■今後の見通し
● 2022年3月期の業績見通し
2022年3月期の連結業績予想についてランドコンピュータ<3924>は、期初予想を据え置いた。売上高が9,630百万円、営業利益が755百万円、経常利益が760百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が500百万円と、売上高及び利益ともに過去最高を予想している。なお、インフリーは期初から連結決算の対象となるが、2022年3月期における単体と連結の業績予想の差異は売上高の300百万円のみで、利益面については買収に伴うのれんの償却費が利益とほぼ同額になると試算している。ただし、2022年3月期上期の各利益は計画を上回っていること、利益率が高いパッケージSI・サービスが好調に推移していることを考慮すると、利益面で保守的な印象が強い。
(1) 上期の進捗状況
同社の業績は季節性が強い。システムインテグレーション・サービスでは、顧客企業の予算執行のタイミングや開発システムの工期との兼ね合いから、第2四半期及び第4四半期に売上計上が集中する傾向がある。官公庁はもとより、多くの企業が事業年度末を3月末日としていることから、第4四半期(1~3月期)の売上高構成比は30%を超える。売上高の上期(4~9月)と下期(10~3月)の比率は、過去5期平均は46.9%:53.1%であったのに対し、2022年3月期上期の進捗状況は46.4%であることから、おおむね順調であると言える。
営業利益は季節性がより顕著に現れる。売上高は第4四半期に偏重する傾向があるが、販管費は四半期ごとの変動が小さいため、第4四半期の営業利益率は10%を超えることが多い。営業利益の上期(4~9月)と下期(10~3月)の比率は、過去5期平均で33.6%:66.4%であった。これに対して2022年3月期は、上期業績が計画を上回ったにもかかわらず通期予想を据え置いたため、39.2%:60.8%と下期の構成比が低くなっている。ちなみに2022年3月期の営業利益率の比率は、6.6%:8.9%となる。これに加え、上期の受注損失分は既に費用計上されていることから、下期に従来以上の不採算案件の発生がないと仮定すれば、通期の利益予想は保守的であると言える。
(2) 情報通信業の正社員等労働者の人手不足の状況
厚生労働省の「労働経済動向調査」が示す産業別正社員等労働者の過不足状況判断指数(=不足−過剰、D.I.)のうち、同社が属する情報通信業の数値は、2021年8月調査で33と調査産業計の29より人手不足感が強い。D.I.の推移をリーマンショック時と現在のコロナ禍で比較してみると、2008年9月のリーマンショック直前である情報通信業の2007年2月時点調査が49と人手不足の度合いが最も激しかった。バブルが弾けて景気が後退するとともに、D.I.は2009年5月調査で-6とマイナスに転じ、マイナスのトレンドは6四半期続いた。これに対してコロナ禍前後は、人手不足感のピークが2019年2月調査の58であった。2020年8月調査では25まで落ち込んだものの、リーマンショック後のようなマイナスに転じることはなかった。このことから、ITサービス業界にとっては引き続き人材確保と育成が経営課題の最重要事項であることがうかがえる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 瀬川 健)
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● 2022年3月期の業績見通し
2022年3月期の連結業績予想についてランドコンピュータ<3924>は、期初予想を据え置いた。売上高が9,630百万円、営業利益が755百万円、経常利益が760百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が500百万円と、売上高及び利益ともに過去最高を予想している。なお、インフリーは期初から連結決算の対象となるが、2022年3月期における単体と連結の業績予想の差異は売上高の300百万円のみで、利益面については買収に伴うのれんの償却費が利益とほぼ同額になると試算している。ただし、2022年3月期上期の各利益は計画を上回っていること、利益率が高いパッケージSI・サービスが好調に推移していることを考慮すると、利益面で保守的な印象が強い。
(1) 上期の進捗状況
同社の業績は季節性が強い。システムインテグレーション・サービスでは、顧客企業の予算執行のタイミングや開発システムの工期との兼ね合いから、第2四半期及び第4四半期に売上計上が集中する傾向がある。官公庁はもとより、多くの企業が事業年度末を3月末日としていることから、第4四半期(1~3月期)の売上高構成比は30%を超える。売上高の上期(4~9月)と下期(10~3月)の比率は、過去5期平均は46.9%:53.1%であったのに対し、2022年3月期上期の進捗状況は46.4%であることから、おおむね順調であると言える。
営業利益は季節性がより顕著に現れる。売上高は第4四半期に偏重する傾向があるが、販管費は四半期ごとの変動が小さいため、第4四半期の営業利益率は10%を超えることが多い。営業利益の上期(4~9月)と下期(10~3月)の比率は、過去5期平均で33.6%:66.4%であった。これに対して2022年3月期は、上期業績が計画を上回ったにもかかわらず通期予想を据え置いたため、39.2%:60.8%と下期の構成比が低くなっている。ちなみに2022年3月期の営業利益率の比率は、6.6%:8.9%となる。これに加え、上期の受注損失分は既に費用計上されていることから、下期に従来以上の不採算案件の発生がないと仮定すれば、通期の利益予想は保守的であると言える。
(2) 情報通信業の正社員等労働者の人手不足の状況
厚生労働省の「労働経済動向調査」が示す産業別正社員等労働者の過不足状況判断指数(=不足−過剰、D.I.)のうち、同社が属する情報通信業の数値は、2021年8月調査で33と調査産業計の29より人手不足感が強い。D.I.の推移をリーマンショック時と現在のコロナ禍で比較してみると、2008年9月のリーマンショック直前である情報通信業の2007年2月時点調査が49と人手不足の度合いが最も激しかった。バブルが弾けて景気が後退するとともに、D.I.は2009年5月調査で-6とマイナスに転じ、マイナスのトレンドは6四半期続いた。これに対してコロナ禍前後は、人手不足感のピークが2019年2月調査の58であった。2020年8月調査では25まで落ち込んだものの、リーマンショック後のようなマイナスに転じることはなかった。このことから、ITサービス業界にとっては引き続き人材確保と育成が経営課題の最重要事項であることがうかがえる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 瀬川 健)
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