■サイバネットシステム<4312>の会社概要
2. 事業内容
同社グループは、ソフトウェア及び技術サービス(技術サポート、コンサルティング等)によるソリューションサービス事業を国内外で展開しており、その事業の対象分野の違いから、シミュレーションソリューションサービス事業とITソリューションサービス事業の2つの事業セグメントで開示している。シミュレーションソリューションサービス事業は、同社及びサイバネットMBSEのほか、海外で自社開発製品を開発・販売するMaplesoft、Sigmetrix、Noesis、及びアジアの販売子会社3社(中国、台湾、マレーシア)で構成され、ITソリューションサービス事業については同社のみで展開している。2022年12月期第2四半期累計の事業セグメント別構成比で見ると、シミュレーションソリューションサービス事業が売上高の78.7%、セグメント利益の82.9%を占める主力事業となっている。
2021年12月期まではCAEソリューションサービス事業とITソリューションサービス事業に区分していたが、シミュレーション技術の活用領域が広がるなか、事業内容を適切に開示することを目的に、CAEソリューションサービス事業をシミュレーションソリューションサービス事業に改称し、また、ITソリューションサービス事業に含まれていた医療画像ソフトウェアをシミュレーションソリューションサービス事業に移管した。本レポートでは2021年12月期のセグメント別売上実績についても新区分見直し後の数値で記載している。
なお、従業員数は2021年12月末時点で連結573名、単体350名の規模となっており、連結従業員数の約45%が技術者で占められている。
(1) ビジネスモデル
ビジネスモデルを簡単に説明すると、国内外の有力ソフトウェアベンダーと販売代理店契約を締結し、ソフトウェア製品(自社グループの開発製品含む)を企業や大学・研究機関などに販売している。また、その際に製品を顧客が上手く使いこなせるよう支援するエンジニアリングサービス※を顧客ニーズに応じて提供しており、顧客から出てきたニーズを開発元ベンダーにフィードバックすることで、製品力の向上に貢献している。
※ソフトウェア導入支援や技術サポート、受託解析などソフトウェアを顧客が有効利用するためのコンサルティングサービス。
特に、シミュレーションソリューション分野においては国内のパイオニア企業として36年以上にわたる長い経験と技術の蓄積があり、顧客が抱える様々な課題を解決に導くソリューション力を持つことから、顧客との強固な信頼関係が構築されており、開発元ベンダーからも高く評価されている。例えば、現在の主力取引先ベンダーであるAnsysからは、2015年から8年連続で「Ansys Elite Channel Partner」※に認定されており、アジア地域でトップの評価を受けているほか、既在顧客の契約更新率が高い代理店に贈られる「Top Renewal Performer in 2021」を世界の代理店で唯一、受賞している。
※「Ansys Elite Channel Partner」は、「Ansysソフトウェア」の販売活動においてもっとも貢献が認められた組織に授与される称号で、国内代理店では唯一2015年から8年連続で認定された。厳格な認定要件を満たし、最高レベルの顧客満足度を獲得したことが評価されている。
(2) 形態別売上高と地域別売上高
売上高を形態別に分けると、開発元ベンダーの製品を販売する代理店売上、自社開発製品売上、各種ソリューションサービス(エンジニアリングサービス、教育研修サービス等)売上の3つに分けられ、2022年12月期第2四半期累計の連結実績では代理店が70.8%、自社開発製品が18.7%、サービスが10.5%の売上構成となっている。地域別の売上構成比を見ると、日本が78.0%、アジアが10.2%、北米が7.9%、欧州が3.6%で、国内での販売代理店ビジネスが主力ビジネスとなっているが、今後は自社開発製品・サービスやアジアなど海外売上高を拡大することでさらなる成長を目指す戦略を打ち出している。
(3) 契約形態別売上高、業種別売上高
売上高を契約形態別で分けると、ライセンス形態とそれ以外に分けられる。また、ライセンス形態はソフトウェア製品を新規に導入する場合の新規契約料(初期導入及び1年間の利用料+保守料)と、2年目以降の更新契約料(1年間の利用料+保守料)に分けられる。これに顧客が必要に応じて、各種オプションサービスを追加する格好となる。一方、ライセンス契約以外の売上としては、エンジニアリングサービスや教育研修サービスなどが含まれる。
2022年12月期第2四半期累計の売上構成比(単体)を見ると、ライセンス更新契約が56.0%、ライセンス新規契約が27.5%、その他が16.5%となっており、ライセンス更新契約の比率が従前の60%台から低下している。これは長らく販売代理店となっていたSynopsysとの契約が終了した影響による。とはいえ、売上高の過半はライセンス更新契約で占められており、同社の安定収益源となっている。同社の顧客は大企業や大学・研究機関が大半を占めており、主力のCAEソフトウェア製品に関しては、一旦導入されれば継続性の観点からほぼ契約が更新されるためだ。
2022年12月期第2四半期累計の業種別売上構成比(単体)を見ると、電気機器が22.2%と最も高く、次いで機械・精密機器が14.9%、輸送用機器が13.1%となり、製造業全体では67.7%を占める。ただ、ここ数年はシミュレーション活用領域の広がりによって非製造業向けの売上構成比率が徐々に上昇している(2018年12月期27.5%→2022年12月期第2四半期累計32.2%)。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
<SI>
2. 事業内容
同社グループは、ソフトウェア及び技術サービス(技術サポート、コンサルティング等)によるソリューションサービス事業を国内外で展開しており、その事業の対象分野の違いから、シミュレーションソリューションサービス事業とITソリューションサービス事業の2つの事業セグメントで開示している。シミュレーションソリューションサービス事業は、同社及びサイバネットMBSEのほか、海外で自社開発製品を開発・販売するMaplesoft、Sigmetrix、Noesis、及びアジアの販売子会社3社(中国、台湾、マレーシア)で構成され、ITソリューションサービス事業については同社のみで展開している。2022年12月期第2四半期累計の事業セグメント別構成比で見ると、シミュレーションソリューションサービス事業が売上高の78.7%、セグメント利益の82.9%を占める主力事業となっている。
2021年12月期まではCAEソリューションサービス事業とITソリューションサービス事業に区分していたが、シミュレーション技術の活用領域が広がるなか、事業内容を適切に開示することを目的に、CAEソリューションサービス事業をシミュレーションソリューションサービス事業に改称し、また、ITソリューションサービス事業に含まれていた医療画像ソフトウェアをシミュレーションソリューションサービス事業に移管した。本レポートでは2021年12月期のセグメント別売上実績についても新区分見直し後の数値で記載している。
なお、従業員数は2021年12月末時点で連結573名、単体350名の規模となっており、連結従業員数の約45%が技術者で占められている。
(1) ビジネスモデル
ビジネスモデルを簡単に説明すると、国内外の有力ソフトウェアベンダーと販売代理店契約を締結し、ソフトウェア製品(自社グループの開発製品含む)を企業や大学・研究機関などに販売している。また、その際に製品を顧客が上手く使いこなせるよう支援するエンジニアリングサービス※を顧客ニーズに応じて提供しており、顧客から出てきたニーズを開発元ベンダーにフィードバックすることで、製品力の向上に貢献している。
※ソフトウェア導入支援や技術サポート、受託解析などソフトウェアを顧客が有効利用するためのコンサルティングサービス。
特に、シミュレーションソリューション分野においては国内のパイオニア企業として36年以上にわたる長い経験と技術の蓄積があり、顧客が抱える様々な課題を解決に導くソリューション力を持つことから、顧客との強固な信頼関係が構築されており、開発元ベンダーからも高く評価されている。例えば、現在の主力取引先ベンダーであるAnsysからは、2015年から8年連続で「Ansys Elite Channel Partner」※に認定されており、アジア地域でトップの評価を受けているほか、既在顧客の契約更新率が高い代理店に贈られる「Top Renewal Performer in 2021」を世界の代理店で唯一、受賞している。
※「Ansys Elite Channel Partner」は、「Ansysソフトウェア」の販売活動においてもっとも貢献が認められた組織に授与される称号で、国内代理店では唯一2015年から8年連続で認定された。厳格な認定要件を満たし、最高レベルの顧客満足度を獲得したことが評価されている。
(2) 形態別売上高と地域別売上高
売上高を形態別に分けると、開発元ベンダーの製品を販売する代理店売上、自社開発製品売上、各種ソリューションサービス(エンジニアリングサービス、教育研修サービス等)売上の3つに分けられ、2022年12月期第2四半期累計の連結実績では代理店が70.8%、自社開発製品が18.7%、サービスが10.5%の売上構成となっている。地域別の売上構成比を見ると、日本が78.0%、アジアが10.2%、北米が7.9%、欧州が3.6%で、国内での販売代理店ビジネスが主力ビジネスとなっているが、今後は自社開発製品・サービスやアジアなど海外売上高を拡大することでさらなる成長を目指す戦略を打ち出している。
(3) 契約形態別売上高、業種別売上高
売上高を契約形態別で分けると、ライセンス形態とそれ以外に分けられる。また、ライセンス形態はソフトウェア製品を新規に導入する場合の新規契約料(初期導入及び1年間の利用料+保守料)と、2年目以降の更新契約料(1年間の利用料+保守料)に分けられる。これに顧客が必要に応じて、各種オプションサービスを追加する格好となる。一方、ライセンス契約以外の売上としては、エンジニアリングサービスや教育研修サービスなどが含まれる。
2022年12月期第2四半期累計の売上構成比(単体)を見ると、ライセンス更新契約が56.0%、ライセンス新規契約が27.5%、その他が16.5%となっており、ライセンス更新契約の比率が従前の60%台から低下している。これは長らく販売代理店となっていたSynopsysとの契約が終了した影響による。とはいえ、売上高の過半はライセンス更新契約で占められており、同社の安定収益源となっている。同社の顧客は大企業や大学・研究機関が大半を占めており、主力のCAEソフトウェア製品に関しては、一旦導入されれば継続性の観点からほぼ契約が更新されるためだ。
2022年12月期第2四半期累計の業種別売上構成比(単体)を見ると、電気機器が22.2%と最も高く、次いで機械・精密機器が14.9%、輸送用機器が13.1%となり、製造業全体では67.7%を占める。ただ、ここ数年はシミュレーション活用領域の広がりによって非製造業向けの売上構成比率が徐々に上昇している(2018年12月期27.5%→2022年12月期第2四半期累計32.2%)。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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