NZドル/円、今後の投資戦略は?

著者:津田隆光
投稿:2022/09/09 10:03

足もとは「やや速度超過」か

NZドル/円・日足・複合チャート
NZドル/円・日足・複合チャート出所:マネースクエアFXチャート

【注目ポイント】「87.500円」(上図黄色矢印および黒色線)を上抜け突破するか否か
【シナリオ①】同レート上抜け突破なら、「90円台」に向けた動きもあり得そう
【シナリオ②】同レートで上値抑制なら、「85.740円」付近までの修正安も視野
【投資戦略アイデア】『8月末買い』戦略は継続


ここもと上昇モメンタムが強まる動きとなっているNZドル/円。上図にある通り、a) 4月20日の高値「87.280円」を起点とする上値切り下げ、そして5月12日の安値「79.395円」を起点とする下値切り上げとなる『三角保ち合い・ペナント型』(上図黒色線、以下ペナント型)の上値抵抗線を今週6日時点で上抜け突破していること、そして、b) 季節的アノマリーに準じた『8月末買い』戦略が現時点においてワークしていることが注目ポイントとして挙げられるでしょう。


その他の各メルクマールを見ると、1) 21日MA(移動平均線)が右肩上がりであること、2) 遅行スパンがローソク足を上放れる“好転”シグナルが示現していること、3) ローソク足の下方に厚い青色雲(=サポート帯、先行スパン)およびパラボリック・SAR(ストップ・アンド・リバース)があること、そして、4) DMI(方向性指数)で+DI>-DIの乖離が拡大し、ADXが右肩上がり形状となっている(上図赤色点線丸印)ことから、NZドル/円・日足チャートは、上昇トレンド序盤を示すチャート形状であると判断します。

その他メルクマールでは、ⅰ) ローソク足がBB(ボリンジャーバンド)・+2σライン付近で推移する“上昇バンドウォーク”となっていること、また、ⅱ) BB・±2σラインが拡張する“エクスパンション”が示現していることを加味すると、今後のNZドル/円はもう一段の上値切り上げとなる可能性も。

他方、本稿執筆(9日午前8時30分)時点では、ローソク足が「買われ過ぎ」のメドとするBB・+2σライン(≒87.150円)をオーバーシュートしていることから、現在の動きは「やや速度超過」の状態と見ることもできるでしょう。


目先の注目ポイントは・・・4月20日時高値レートの近似値であり、同時に心理的な節目でもある「87.500円」(上図黄色矢印および黒色線)を上抜け突破するか否か。

筆者が予想する今後のシナリオは以下の通りです。(シナリオ①、②)


[シナリオ①]
これからの時間にかけて、「87.500円」を終値ベースで上抜け突破した場合は、「心理的節目超え」→「上昇モメンタムの強まり」となりそうです。当該ケースでは、「上昇バンドウォークの継続」や「エクスパンションの進展」、また「+DI>-DIのさらなる乖離拡大」も伴いながら、15年5月以来となる「90円台」に向けた動きもあり得そうです。

[シナリオ②]
一方で、「87.500円」付近で上値を抑制された場合は、「上値抵抗圧力の増大」→「一旦の下押し」となりそうです。当該ケースでは、「上昇バンドウォーク崩れ」や「エクスパンションの修正」、また「+DI>-DIの乖離縮小」も伴いながら、青色雲の上辺である先行1スパンの基準値であり、同時にペナント型・上値抵抗線の基準値でもある「85.740円」(上図Ⓐ水色線)付近までの修正安も視野に入れるべきでしょう。ただし、現状では青色雲が厚い状態(=強い下値サポート帯)となっていることから、下値余地は限定的と見て良さそうです。


上記シナリオ①および②を踏まえた上で、チャートのアナロジー(類比)分析をベースに勘案すると、現時点では、ローソク足と青色雲の上辺である先行1スパンに比較的大きな乖離があること、さらには、上述の通り、ローソク足が「買われ過ぎ」のメドとするBB・+2σライン(≒87.150円)をオーバーシュートしていることから、上記[シナリオ②]となる蓋然性(がいぜんせい)が高いのではないかと考えます。

よって、足もとのNZドル/円については、『8月末買い』戦略は継続の上、一部ポジション整理(=利益確定)などによる出口戦略を模索するのも一案と言えるでしょう。(=「利食い千人力」) その後は「押し目買い」や「打診買い」をしつつ、引き続きRBNZ(NZ中銀)とBOJ(日銀)との金融政策スタンスの差異(=乖離)を鑑みた円キャリートレードを継続するのが得策と考えます。

津田隆光
マネースクエア チーフマーケットアドバイザー
配信元: 達人の予想