■要約
ソフト99コーポレーション<4464>は、カーワックスや洗浄剤、補修材などのカー用品の大手である。子会社で展開するポーラスマテリアル事業は半導体製造用の精密洗浄材で高シェアを持ち、高い技術力を他の用途にも生かすべく横展開を進めている。そのほか、子会社で自動車整備・鈑金事業、自動車教習所、温浴施設の運営事業なども展開している。既存の主力製品において高いシェアと収益力を持ち、強固な財務基盤を持っていることが強みとなっている。2022年4月の東京証券取引所市場再編に伴い、スタンダード市場に移行している。
1. 2022年3月期の業績概要
2022年3月期の連結業績※は、売上高で前期比6.1%増の28,435百万円、営業利益で同17.2%増の3,760百万円となり、2期連続で過去最高を更新した。新型コロナウイルス感染症拡大(以下、コロナ禍)による巣ごもり需要の一段落により、ファインケミカル事業が若干の減益となったものの、半導体製造用精密洗浄材の好調によりポーラスマテリアル事業が売上高で同21.8%増、営業利益で同54.7%増と大きく伸長し、業績のけん引役となった。
※2022年3月期より「収益認識に関する会計基準」等を適用している。前期比は収益認識に関する基準が異なっていることから参考値となる。
2. 2023年3月期の業績見通し
2023年3月期の連結業績は、売上高で前期比2.0%増の29,000百万円、営業利益で同14.9%減の3,200百万円を見込む。売上高はすべての事業セグメントで増収を見込んでいるものの、ポーラスマテリアル事業における新工場建設に伴う減価償却費の増加やファインケミカル事業における営業経費の増加などが減益要因となる。ファインケミカル事業では、新たにスポーツアイウェア用超撥水スプレー「スポルファ レインホッパー」を2022年3月に発売し、新市場の開拓に取り組んでいく。ポーラスマテリアル事業では2022年秋に新工場の稼働を予定しており、減価償却費が1.2億円増加するものの、医療用製品や生活資材製品の生産効率が向上する。半導体製造用精密洗浄材については、2023年3月期も高水準の需要が続く見込みだ。
3. 中期経営計画の進捗状況
2023年3月期は2021年3月期からスタートした中期経営計画の最終年度となる。当初計画では、「将来の社会変化を新たな事業領域の拡張の機会と捉え、既存技術・ノウハウの横展開に加えて新たな技術・ノウハウの獲得、及びこれらの融合をはかることで、“他にない”新しい価値と事業の創出を目指していく」という方針を掲げ、売上高で27,100百万円、営業利益で2,850百万円を目標に設定した。2022年3月期はコロナ禍による特需や半導体市場の活況もあって、売上高、営業利益ともに前倒しで達成し、2023年3月期も前期比では減益となるものの、当初計画は上回る見通しだ。次期中期経営計画ではSDGsの視点がより一層重要になると考え、省資源化や環境にやさしい製品やサービスの開発、またDXの取り組みも推進していくことで成長を目指していくものと予想される。
4. 株主還元策
株主還元については、「安定的な配当の継続」及び「連結営業利益の25%を目安とする」基本方針を掲げており、2022年3月期の1株当たり配当金は前期比4.0円増配の36.0円(還元率20.8%※)と7期連続の増配を実施した。2023年3月期は同1.0円増配の37.0円(同25.1%)を予定している。
※還元率=配当総額÷連結営業利益。自己株取得も含めた還元率では25.5%となる。
■Key Points
・2022年3月期はポーラスマテリアル事業の伸長により過去最高業績を連続更新
・ポーラスマテリアル事業で新工場が2022年秋に稼働を開始、医療製品分野の拡大に向けた布石を打つ
・次期中期経営計画ではSDGsを意識した製品・サービスの開発にも取り組んでいく方針
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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ソフト99コーポレーション<4464>は、カーワックスや洗浄剤、補修材などのカー用品の大手である。子会社で展開するポーラスマテリアル事業は半導体製造用の精密洗浄材で高シェアを持ち、高い技術力を他の用途にも生かすべく横展開を進めている。そのほか、子会社で自動車整備・鈑金事業、自動車教習所、温浴施設の運営事業なども展開している。既存の主力製品において高いシェアと収益力を持ち、強固な財務基盤を持っていることが強みとなっている。2022年4月の東京証券取引所市場再編に伴い、スタンダード市場に移行している。
1. 2022年3月期の業績概要
2022年3月期の連結業績※は、売上高で前期比6.1%増の28,435百万円、営業利益で同17.2%増の3,760百万円となり、2期連続で過去最高を更新した。新型コロナウイルス感染症拡大(以下、コロナ禍)による巣ごもり需要の一段落により、ファインケミカル事業が若干の減益となったものの、半導体製造用精密洗浄材の好調によりポーラスマテリアル事業が売上高で同21.8%増、営業利益で同54.7%増と大きく伸長し、業績のけん引役となった。
※2022年3月期より「収益認識に関する会計基準」等を適用している。前期比は収益認識に関する基準が異なっていることから参考値となる。
2. 2023年3月期の業績見通し
2023年3月期の連結業績は、売上高で前期比2.0%増の29,000百万円、営業利益で同14.9%減の3,200百万円を見込む。売上高はすべての事業セグメントで増収を見込んでいるものの、ポーラスマテリアル事業における新工場建設に伴う減価償却費の増加やファインケミカル事業における営業経費の増加などが減益要因となる。ファインケミカル事業では、新たにスポーツアイウェア用超撥水スプレー「スポルファ レインホッパー」を2022年3月に発売し、新市場の開拓に取り組んでいく。ポーラスマテリアル事業では2022年秋に新工場の稼働を予定しており、減価償却費が1.2億円増加するものの、医療用製品や生活資材製品の生産効率が向上する。半導体製造用精密洗浄材については、2023年3月期も高水準の需要が続く見込みだ。
3. 中期経営計画の進捗状況
2023年3月期は2021年3月期からスタートした中期経営計画の最終年度となる。当初計画では、「将来の社会変化を新たな事業領域の拡張の機会と捉え、既存技術・ノウハウの横展開に加えて新たな技術・ノウハウの獲得、及びこれらの融合をはかることで、“他にない”新しい価値と事業の創出を目指していく」という方針を掲げ、売上高で27,100百万円、営業利益で2,850百万円を目標に設定した。2022年3月期はコロナ禍による特需や半導体市場の活況もあって、売上高、営業利益ともに前倒しで達成し、2023年3月期も前期比では減益となるものの、当初計画は上回る見通しだ。次期中期経営計画ではSDGsの視点がより一層重要になると考え、省資源化や環境にやさしい製品やサービスの開発、またDXの取り組みも推進していくことで成長を目指していくものと予想される。
4. 株主還元策
株主還元については、「安定的な配当の継続」及び「連結営業利益の25%を目安とする」基本方針を掲げており、2022年3月期の1株当たり配当金は前期比4.0円増配の36.0円(還元率20.8%※)と7期連続の増配を実施した。2023年3月期は同1.0円増配の37.0円(同25.1%)を予定している。
※還元率=配当総額÷連結営業利益。自己株取得も含めた還元率では25.5%となる。
■Key Points
・2022年3月期はポーラスマテリアル事業の伸長により過去最高業績を連続更新
・ポーラスマテリアル事業で新工場が2022年秋に稼働を開始、医療製品分野の拡大に向けた布石を打つ
・次期中期経営計画ではSDGsを意識した製品・サービスの開発にも取り組んでいく方針
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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