■シナネンホールディングス<8132>の業績動向
2. 2022年3月期のセグメント別業績動向
2022年3月期のセグメント別業績は、BtoC事業が売上高73,152百万円(前期比16.1%増)、営業利益1,039百万円(同7.9%増)、BtoB事業が売上高197,715百万円(同45.4%増)、営業利益573百万円(同35.8%減)、非エネルギー事業が売上高18,097百万円(同1.8%増)、営業利益201百万円(同17.3%減)となり、BtoC事業が増益、BtoB事業と非エネルギー事業が減益と、まちまちな業績となった。また、非エネルギー事業のサブセグメントも事業によって対照的な業績となった。セグメント別業績の詳細は以下に述べる。
エネルギー卸・小売周辺事業(BtoC事業)は、主力の「LPガス・灯油販売」で平均気温が前年より高く需要が低調に推移したことから春先と晩秋を中心に販売数量が減少したが、原油価格やプロパンCPの高騰に伴い販売単価が大幅に上昇したため売上高が増加した。利益面では、販売数量の減少に加え、LPガスなどで仕入価格上昇を販売価格に転嫁することが遅れたため差益が低下、人件費など販管費も増加したが、プロパンCPの変動に対応して安値で仕入れた在庫利益が顕在化したことで増益となった。
エネルギーソリューション事業(BtoB事業)は、主力の石油事業でBtoC事業と同様に原油価格高騰に伴い販売単価が大幅に上昇、また、既存の石油販売施設から軽油出荷能力を増強したオイルスクエアにシフトしていることなどにより軽油を中心に販売数量が増加、電力事業でも契約電力量が伸びたため、売上高は全般的に好調に推移した。利益面では、石油事業において在庫利益を確保、また、世界的なLNG高騰のなかで電力調達の多様化を進めたが、人件費や新型マイクロ風車の開発投資などコスト増加により減益となった。なお、在庫利益の発生は石油価格急騰の影響が大きかっただけで、本来回転が早い商売のため差益狙いの在庫は持たない方針となっている。なお、新規事業に関しては、新型マイクロ風車関連事業は、研究機関の風洞実験で得られたデータを基に製品化に向けた取り組みを進めているところで、今期中にマーケティング活動に入る予定である。韓国における大型陸上風力発電事業は、コロナ禍などにより開発許可の取得が当初想定より遅れているが、引き続き開発許可取得に注力しており、今期中の許可取得を目指している。
非エネルギー事業では、成長の見えてきたシェアサイクル事業で、埼玉県ふじみ野市など新たな地方自治体と実証実験を始めたことに加えて、相模鉄道(株)と連携を開始するなど事業活動も順調に発展した。また、駅近用地の開拓など高稼働が見込めるエリアを中心にドミナント展開を推進する一方、曜日や時間帯別の稼働をデータ化・分析することで設置台数を機動的に変えるなど稼働向上にも取り組んだ。この結果、2022年3月末現在、シェアサイクルサービス「ダイチャリ」のステーション数が2,200カ所、設置自転車数も10,000台に達した。利便性向上によりユーザー数も着実に増加、2021年11月には過去最高の月間利用回数(60万回超)になるなど業況も好調に推移、大幅に収益が改善した模様である。
環境・リサイクル事業は、コロナ禍による建築廃材減少の影響による木質チップの需給変動がプラスに作用、主力の「木くずリサイクル」取引高が増加した。また、金属スクラップ取引などその他事業も好調に推移し、千葉と白岡2工場の稼働率が高水準となっている。このため、増強投資や新たな事業展開を検討している模様である。抗菌事業は、コロナ禍における抗菌需要の拡大を追い風に国内・海外ともに好調な販売を維持したほか、大手メーカーとのサンプル試作を開始するなど新規顧客の開拓も推進した。システム事業は、主力のLPガス基幹業務システムの安定的な貢献に加え、電力自由化に対応した顧客情報システム(電力CIS)が大幅に伸長したため増益となった。なお、足もとではLPガス基幹業務システムの次世代化に向けて動き出している。
タカラビルメン(株)を中核とする建物維持管理事業は、不動産管理事業の管理物件数は減少したものの、マンションなど集合住宅の定期管理業務が堅調に推移したほか、医療施設などにおける感染消毒清掃の新規受注の増加や、集合住宅におけるメンテナンスのコロナ禍からの反動増などにより微増益を確保した。安定収益確保に向けて感染消毒清掃をフックに強みを生かした営業活動を推進しており、複数の医療機関での年間契約の獲得や公営斎場の運営の新規受託、マンション管理会社大手からの受注も入るなど着実に成果が表れた。自転車事業は、プライベートブランド車の開発を進めるなど収益力の改善に努めたが、コロナ禍で需要が増加した反動減に加え、パーツメーカーの供給不足、海外輸送費や原材料価格の高騰、円安傾向などが重なり減収減益となった。このほか、ブラジル事業の閉鎖コストも発生した。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)
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2. 2022年3月期のセグメント別業績動向
2022年3月期のセグメント別業績は、BtoC事業が売上高73,152百万円(前期比16.1%増)、営業利益1,039百万円(同7.9%増)、BtoB事業が売上高197,715百万円(同45.4%増)、営業利益573百万円(同35.8%減)、非エネルギー事業が売上高18,097百万円(同1.8%増)、営業利益201百万円(同17.3%減)となり、BtoC事業が増益、BtoB事業と非エネルギー事業が減益と、まちまちな業績となった。また、非エネルギー事業のサブセグメントも事業によって対照的な業績となった。セグメント別業績の詳細は以下に述べる。
エネルギー卸・小売周辺事業(BtoC事業)は、主力の「LPガス・灯油販売」で平均気温が前年より高く需要が低調に推移したことから春先と晩秋を中心に販売数量が減少したが、原油価格やプロパンCPの高騰に伴い販売単価が大幅に上昇したため売上高が増加した。利益面では、販売数量の減少に加え、LPガスなどで仕入価格上昇を販売価格に転嫁することが遅れたため差益が低下、人件費など販管費も増加したが、プロパンCPの変動に対応して安値で仕入れた在庫利益が顕在化したことで増益となった。
エネルギーソリューション事業(BtoB事業)は、主力の石油事業でBtoC事業と同様に原油価格高騰に伴い販売単価が大幅に上昇、また、既存の石油販売施設から軽油出荷能力を増強したオイルスクエアにシフトしていることなどにより軽油を中心に販売数量が増加、電力事業でも契約電力量が伸びたため、売上高は全般的に好調に推移した。利益面では、石油事業において在庫利益を確保、また、世界的なLNG高騰のなかで電力調達の多様化を進めたが、人件費や新型マイクロ風車の開発投資などコスト増加により減益となった。なお、在庫利益の発生は石油価格急騰の影響が大きかっただけで、本来回転が早い商売のため差益狙いの在庫は持たない方針となっている。なお、新規事業に関しては、新型マイクロ風車関連事業は、研究機関の風洞実験で得られたデータを基に製品化に向けた取り組みを進めているところで、今期中にマーケティング活動に入る予定である。韓国における大型陸上風力発電事業は、コロナ禍などにより開発許可の取得が当初想定より遅れているが、引き続き開発許可取得に注力しており、今期中の許可取得を目指している。
非エネルギー事業では、成長の見えてきたシェアサイクル事業で、埼玉県ふじみ野市など新たな地方自治体と実証実験を始めたことに加えて、相模鉄道(株)と連携を開始するなど事業活動も順調に発展した。また、駅近用地の開拓など高稼働が見込めるエリアを中心にドミナント展開を推進する一方、曜日や時間帯別の稼働をデータ化・分析することで設置台数を機動的に変えるなど稼働向上にも取り組んだ。この結果、2022年3月末現在、シェアサイクルサービス「ダイチャリ」のステーション数が2,200カ所、設置自転車数も10,000台に達した。利便性向上によりユーザー数も着実に増加、2021年11月には過去最高の月間利用回数(60万回超)になるなど業況も好調に推移、大幅に収益が改善した模様である。
環境・リサイクル事業は、コロナ禍による建築廃材減少の影響による木質チップの需給変動がプラスに作用、主力の「木くずリサイクル」取引高が増加した。また、金属スクラップ取引などその他事業も好調に推移し、千葉と白岡2工場の稼働率が高水準となっている。このため、増強投資や新たな事業展開を検討している模様である。抗菌事業は、コロナ禍における抗菌需要の拡大を追い風に国内・海外ともに好調な販売を維持したほか、大手メーカーとのサンプル試作を開始するなど新規顧客の開拓も推進した。システム事業は、主力のLPガス基幹業務システムの安定的な貢献に加え、電力自由化に対応した顧客情報システム(電力CIS)が大幅に伸長したため増益となった。なお、足もとではLPガス基幹業務システムの次世代化に向けて動き出している。
タカラビルメン(株)を中核とする建物維持管理事業は、不動産管理事業の管理物件数は減少したものの、マンションなど集合住宅の定期管理業務が堅調に推移したほか、医療施設などにおける感染消毒清掃の新規受注の増加や、集合住宅におけるメンテナンスのコロナ禍からの反動増などにより微増益を確保した。安定収益確保に向けて感染消毒清掃をフックに強みを生かした営業活動を推進しており、複数の医療機関での年間契約の獲得や公営斎場の運営の新規受託、マンション管理会社大手からの受注も入るなど着実に成果が表れた。自転車事業は、プライベートブランド車の開発を進めるなど収益力の改善に努めたが、コロナ禍で需要が増加した反動減に加え、パーツメーカーの供給不足、海外輸送費や原材料価格の高騰、円安傾向などが重なり減収減益となった。このほか、ブラジル事業の閉鎖コストも発生した。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)
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