インフレ鈍化を示す指標を機にドル売りが活発に=NY為替前半

著者:MINKABU PRESS
投稿:2023/02/01 02:20
 きょうのNY為替市場はドル売りが強まり、ドル円も一時129円台に値を落とした。朝方発表の米雇用コスト指数が3四半期連続で伸びが鈍化したことに敏感に反応していた。きょうは月末とあって、インフレ鈍化の期待を示す指標を機にポジション調整のドル売りが活発に出たのかもしれない。

 きょうからFOMCが始まり、明日結果が発表される。きょうはその結果待ちの雰囲気も強いが、FRBは利上げ幅を通常の0.25%ポイントへ縮小することが有力視されている。直近の弱い米経済指標を受けて、FRBは年内に利下げに踏み切るとの観測が市場では根強く、ハト派な雰囲気が広がっている。しかし一方で、「FRBは今回のFOMCでタカ派姿勢を後退させることはない」というのが有力な見方ともなっている。想定通りだった場合、それを受けて市場がどう反応するかを見極めたい雰囲気もあるようだ。

 本日のドル円の21日線は130.35円付近に来ており上値を抑えている。ただ、下押す動きも見られない中で、次の展開待ちといった様子。明日のFOMCや米雇用統計を受けて、上下どちらに向かうかを確認してからエントリーしたい局面ではある。

 ユーロドルは買い戻しが見られた。ロンドン時間には1.08ドルちょうど付近まで下落し、本日1.07ドル台後半に来ている21日線を試すかにも思われたが、NY時間に入って買い戻されている。

 今週はECB理事会が予定され、0.50%ポイントの利上げがほぼ確実視されている。ただ、市場はそれよりも3月以降のシグナルの強さを気にしているようだ。今回の理事会は3月に0.50%ポイントの利上げがどれだけコミットされるかが注目。

 ECBの利上げに対する市場の見方は妥当と見ているが、3月に0.50%ポイントの利上げをコミットする可能性が高く、ラガルド総裁も「もっとやるべきことがある」と強調しており、市場もタカ派的な反応は避けられないという。短期金融市場では現在、年前半までに計1.36%ポイントの利上げを織り込み、中銀預金金利を3.25%か3.50%まで上昇させると見込んでいる。

 ドル売りが優勢となっているものの、ポンドも弱い動きが見られ、ポンドドルは一時1.22ドル台に値を落とす場面が見られた。英インフレは依然として高水準が続いており、英中銀ももうしばらく利上げを続けざるを得ない状況のようだが、英経済の先行き、特に住宅市場の低迷を理由にポンドと英国債に否定的な見方をしているとの声も聞かれる。

 英インフレと賃金データは英中銀が今週の金融政策委員会(MPC)で政策金利を0.50%ポイント引き上げ、4.00%にすることを正当化する。しかし、それ以上の追加利上げは英住宅市場とそれに伴う英経済の崩壊リスクをはらんでいると指摘している。

 そのため、ポンドに対しては弱気な見方を維持しており、英国債に対しては構造的な弱気スタンス(利回り上昇)を取っているが、当面の間は英金利のポジションは持てないという。

MINKABU PRESS編集部 野沢卓美

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