ブランディング Research Memo(3):「ブランドを軸に中小・地方企業様のデジタルシフトを担う」

配信元:フィスコ
投稿:2021/06/15 15:03
ブランディングテクノロジー<7067>の会社概要

2. MVVと「ブランドファースト」
(1) MVV(Mission、Vision、Value)
コロナ禍の不透明な時代だからこそ、企業経営を形成するMVV、すなわち社会に貢献する役割や存在意義を明確にした「Mission」、自社が描く将来像や目指す目標としての「Vision」、組織の価値観や独自の優位性を示す「Value」を経営の起点に置くことで、新たな時代に競争力を発揮できるブランドを確立し、経営や事業、デジタルなど社会的意義のある戦略にブランドを生かしていく必要がある。しかしながら、日本企業の99.7%を占める中小企業は、ブランドへの戦略的取り組みが遅れている場合が多い。これは、「ブランドを軸に中小・地方企業様のデジタルシフトを担う」という、同社自身の「Mission」を追求する大きな機会でもある。このため同社は、中小・地方企業に特化したブランディング支援やデジタルシフト推進により、各企業の持つ営業力、採用力、組織力などにわたる様々な課題の解決を図っている。同社は、中小・地方企業がブランドに込めた想いを、確かな未来につなぐ役割を果たしていると言うことができる。

(2) 「らしさ」と「ブランドファースト」
「Mission」以外にも、同社にとって重要な考え方がいくつかある。まず「ブランド」に対する考え方である。これは、同社の事業を理解するうえで重要な考え方となる。ブランドを総称するブランドメッセージやロゴなどは、企業が「らしさ」を表現し、象徴する手段の1つである。つまり、その「らしさ」こそ、企業経営の本質を表す「ブランド」と言うことができる。したがって同社は、ブランドを「らしさ」と定義している。ブランドとは、人となりを「〇〇さんらしい」と表現するときの「らしさ」のことである。企業は法人格を与えられて契約の主体となるが、「らしさ」を与えられることで人格としてのパーソナリティを得て、周囲から理解されやすくなる。この「らしさ」を経営の軸として中小・地方企業の成長につなげようというのが、同社が考えるブランディングである。

同社はブランドを構成する要素として、1)理念としての存在意義、2)ビジョン(目指す未来)、3)ブランドストーリー、4)行動指針や社是・社風、5)競争優位性の明確化、の5つを挙げている。また、ブランディングの効果として、1)採用力・育成力の向上、2)顧客・取引先の創造、3)組織力の強化、の3つを挙げている。つまり、ブランドを構築する要素を磨き上げ一貫性を持たせることでブランドを構築し、これを起点に体質強化や成長促進を図ることができる、と同社は考えている。ブランディングこそが企業として成長を実現するための第一歩になるという考え方であり、同社はこれを「ブランドファースト」と表現している。したがって同社の事業の本質は、「ブランドファースト」の経営を浸透させることで、中小・地方企業の企業価値を向上させることにある。このことは、同社が単なる中小企業向け広告代理店ではなく、広告代理店機能を有するブランディングカンパニーであるということを示しており、同社を理解するうえで非常に重要な考え方と言える。

「ブランドファースト」における「ブランド」は、ボウリングでストライク獲得に不可欠なセンターピンに例えることができる。ブランドというセンターピンを倒し、そこからの波及効果で企業体質の強化と成長の実現を目指す構図になっている。具体的に言うと、ブランドはインナーブランディングにより社内に浸透し、アウターブランディングで対外的に波及していく。次に、組織力や営業力、採用力といった企業の体質強化や成長を促す要素に及び、さらに商品・サービスやマーケティング、人材といった経営資源を作り上げていく。ここに企業側の経営力や的確な戦略が加われば、ブランドの波及効果は好循環を生み出し成長を促進する。なお、ブランドの波及まではブランド事業、ブランド波及後の好循環の支援をデジタルマーケティング事業が展開し、波及が速くスムーズに進むようにデジタルシフトまで支援している。

(3) 同社が提供するソリューション
同社は、中小・地方企業が持つ課題1つ1つに対応したソリューションを用意している。予算面での制約に関しては、顧客の予算制約を回避しつつブランディングニーズを実現するため、インターネット広告の利用やオフショアでの低コストのソリューション(オフショア関連事業)を用意している。人材面の制約に関しては、同社の「フロント人材※」やデジタルマーケティング事業が、顧客に代わってブランディング支援やデジタルマーケティング支援、デジタルシフトを推進する。自社の強みや「らしさ」を把握していない場合には、同社が外部から顧客の優位性を見出し、Webサイトやパンフレットなどで外部へと発信している。

※「フロント人材」とは同社独自の人材定義で、顧客とのフロントに立つことで経営課題を的確に把握し、「ブランド×テクノロジー」の観点からベストなご提案のできる人材のことを指す。


こうしたきめ細かい作業は、総合広告代理店や大手インターネット広告代理店にとってはスケールデメリットとなるうえ、ノウハウがないことから対応力に乏しい。中小・地方企業をターゲットにしていても、スケールメリットを追求していると、ターゲットは自然と競合の多い大企業へ寄っていってしまう。このため、同社と実質的に競合している企業は、ブランディングを軸とする上場企業のなかには見当たらず、非上場企業でもベンチャーや地場コンサルタントなど小規模な企業かブランディングを主軸としない企業がほとんどのようだ。つまり、中小企業向けのブランド事業は、同社の独壇場とも言える。なお、同社は顧客を規模や広告宣伝費総額で区分しておらず、同社の月間サービス提供額により、スモール(1万円~50万円)、ミドル(50万円~300万円)、アッパー(300万円~1,500万円)と区分しているため、効率的な運営が可能となる。これが、きめ細かい作業が必要な中小企業向けブランド事業を収益化できた要因の1つである。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)


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