督促から適正処分までの業務をすべて受託(一部でも可能)するほか、これまで課題であった機器のトレーサビリティや消去データのデジタル管理及び可視化を実現した。IT機器に関するノウハウや高い技術力を持つ同社スタッフが、顧客の業務実態や課題に合わせサービスをカスタマイズする。
3. コミュニケーション・デバイス事業
コミュニケーション・デバイス事業は、ガイドレシーバーで高い国内シェアを持つケンネットが、「イヤホンガイド(R)」の製造販売・レンタル・保守・メンテナンスを提供している。「イヤホンガイド(R)」は送信機と複数の受信機からなる、手のひらサイズのワイヤレスガイド無線機で、約100メートルの距離まで届き、マスク越しや小声でも相手に明瞭に音声が伝わる性能を有している。旅行関連市場では国内トップシェアを有しており、観光地ガイドを中心に、国際会議での通訳や騒音の多い工場見学、美術館や博物館等などでも利用されているほか、近年は日本の世界遺産での採用やコロナ感染対策ツールとしての利用も増えている。直近では、2022年10月に大東文化大学の履修証明プログラムの1つで採用されたほか、11月には佐々木酒造(株)の蔵見学ツールで採用された。なお、SDGsへの取り組みの一環として、2021年7月より国内外のイヤホンガイドツアーで使用したアルカリ乾電池を社会福祉法人やこども園等に寄付をする活動を続けており、開始から約1年で寄贈実績が18万本を超えている。また、使用済乾電池を有効利用が可能な市場へ提供し、再利用する流通網を構築した。
(執筆:フィスコアナリスト 村瀬智一)
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