◎〔週間外為見通し〕ドル円、FOMC無風通過なら続落=三菱UFJ銀・内田氏

配信元:時事通信社
投稿:2021/06/11 16:02
 内田稔・三菱UFJ銀行市場企画部グローバルマーケットリサーチチーフアナリスト=来週はFOMCが開催される。金融緩和策は維持される見込みだが、経済活動の再開に伴い、声明文は成長の加速をやや強調するトーンとなりそうだ。経済見通し(SEP)では、足元を除き、物価見通しがおおむね横ばいに据え置かれるものの、失業率見通しは引き下げられる可能性が高い。政策金利見通し(ドットチャート)も、2023年末までの利上げを妥当とする参加者が増える公算が大きい。当初は、これらが金融政策の正常化や米国の対外金利差の拡大を意識させ、ドル買いを誘発する場面がみられそうだ。もっとも、記者会見でパウエルFRB議長は、インフレを一時的とする従来の説明を繰り返し、雇用、物価ともに目標に遠いとするハト派姿勢を総じて維持する可能性が高い。夏場にかけて米国では法定債務上限の適用凍結期間が7月末に終了する。インフラ投資を柱とする米国雇用計画法の審議も難航すると見込まれる。こうした財政をめぐる不透明感も手伝い、パウエル議長も量的緩和の縮小開始時期に関する明確なヒントを示さないとみられる。なお、足元の過剰な流動性を抑制するため、IOER(超過準備に付される金利)の引き上げが決定される可能性が相応にある。ただし、既に議事要旨などでその必要性が示唆されてきたため、為替相場への影響は限定的だろう。
 上記見通しに沿ってFOMCを通過する場合、ドルには低下基調にある長期金利から生じる下押し圧力が引き続き加わる可能性が高い。インフレ高進を一時的とする見方が広がりつつあり、ドル円は4月のCPI発表後に急騰した直前の水準である108円台半ばまで緩んでも不思議ではない。当時より、長期金利が低い点に照らせば、続落もあり得よう。とはいえ、米経済の好転が途絶えたわけではなく、押し目でのドル買い需要も根強いとみられる。108円台前半ではドル円も底堅さを発揮するとみられ、週末を108円台半ばから後半で迎えると予想する(来週のメインシナリオ)。
 反対に、パウエル議長が何らかの形でテーパリングの必要性に言及したり、不動産市況の上昇に懸念を示したりする場合、量的緩和縮小開始の前倒しが意識されよう。その場合、米長期金利が上昇に転じ、ドル高が進むと考えられる。ただし、株式相場がある程度の値幅を伴って下落する可能性が高く、リスク回避的となりかねない。そうなれば、投機筋の円ショートも解消を迫られる結果、ドルに次いで円も強含みそうだ。この場合のドル円は、当初は上昇し、先週の高値(110円32銭)を視界に捉えよう。ただ、その後は徐々に上値が重くなり、週末を110円絡みで迎えると予想する(リスクシナリオ)。
 一方、米経済や金融政策から離れると、ここにきて中国包囲網の形成が目立つ。報道によると11〜13日にかけて開催されるG7首脳会議における宣言に、「台湾海峡の平和と安定の重要性」を明記する方向で調整に入ったもようだ。「適温相場」とされた17年当時も、トランプ前大統領が表明した対中制裁関税の発動を契機に、急速に地合いが悪化。それまでの流れが反転し、円相場はその後、約2年半もの間上昇した。トランプ前政権と異なり、バイデン政権は米国単独よりも「面」での対中包囲網の形成を意識しているとみられ、当時のように突発的に事態が悪化するケースは考えにくいとも言える。ただ、再び米中関係の悪化が市場のテーマとして注目を集める可能性には留意すべきだろう。また、英国では感染力が強い変異株の拡大を受け、21日に予定されていたロックダウンの解除が後ずれする可能性が浮上している。これを契機に欧州の経済活動正常化の遅れが意識されると、米経済の相対的な優位さと世界経済の回復の遅れが意識されやすい。その場合、欧州通貨安の裏でドル高と円高が進むとみられ、英ポンド円に限らず、クロス円の反落に警戒を要そう。【来週のドル円予想レンジ】108円00銭〜110円50銭(了)
[時事通信社]
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