ユーロ/英ポンドの“主戦場”と“予備戦場”について

著者:津田隆光
投稿:2021/12/10 10:07

ユーロ/英ポンドの下落=リスク選好の兆し!?

ユーロ/英ポンド・日足・複合チャート
ユーロ/英ポンド・日足・複合チャート出所:マネースクエアFXチャート

【注目ポイント】21日MA(≒0.84750ポンド)で下値サポートされるか否か
【見通し①】同MA下値サポートなら、「0.86000ポンド」付近までの上昇も
【見通し②】同MA割れなら、「0.83530ポンド」付近までの下落もあり得そう
【当面の“主戦場”】「0.84750~0.86000ポンド」
【当面の“予備戦場”】「0.83530~0.84750ポンド」
【参考】リスク回避局面に備えたロング(=買い)ポジション保有も一案


先月26日の、いわゆる「オミクロン・ショック」によるリスク回避フローに伴い、ユーロ/英ポンドは同日を起点に上昇トレンドが発生。今週8日に直近高値となる「0.85898ポンド」を付けた後、BB(ボリンジャーバンド)・+2σライン付近で上値を抑制される動きとなっています。

上図の各メルクマールを見ると、1) 21日MA(移動平均線)が横向きとなっていること、2) 遅行スパンがローソク足と絡み合う状態となっていること、3) BB・±2σラインが21日MAとパラレルとなっていること、4) パラボリック・SAR(ストップ・アンド・リバース)がローソク足の下方で点灯していること、そして、4) DMI(方向性指数)で+DI>-DIの乖離が拡大し、ADXが右肩上がりとなっている(上図赤色点線丸印)ことから、ユーロ/英ポンド・日足チャートは、レンジ相場を形成する中での一旦下押しの時間帯であると判断します。

目先、注目すべきポイントは、約1カ月間における市場参加者の平均コストを示す21日MA(≒0.84750ポンド、上図緑色矢印)で下値サポートされるか否か。

筆者が予想する、今後の見通しは以下の通りです。(見通し①、②)


[見通し①]
これからの時間にかけて、ローソク足が21日MAで下値サポートされた場合は、「一旦の下値固め」→「上昇フロー」となる可能性も。当該ケースでは、「+DI>-DIのさらなる乖離拡大」も伴いながら、再度BB・+2σライン(≒0.86000ポンド)付近までの上昇となりそうです。よって、この場合におけるコアレンジは、「0.84750~0.86000ポンド」(上図Ⓐ黄色四角枠)と予想します。

[見通し②]
一方で、ローソク足が終値ベースで21日MAを下回った場合は、「下値基準線割れ」→「もう一段の下押し」となる可能性も。当該ケースでは、「+DI>-DIの乖離縮小」および「パラボリック・SARの売りサインへの転換」も伴いながら、BB・-2σライン(≒0.83530ポンド)付近までの下落もあり得そうです。この場合におけるコアレンジは、「0.83530~0.84750ポンド」(上図Ⓑ水色四角枠)と予想します。


上記見通し①および②を概括すると、当面のユーロ/英ポンドにおいては、上図Ⓐ黄色四角枠である「0.84750~0.86000ポンド」を“主戦場”、上図Ⓑ水色四角枠である「0.83530~0.84750ポンド」を“予備戦場”と捉えて良いのかもしれません。

その一方で、「ユーロ/英ポンドは、リスク回避局面では上昇しやすい」という傾向・パターンに基づくと、今後ネガティブな材料がマーケットに出現した場合は、「BB・+2σライン(≒0.86000ポンド)超え」→「もう一段の上値トライ」となる可能性も。よって、例えばクロス円のロング(=買い)ポジションを保有しているケースでは、リスク回避局面の円高フローに備えたヘッジ(保険)目的としてユーロ/英ポンドのロングポジションを持つのも一案と言えるでしょう。

津田隆光
マネースクエア チーフマーケットアドバイザー
配信元: 達人の予想