米ドル/円、パウエル議長講演が動意となりそう

著者:津田隆光
投稿:2022/08/26 10:08

世界の耳目が集まるジャクソンホール会議!チョッピ―な値動きに要注意!

米ドル/円・日足・複合チャート
米ドル/円・日足・複合チャート出所:マネースクエアFXチャート

【注目ポイント】「138.050円」を上抜け突破するか否か
【シナリオ①】同レート上抜け突破なら、「140.000円」超えを試す動きも想定
【シナリオ②-1】同レート上値抑制なら、「135.000円」付近までの下押しも
【シナリオ②-2】「135.000円」割れ示現なら、「131.350円」付近までの下落も視野
【“主戦場”(コアレンジ)】「135.000~140.000円」
【“想定戦域”(ワイドレンジ)】「131.350~140.000円超え」
【注目イベント】ジャクソンホール会議でのパウエルFRB議長講演(26日23時~)


米ドル/円相場は、今月半ばを起点に徐々に上値を切り上げる相場付きとなっていましたが、BB(ボリンジャーバンド)・+2σラインに近付くとその上昇ペースがダウン。足もとでは「上値抑制」→「横這い基調主体」となっています。

上図の各メルクマールを見ると、1) 21日MA(移動平均線)が横向きであること、2) 遅行スパンがローソク足に絡み合う状態となっていること、3) ローソク足の下方に薄い赤色雲(=抵抗帯、先行スパン)およびパラボリック・SAR(ストップ・アンド・リバース)があること、4) BB・±2σラインが21日MAに対してパラレルとなっていること、そして5) DMI(方向性指数)で、ADX・+DI・-DIが収斂する状態(上図赤色点線丸印)になっていることから、米ドル/円・日足チャートは、レンジ相場を形成する中で方向性を模索するチャート形状であると判断します。

目先の注目ポイントは・・・BB・+2σラインを基準とする「138.050円」(上図黄色矢印および黒色線)を上抜け突破するか否か。

筆者が予想する今後のシナリオは以下の通りです。(シナリオ①、②)


[シナリオ①]
これからの時間にかけて、「138.050円」を終値ベースで上抜け突破した場合は、「上値抵抗線突破」→「もう一段の上値切り上げ」となりそうです。当該ケースでは、「遅行スパンの“好転”示現」や「上昇バンドウォーク継続」、さらには「+DI>-DIの乖離拡大」も伴いながら、心理的な節目である「140.000円」(上図Ⓐ赤色線)超えを試す動きも想定すべきでしょう。

[シナリオ②-1]
一方で、「138.050円」付近で上値を抑制された場合は、「上値抵抗圧力の増大」→「下押しフロー」となりそうです。当該ケースでは、「遅行スパンの“好転フェイク(ダマし)”」や「SARの売りサインへの転換」、さらには「-DI>+DIの乖離拡大」も伴いながら、約1カ月間における市場参加者の平均コストを示す21日MAを基準とする「135.000円」(上図Ⓑ緑色線)付近までの下押しとなりそうです。

[シナリオ②-2]
他方、[シナリオ②-1]で記載した21日MAを基準とする「135.000円」を終値ベースで下回った場合は、「下値基準線割れ」→「もう一段の下押し」となる可能性も。当該ケースでは、「BB・-1σライン(≒133.000円)割れ」も伴いながら、下値支持線として機能するBB・-2σラインを基準とする「131.350円」(上図Ⓑ’水色線)付近までの下落も視野に入れるべきでしょう。


上記シナリオ①および②を概括すると、当面※の米ドル/円は、BB・+2σラインを基準とする「138.050円」を上下分水嶺(ぶんすいれい)としつつ、“主戦場”(コアレンジ):「135.000~140.000円」、“想定戦域”(ワイドレンジ):「131.350~140.000円超え」とする動きになりそうです。(※ここでの「当面」は1~2週間のスパンを想定しています。)


足もとでは、日本時間本日(26日)午後11時から予定されているパウエルFRB議長のジャクソンホール会議での講演内容に多くの市場参加者の耳目が集まっています。同氏の発言内容や見通し・ヒント(市場の解釈も含む)によっては刹那的な上下動、ないしはチョッピー(不安定)な値動きとなる可能性も視野に入れるべきでしょう。よって、「休むも相場」という相場格言も取り入れつつ、守り主体のトレード戦略を採用するのも一案と言えるでしょう。

津田隆光
マネースクエア チーフマーケットアドバイザー
配信元: 達人の予想