■システムサポート<4396>の業績動向
2. 事業セグメント別動向
(1) ソリューション事業
ソリューション事業の売上高は前期比12.8%増の13,609百万円、セグメント利益は同16.2%増の3,376百万円となり、利益率は前期比0.7ポイント上昇の24.8%となった。システムの維持・運用の効率化に向けたDX支援ソリューションとして需要が拡大している「ServiceNow」関連や、情報システムのクラウド基盤への移行並びに利用支援分野の受注が好調に推移した。利益率の上昇は増収効果に加えて、「ServiceNow」関連の売上構成比上昇によるところが大きい。
分野別売上を見ると、「ServiceNow」関連が前期比30.6%増の1,527百万円、クラウド基盤関連が同26.7%増の1,758百万円、ERP関連が同11.2%増の2,895百万円、データベース関連が同11.6%増の1,929百万円、ITシステム開発が同6.2%増の5,498百万円とすべての分野で増収となった。
「ServiceNow」関連については、旺盛な需要に対応すべく技術者の育成や外部パートナーの拡充に取り組んできたことが高成長につながっている。ServiceNow Japan(合)の発表資料によれば、同社の「ServiceNow」認定構築資格取得数は2020年11月の60件から2021年9月に109件、直近2022年6月末に176件と2年間で約3倍に増加しており、取得数では業界2位をキープしている※。市場の拡大に対応する格好で参入企業も増加しているが、引き続き最上位のElite Partnerとしてトップクラスのシェアを維持していると推察される。顧客も従前は東京や大阪の企業が大半であったが、最近では名古屋や石川エリアの受注も増加しており、引き続き能力に対して需要が上回る状況が続いている。
※Certified Implementation Specialist/Certified Application Developer/Certified Application Specialistを対象。1位はアクセンチュアで186件。
クラウド基盤関連では、Microsoft AzureやAWS、Oracle Cloudへの移行案件に加えて、2020年4月より開始したGoogle Cloud関連も順調に実績を伸ばし売上増加に貢献した。長年培ったデータベース分野の技術力を強みに、クラウドでのデータベースやデータ分析基盤の利用に関する案件を多く受注した。また、売上のうちリセール収入は同30.7%増の1,010百万円となった。リセールとは顧客アカウントのクラウドサービス利用料のことで、利益率は低いものの解約が無い限りは、継続的に売上計上が見込める安定収益源となる。
そのほか、ERP関連ではSAP社の既存製品の保守サポート切れ(2027年)を控えているため、導入企業で既存製品から「SAP S/4 HANA」へ移行する動きが継続しており、順調に売上が伸びている。ERP分野に関してはニアショア対応可能な北陸地区で保守体制を構築しており、ERPのコンサルティングから開発、インフラ構築、保守サービスまでをワンストップで対応できることも売上拡大の一因と考えられる。
(2) アウトソーシング事業
アウトソーシング事業の売上高は前期比6.1%増の1,889百万円、セグメント利益は同3.7%増の579百万円と増収増益が続いた。AI関連サービスなどを含めたデータセンター運用業務の売上が順調に積み上がった。企業がBCP対策の一環として、地震の少ない金沢市に拠点を置く同社データセンターを利用するケースが増えているものと見られる。利益率が前期の31.4%から30.7%と若干低下したが、これは好調な受注を背景にデータセンターの能力拡大を目的としたサーバー増強投資を実施したことが要因となっている。データセンターの月額ストック売上については右肩上がりに積み上がっており、直近では100百万円を超える水準となっている。
(3) プロダクト事業
プロダクト事業の売上高は前期比20.8%増の670百万円、セグメント利益は同35.2%増の399百万円と大幅な増収増益となり、2期ぶりに過去最高益を更新した。「MOS」(モバイル受発注システム)、「就業役者」(勤怠・作業管理システム)及び「SHIFTEE」(クラウド型シフト管理システム)の販売が好調に推移した。利益率も採算の良いプロダクトが伸長したことにより前期の53.2%から59.6%へと大きく上昇した。
「MOS」については使い勝手の良いUI(ユーザーインターフェース)やカスタマイズが可能なこと、費用対効果の高いことなどが評価されているほか、販売代理店網が充実していることもあり、累積導入社数が前期末比66社増の597社となった。また、2018年から販売開始した「就業役者」はリモートワークなど多様な働き方を導入する企業が増加するなか、会社のルールに沿ってフレキシブルに設定可能な点が評価され、同26社増の122社となった。機能強化も継続的に進めているため収益化していないものの、導入社数が順調に伸びていることから早晩黒字化するものと見込まれる。そのほか「SHIFTEE」は同4社増の98社、「建て役者」は同31社増の688社となっている。売上高構成比では「MOS」が3割強ともっとも大きく、次いで「建て役者」が3割弱、「SHIFTEE」「就業役者」がそれぞれ約1割、その他が2割弱を占めている。
財務基盤の強化が進み、収益性も着実に向上
3. 財務状況と経営指標
2022年6月期末の財務状況を見ると、総資産は前期末比1,153百万円増加の7,815百万円となった。主な増減要因を見ると、流動資産では収益増加に伴い現金及び預金が556百万円増加したほか、受取手形、売掛金及び契約資産が494百万円増加した。また、固定資産では有形固定資産が16百万円減少した一方で、のれんが196百万円、繰延税金資産が62百万円それぞれ増加した。
負債合計は前期末比724百万円増加の4,393百万円となった。有利子負債が196百万円増加したほか、未払法人税等が123百万円、未払費用が186百万円、未払金が92百万円それぞれ増加したことによる。また、純資産合計は前期末比428百万円増加の3,421百万円となった。親会社株主に帰属する当期純利益の計上及び配当金支出により、利益剰余金が457百万円増加したことが主な増加要因となっている。
経営指標について見ると、自己資本比率は前期末の44.9%から43.8%と若干低下したものの、事業拡大に伴い自己資本以上に負債が増加したためであり、自己資本並びに現預金、ネットキャッシュ(現預金−有利子負債)は増加基調が続いていることから、財務基盤の強化が進んでいるものと判断される。また、収益性についてもROAで16.4%、営業利益率で7.4%とそれぞれ上昇基調が続いており、ROEについても20%台の水準をキープするなど収益の拡大とともに収益性も向上していることがうかがえる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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2. 事業セグメント別動向
(1) ソリューション事業
ソリューション事業の売上高は前期比12.8%増の13,609百万円、セグメント利益は同16.2%増の3,376百万円となり、利益率は前期比0.7ポイント上昇の24.8%となった。システムの維持・運用の効率化に向けたDX支援ソリューションとして需要が拡大している「ServiceNow」関連や、情報システムのクラウド基盤への移行並びに利用支援分野の受注が好調に推移した。利益率の上昇は増収効果に加えて、「ServiceNow」関連の売上構成比上昇によるところが大きい。
分野別売上を見ると、「ServiceNow」関連が前期比30.6%増の1,527百万円、クラウド基盤関連が同26.7%増の1,758百万円、ERP関連が同11.2%増の2,895百万円、データベース関連が同11.6%増の1,929百万円、ITシステム開発が同6.2%増の5,498百万円とすべての分野で増収となった。
「ServiceNow」関連については、旺盛な需要に対応すべく技術者の育成や外部パートナーの拡充に取り組んできたことが高成長につながっている。ServiceNow Japan(合)の発表資料によれば、同社の「ServiceNow」認定構築資格取得数は2020年11月の60件から2021年9月に109件、直近2022年6月末に176件と2年間で約3倍に増加しており、取得数では業界2位をキープしている※。市場の拡大に対応する格好で参入企業も増加しているが、引き続き最上位のElite Partnerとしてトップクラスのシェアを維持していると推察される。顧客も従前は東京や大阪の企業が大半であったが、最近では名古屋や石川エリアの受注も増加しており、引き続き能力に対して需要が上回る状況が続いている。
※Certified Implementation Specialist/Certified Application Developer/Certified Application Specialistを対象。1位はアクセンチュアで186件。
クラウド基盤関連では、Microsoft AzureやAWS、Oracle Cloudへの移行案件に加えて、2020年4月より開始したGoogle Cloud関連も順調に実績を伸ばし売上増加に貢献した。長年培ったデータベース分野の技術力を強みに、クラウドでのデータベースやデータ分析基盤の利用に関する案件を多く受注した。また、売上のうちリセール収入は同30.7%増の1,010百万円となった。リセールとは顧客アカウントのクラウドサービス利用料のことで、利益率は低いものの解約が無い限りは、継続的に売上計上が見込める安定収益源となる。
そのほか、ERP関連ではSAP社の既存製品の保守サポート切れ(2027年)を控えているため、導入企業で既存製品から「SAP S/4 HANA」へ移行する動きが継続しており、順調に売上が伸びている。ERP分野に関してはニアショア対応可能な北陸地区で保守体制を構築しており、ERPのコンサルティングから開発、インフラ構築、保守サービスまでをワンストップで対応できることも売上拡大の一因と考えられる。
(2) アウトソーシング事業
アウトソーシング事業の売上高は前期比6.1%増の1,889百万円、セグメント利益は同3.7%増の579百万円と増収増益が続いた。AI関連サービスなどを含めたデータセンター運用業務の売上が順調に積み上がった。企業がBCP対策の一環として、地震の少ない金沢市に拠点を置く同社データセンターを利用するケースが増えているものと見られる。利益率が前期の31.4%から30.7%と若干低下したが、これは好調な受注を背景にデータセンターの能力拡大を目的としたサーバー増強投資を実施したことが要因となっている。データセンターの月額ストック売上については右肩上がりに積み上がっており、直近では100百万円を超える水準となっている。
(3) プロダクト事業
プロダクト事業の売上高は前期比20.8%増の670百万円、セグメント利益は同35.2%増の399百万円と大幅な増収増益となり、2期ぶりに過去最高益を更新した。「MOS」(モバイル受発注システム)、「就業役者」(勤怠・作業管理システム)及び「SHIFTEE」(クラウド型シフト管理システム)の販売が好調に推移した。利益率も採算の良いプロダクトが伸長したことにより前期の53.2%から59.6%へと大きく上昇した。
「MOS」については使い勝手の良いUI(ユーザーインターフェース)やカスタマイズが可能なこと、費用対効果の高いことなどが評価されているほか、販売代理店網が充実していることもあり、累積導入社数が前期末比66社増の597社となった。また、2018年から販売開始した「就業役者」はリモートワークなど多様な働き方を導入する企業が増加するなか、会社のルールに沿ってフレキシブルに設定可能な点が評価され、同26社増の122社となった。機能強化も継続的に進めているため収益化していないものの、導入社数が順調に伸びていることから早晩黒字化するものと見込まれる。そのほか「SHIFTEE」は同4社増の98社、「建て役者」は同31社増の688社となっている。売上高構成比では「MOS」が3割強ともっとも大きく、次いで「建て役者」が3割弱、「SHIFTEE」「就業役者」がそれぞれ約1割、その他が2割弱を占めている。
財務基盤の強化が進み、収益性も着実に向上
3. 財務状況と経営指標
2022年6月期末の財務状況を見ると、総資産は前期末比1,153百万円増加の7,815百万円となった。主な増減要因を見ると、流動資産では収益増加に伴い現金及び預金が556百万円増加したほか、受取手形、売掛金及び契約資産が494百万円増加した。また、固定資産では有形固定資産が16百万円減少した一方で、のれんが196百万円、繰延税金資産が62百万円それぞれ増加した。
負債合計は前期末比724百万円増加の4,393百万円となった。有利子負債が196百万円増加したほか、未払法人税等が123百万円、未払費用が186百万円、未払金が92百万円それぞれ増加したことによる。また、純資産合計は前期末比428百万円増加の3,421百万円となった。親会社株主に帰属する当期純利益の計上及び配当金支出により、利益剰余金が457百万円増加したことが主な増加要因となっている。
経営指標について見ると、自己資本比率は前期末の44.9%から43.8%と若干低下したものの、事業拡大に伴い自己資本以上に負債が増加したためであり、自己資本並びに現預金、ネットキャッシュ(現預金−有利子負債)は増加基調が続いていることから、財務基盤の強化が進んでいるものと判断される。また、収益性についてもROAで16.4%、営業利益率で7.4%とそれぞれ上昇基調が続いており、ROEについても20%台の水準をキープするなど収益の拡大とともに収益性も向上していることがうかがえる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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