NZドル/円、『10月末買い』戦略が奏功するか

著者:津田隆光
投稿:2022/10/28 10:15

「85.000円」サポート成否がポイント!

NZドル/円・日足・複合チャート
NZドル/円・日足・複合チャート出所:マネースクエアFXチャート

【注目ポイント】「85.000円」で下値サポートされるか否か
【シナリオ①】同レートで下値サポートなら、「87.500円」超えを目指す展開
【シナリオ②】同レート割れなら、「83.500円」付近までの下押しも
【季節的アノマリー】“黄金の180日(半年)ルール”、“ハロウィン効果”


今月11日、ここもとの二番底となる「80.632円」を付けた後、徐々に上値を切り上げる相場付きとなっているNZドル/円。足もとでは、もう一段の上値追いを示唆するメルクマールが出現しています。

上図にある各メルクマールを見てみると、1) 21日MA(移動平均線)が右肩上がりであること、2) 遅行スパンがローソク足を上抜ける“好転”(上図黄色丸印)となっていること、3) ローソク足が赤色雲(=抵抗帯、先行スパン)の上方にあること、4) パラボリック・SAR(ストップ・アンド・リバース)がローソク足の下方で点灯していること、そして5) DMI(方向性指数)で+DI>-DIの乖離が拡大し、ADXが右肩上がり推移になっている(上図赤色点線丸印)ことからNZドル/円・日足チャートは上昇トレンド序盤を示唆するチャート形状であると判断します。

その他メルクマールでは、ⅰ) ローソク足がBB(ボリンジャーバンド)・+1σラインと同・+2σラインの間で推移する“上昇バンドウォーク”となっていること、また、ⅱ) BB・±2σラインが拡張する“エクスパンション”となっていることを合わせると、今後のNZドル/円は徐々に上値を切り上げる蓋然性(がいぜんせい)が高そうです。

足もとにおける注目ポイントは・・・BB・+1σラインを基準とする「85.000円」(上図黄色矢印および黒色線)でローソク足が下値サポートされるか否か。

筆者が予想する今後のシナリオは以下の通りです。(シナリオ①、②)


[シナリオ①]
これからの時間にかけて、「85.000円」で下値サポートされた場合は、「上昇バンドウォーク継続」→「もう一段の上値追い」となりそうです。当該ケースでは、「エクスパンションの進展」や「+DI>-DIのさらなる乖離拡大」なども伴いながら、先月12日に付けた高値レートを基準とする「87.500円」(上図Ⓐ赤色線)超えを試す展開となりそうです。

[シナリオ②]
一方で、「85.000円」を終値ベースで下回った場合は、「上昇バンドウォーク崩れ」→「一旦の下押し」となりそうです。当該ケースでは、「遅行スパンの“好転フェイク(ダマし)”」や「+DI>-DIの乖離縮小」なども伴いながら、約1カ月間における市場参加者の平均コストを示す21日MAを基準とする「83.500円」(上図Ⓑ緑色線)付近までの下押しもあり得そうです。


上記シナリオ①および②を概括すると、今後のNZドル/円にとって、「85.000円」ラインは重要な“分水嶺”(ぶんすいれい)となりそうです。

“黄金の180日ルール”(“ハロウィン効果”)について

主要銘柄の『10月末買い、翌年4月末売り』勝敗表(2001-2021年)
主要銘柄の『10月末買い、翌年4月末売り』勝敗表(2001-2021年)出所:Bloomberg、マネースクエアFXチャート

他方、毎年10月末のこの時期は、季節的なアノマリー※である“黄金の180日(半年)ルール”、または“ハロウィン効果”と呼ばれる、『10月末買い、翌年4月末売り』のトレード・アイデアをご紹介しています。(※アノマリー:論理的・合理的な説明が難しいものの、経験則的に「よく当たる」とされる相場の傾向・パターンのこと。)

01年以降21年間における主要銘柄(日米株価および主要対円通貨)の『10月末買い、翌年4月末売り』の勝敗表をご覧いただくと、NZドル/円の21年間におけるパフォーマンスは、15勝6敗(.714)となっていることが見て取れます。 (上図赤色四角枠、期間内のプラスリターンを「勝ち(〇)」、マイナスリターンを「負け(×)」としています。)

これは、同期間内におけるNYダウのパフォーマンス(17勝4敗、.809)には及ばないものの、対円通貨の中では比較的高い勝率と言えるでしょう。


このデータを以て、今回の『10月末買い、翌年4月末売り』が必ず成功するという結論には至りませんが、過去における相場の傾向・パターン、ないしは“クセ”としてご参考にしていただければと思います。

「出口戦略」(ex.トレールストップ、OCO、ストップロス)を十分考慮した上で、今後のトレード・アイデアの一助としていただければ幸いです。

津田隆光
マネースクエア チーフマーケットアドバイザー
配信元: 達人の予想