カナダドル/円、もう一段の上値切り上げとなるか

著者:津田隆光
投稿:2022/10/21 10:07

「110円」超えはさらなる上昇の“一里塚”?

カナダドル/円・日足・複合チャート
カナダドル/円・日足・複合チャート出所:マネースクエアFXチャート

【注目ポイント】DMI(方向性指数)の動向
【シナリオ①】「+DI>-DIの乖離拡大」+「ADXの上昇」なら、「110.000円」超えも
【シナリオ②】「+DI>-DIの乖離縮小or収斂」+「ADXの下降継続」なら、「106.600円」付近までの下押しも想定
【その他注目指標】遅行スパンの“好転”成否


20日の東京時間に米ドル/円が90年8月以来32年ぶりの高値となる150円台を示現。カナダドル/円も先月14日以来の高値となる「109.641円」を付ける展開となっています。

上図にある各メルクマールを見てみると、1) 21日MA(移動平均線)が右肩上がりであること、2) 遅行スパンがローソク足を上抜ける“好転”が示現しつつある(上図黄色丸印)こと、3) ローソク足が青色雲(=サポート帯、先行スパン)の上方にあること、4) パラボリック・SAR(ストップ・アンド・リバース)がローソク足の下方で点灯していること、そして5) DMI(方向性指数)で+DI>-DIとなり、ADXが右肩下がりとなっている(上図赤色点線丸印)ことから、カナダドル/円・日足チャートは上昇トレンド序盤を示すチャート形状であると判断します。

その他メルクマールでは、ⅰ) ローソク足がBB(ボリンジャーバンド)・+1σラインと同・+2σラインの間を推移する“上昇バンドウォーク”となっていること、また、ⅱ) BB・±2σラインが拡張する“エクスパンション”となっていることを合わせると、今後のカナダドル/円は徐々に上値を切り上げる展開となりそうです。

ここからの注目ポイントは・・・DMI(方向性指数)の動向。

筆者が予想する今後のシナリオは以下の通りです。(シナリオ①、②)


[シナリオ①]
これからの時間にかけて、「+DI>-DIの乖離が拡大」し、「ADXが上昇」した場合は、「上方ベクトルの強化」→「上値切り上げ」となりそうです。当該ケースでは、「上昇バンドウォークの継続」や「エクスパンションの進展」、また「遅行スパンの上放れ」なども伴いながら、先月13日の高値水準である「110.000円」(上図Ⓐ赤色線)超えに向けた上昇となりそうです。

[シナリオ②]
一方で、「+DI>-DIの乖離が縮小、ないしは収斂」し、「ADXの下降継続」となった場合は、「上値抑制」→「一旦の下押し」となりそうです。当該ケースでは、「上昇バンドウォーク崩れ」や「SARの売りサインへの転換」、また「遅行スパンの“好転フェイク(フェイク)”」なども伴いながら、約1カ月間における市場参加者の平均コストを示す21日MAを基準とする「106.600円」(上図Ⓑ緑色線)付近までの下押しも想定すべきでしょう。


上記シナリオ①および②を概括すると、当面※のカナダドル/円は下値しっかりかつ上値切り上げをこなしながら、「106.600~110.000円」を“主戦場”(コアレンジ)とする相場付きとなりそうです。(※ここでの「当面」は1~2週間のスパンを想定しています。)

また、上述したメルクマールのうちDMI以外では、「遅行スパンの“好転”成否」が今後のカナダドル/円のトレンド観測における重要な“風向計”となり得そうです。“フェイク(ダマし)”には十分留意する必要がありますが、チャートのパターン分析をベースに勘案すると、上記[シナリオ①]をメインストリームとし、「110円超え」はもう一段の上値切り上げのための“一里塚”と見るべきなのかもしれません。

津田隆光
マネースクエア チーフマーケットアドバイザー
配信元: 達人の予想