為替相場まとめ7月19日から7月23日の週

著者:MINKABU PRESS
投稿:2021/07/24 08:00
 19日からの週は、リスク警戒の動きが一服。週前半は新型コロナのデルタ株の感染拡大が市場に調整の動きを促し、リスク回避の動きが広がった。米10年債利回りは一時1.12%台まで急低下する場面があった。NY原油先物は一時65ドル台まで急落。ドル円は109円台割れ目前まで下落した。しかし、一連の米企業決算が好調だったこともあり、株安の動きは一服、米債利回りも1.31%台まで上昇、原油は72ドル近辺へと反発した。ドル円は110円台半ばへと上昇。クロス円も全般に週前半の下げを戻して上昇した。リスク動向の改善を受けてドル相場は、ややドル売りに押されている。その中ではユーロドルは上値が重かった。ECB理事会では、戦略見直しでインフレ目標の定義がハト派方向に組み直されたことを受けて、フォワードガイダンスもハト派色を強めている。ユーロドルは振幅後に1.17台へと下落した。


(19日)
 東京市場は、リスク警戒の円高も、値動きは限定的。先週末に発表された米小売売上高の好結果でいったんドル買いが入ったが、ミシガン大学消費者信頼感が弱くドル円は下押しされて週末を迎えていた。週明けも頭の重い展開で、109円台に軟化。ただ、109.80台までと下押しも限定的。ユーロ円は129.90台から129.60台へとじり安。ユーロドルは午前中に1.18台割れとなったが、その後は大台乗せへと戻した。日経平均が大幅安となり、株安が円高圧力となった。豪ドルにとってはNY原油の下げも重石で、対円は81円台前半から一時81円ちょうど近辺まで下押しされた。

 ロンドン市場は、円高・ドル高の動き。欧州株や米株先物が下落し、NY原油先物も69ドル台へと大幅下落。リスク回避の動きに押された。ドル円は109.70近辺に安値を更新。ユーロ円は129.10近辺、ポンド円は150.30近辺へと下落。ユーロドルは1.1760台へ、ポンドドルは1.37近辺まで下落した。英国ではロックダウン措置の全面解除の実施日となっているが、デルタ株の感染拡大のなかでの解除とあって不透明感が高まっている。また、週末のドイツやベルギーを襲った洪水の被害状況も深刻となっている。新型コロナとともに自然災害も経済回復にブレーキをかけることが警戒された。ハスケル英中銀委員は、時期尚早な引き締め策は英経済回復へのリスクとなろう、とこれまでのハト派姿勢を維持しており、ポンドの上値を抑えていた。
 
 NY市場は、リスク回避ムードが強まった。各国でデルタ株の感染が再拡大しており、市場は景気回復ペースへの懸念を強めている。市場では先行きの見方に修正も出ており、インフレ警戒感も大きく後退。それと伴い米国債利回りが急低下しており、米10年債は1.2%を割り込んだ。米株式市場も全面安の様相を見せる中でリスク回避の円買いがドル円を押し下げた。ドル円は一時109.10近辺まで下落。ユーロドルは1.17台半ばまで下落。ポンドドルは1.36台半ばまで下落。ただ、売り一巡後はドル円は109円台前半、ユーロドルは1.18ちょうど付近、ポンドドルは1.36台後半へと下げ渋った。22日開催のECB理事会では、2023年末までは利上げ無しを示唆するとの見方がでていた。英国では行動制限解除とデルタ株感染拡大の相反する状況で、市場の見方もタカハトさまざまとなっていた。

(20日)
 東京市場で、ドル円は109円台半ば付近でのレンジ取引。日経平均の上下動に反応し、株安一服で109.60付近へと上昇。午後の取引で再び株安となると109.30台まで軟化。その後は109円台半ばに落ち着いた。豪ドルが軟調。株安に加えて、シドニーでのロックダウン延長の動きなどが嫌気され、豪ドル/ドルは0.7310近辺、豪ドル円は80円割れ目前まで下落した。ロックダウン措置の延長を受けて、金融機関からは豪中銀のテーパリング開始が遅れるとの見方や、一部にはさらに緩和を強化するといった見方も示されていた。

 ロンドン市場は、リスク動向をにらんで上下動。序盤は欧州株の反発の動きを受けて、ドル円、クロス円ともに買いが入った。ドル円は109.74レベル、ユーロ円は129.43レベル、ポンド円は149.98レベルまで高値を伸ばした。ただ、特段の新規材料もなく、次第に上値が重くなった。欧州株は上げを消す動きとなっている。次第に円高へと動きが転換し、ドル円は109.33レベル、ユーロ円は128.88レベル、ポンド円は148.95レベルに本日の安値を更新した。ドル相場もリスク警戒的なドル買いの動きが優勢になっている。特にポンドドルは上値が重く、1.3610台へと安値を広げている。ユーロドルは1.1770台から1.18近辺で上に往って来い。

 NY市場では、ドル円に買い戻しが入った。前日とはムードが一変し、リスク警戒感が大きく後退した。ダウ平均の上げ幅は600ドルを超え、低下して取引を開始した米債利回りも10年債が1.21%を回復。ドル円は前日には109円台割れ寸前まで下落したが、きょうは110円台回復を試す動きに。ユーロドルは再び1.17台半ばまで一時下落。上値の重さにはユーロ相場に対する弱気の見方もでていた。ECB理事会が金融緩和の長期化を強調してくるとの見方が広がっていた。ポンドドルは一時1.36台割れとなった。テクニカル的には200日線の下放れが下落警戒感を広げた。ただ、NY後半にはユーロドルやポンドドルはクロス円の反発とともに下げ渋りとなった。 

(21日)
 東京市場で、ドル円は109円台後半での推移が続いた。前日の株高・円安の流れを受けて朝方には109.98レベルまで高値を伸ばした。前日海外市場の高値を更新している。しかし、110円の大台手前では売りが控えており、その後は揉み合いとなった。日経平均は一時500円近い上昇となったが、次第に上げ幅を縮小。香港ハンセン指数など複数のアジア株がマイナスに転じるなかで、リスク警戒の動きが上値を抑えた。ただ、下押しは109.80台まで。レンジは14銭にとどまった。ユーロドルのレンジも13ポイントにとどまり模様眺めムード。豪ドルは軟調。豪小売売上高が予想以上の低下となり、豪ドル売りを誘った。一時1.73台割れ目前まで下落した。

 ロンドン市場は、ドル円が110円台を回復している。一時110.17レベルまで買われた。欧州株や米株先物・時間外取引が堅調に推移しているほか、NY原油先物が68ドル台乗せへと上昇、米10年債利回りが一時1.25%台まで上昇するなど、全般にリスク警戒の動きが後退。ドル円は円安とドル高の両面から押し上げられる格好に。ユーロドルは朝方に1.1752レベルまで下落したが、上昇に切り返すと1.1780近辺まで反発。東京市場からの下げを戻した。ユーロ円が堅調で、朝方に129.16レベルまで軟化したあとは、上昇に転じると高値を129.72レベルまで伸ばした。ポンドはやや上値が重い。対ドルでは1.36台割れでは買いが入るものの、上値は1.3640近辺で抑え込まれている。ポンド円は149円台前半から一時150円台乗せとなったが、大台は維持できず小反落している。

 NY市場では、円安・ドル安水準が維持されている。米国債利回りが下げを一服させており上昇に転じたほか、米株式市場も決算を受けた買い戻しが強まった。ドル円はNY朝方に110.39レベルまで買い進まれた後は、110.20-30レベルに高止まりしている。ユーロ円は130円台に、ポンド円は151円台に乗せたが、取引終盤にはやや調整が入っている。ユーロドルは一時1.18台乗せ、ポンドドルは1.37台乗せとなり、高止まりしている。NY時間に入ってからは比較的値動きが落ち着いた。デルタ株による感染再拡大で景気回復への不安が高まっているものの、以前のように封鎖措置が講じられることはなく、ある程度、堅調な消費は維持されるとの楽観的な見方が徐々に優勢になりつつあるようだ。明日はECB理事会が予定され、それに絡んだポジション調整も出ていたようだ。

(22日)
 東京市場は、海の日の祝日のため休場。

 ロンドン市場は、円売りが優勢。ECB理事会の結果待ちとなるなかで、欧州株が堅調に推移しており、NY原油先物の上昇も加わっている。リスク警戒感が後退していることで、ドル円は110.07レベルを安値に110.36レベルまで買われた。前日高値110.39レベルをうかがう動きとなっている。ユーロドルは米債利回りの上昇で一時1.1780近辺まで下げたが、その後は1.1790-1.1800レベルに高止まり。足元ではポンドが堅調で、対ドルでは1.3760台へ、対円では151.80台へと高値を伸ばしてきている。対ユーロでもポンドは堅調。ブロードベント英中銀副総裁は、商品価格によるインフレが継続すること確信持てず、と述べており、インフレ上昇は一時的な要因によるものとの認識を示した。また、7月英CBI製造業受注指数が前回6月に次ぐ高水準だったこともポンド相場に好感されたもよう。

 NY市場は、ユーロ相場振幅後、売り優勢に。ECB理事会では予想通り政策は据え置きとなった。注目は先日の戦略見直しに伴う金利ガンダンスの変更だったが、「見通しが進展を示すまで金利は現状かそれを下回る水準。行動のかなり前にインフレ見通しが2%に達している必要ある」と変更していた。ガイダンスは予想通りにハト派色を強調した印象が強い。ユーロドルは発表直後に1.18台に乗せたが、すぐに失速。再び1.1830近辺まで買われたが、上値が重く1.1750台まで下押しされた。ポンドドルは1.37台での振幅。対ユーロでのポンド買いが下支えとなり、方向性に欠ける動きだった。ドル円は110円台前半での振幅。米新規失業保険申請件数が2カ月ぶりの高水準となったことが、米株の重石となったが、取引後半には底堅さを取り戻した。米債利回りはやや低下した。

(23日)
 東京市場は、スポーツの日の祝日のため休場。

 ロンドン市場は、ドル買いが優勢。ドル円は110円台前半から110.50超え水準へと上昇。ユーロドルは1.17台後半で上下動も、1.1750台まで水準を下げる場面があった。ポンドドルはアジア時間から引き続き軟調で、1.3720付近に安値を広げている。欧州株や米株先物が堅調に推移しており、米債利回りも上昇。ドル買いの動きを下支えした。ドル円とともにクロス円も堅調で、ユーロ円は130円台を一時回復。豪ドル円は81円台半ばへと上昇。ポンド円は151円台後半での揉み合いが続いたあと、一時152円台乗せとなった。この日発表された7月PMI速報値は、ユーロ圏が製造業・非製造業ともに予想を上回る一方で、英国はいずれも予想に届かず。対照的な結果にユーロ買い・ポンド売り圧力もみられた。ECB専門家調査でインフレおよびGDP見通しが引き上げられた。6月の英小売売上高はしっかりとした伸びを示したが、ポンドは反応薄だった。

 NY市場でドル円は買戻しの動きを続けており、110.60付近まで一時上昇。本日110.40付近に来ている21日線の回復を試す動きが出ている。デルタ株の感染再拡大は依然として猛威を奮っているが、市場は再封鎖の措置まではないとの見方も有力視されている。そのような中で米株や米国債利回りも上昇に転じており、リスク選好の雰囲気がドル円をサポートした模様。

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配信元: みんかぶ(FX/為替)