アンジェス Research Memo(8):2021年12月期第1四半期は営業損失が拡大

配信元:フィスコ
投稿:2021/06/11 15:08
■業績動向

1. 2021年12月期第1四半期の業績概要
アンジェス<4563>の2020年12月期第1四半期の売上高は前年同期比101.4%増の11百万円、営業損失は3,628百万円(前年同期は974百万円の損失)、経常損失は3,361百万円(同922百万円の損失)、親会社株主に帰属する四半期純損失は3,314百万円(同919百万円の損失)となった。新型コロナウイルス感染症ワクチンの開発費用を中心として研究開発費が増加したことに加え、Emendoの子会社化に伴うのれん償却額の計上等が損失拡大要因となっている。

売上高については、「コラテジェン®」の販売増により製品売上高が増加した。事業費用のうち、売上原価についても製品売上高の増加にともなって増加している。

研究開発費用が前年同期比で1,787百万円増加したが、増加要因の大半は新型コロナウイルス感染症ワクチンの臨床試験及び非臨床試験にかかる費用増によるものとなっている。項目別では、研究用材料費で575百万円増加したほか、外注費で748百万円、消耗品費で255百万円それぞれ増加した。また、Emendoを子会社化したことに伴い、人件費が103百万円増加した。なお、新型コロナウイルス感染症ワクチンの開発費用については助成金で賄われることになっているが、プロジェクト契約期間が終了してないこともあり、当第1四半期の業績には反映されていない。2021年12月期中には営業外収益もしくは特別利益として計上される見通しだ。

販管費については、前年同期比で868百万円増加した。Emendoの子会社化に伴って発生したのれん償却額567百万円を計上したほか、コンサルタントフィー等の支払手数料が170百万円増加したことによる。また、営業外収支が前年同期から215百万円改善したが、このうち210百万円は外貨建て資産の評価替えによる為替差益の増加によるものとなっている。


2021年12月期も、開発パイプラインの進展を最重要課題として取り組む方針
2. 2021年12月期の業績見通し
2021年12月期の業績見通しについては、新型コロナウイルス感染症ワクチンの開発について、今後の臨床試験の規模や実施方法、また、国等からの助成金の公募の有無なども含めて未確定な要素が多く、合理的に業績見通しを算定することが困難なため、現時点では未定としている。

事業方針としては、新型コロナウイルス感染症ワクチン及び治療薬を筆頭に、既存パイプラインの開発推進に注力していくほか、子会社のEmendoではゲノム編集技術を用いた具体的な開発パイプラインのプロジェクト化に取り組んでいくことになる。

なお、Emendoの業績については、まだ開発ステージであることから売上計上は無く、年間で10億円以上の営業損失が続くものと弊社では予想している(従業員数は前期末で53名)。また、Emendoののれん償却額が年間で2,271百万円(10年間均等償却)となり、前期比での費用増要因となる。


Emendoの事業活動資金調達、事業基盤拡大を目的とした第41回新株予約権の行使完了
3. 財務状況について
2021年12月期第1四半期末の財務状況を見ると、総資産は前期末比3,907百万円増加の42,261百万円となった。主な増減要因を見ると、流動資産では新株予約権の行使が進んだことにより現金及び預金が2,620百万円増加したほか、新型コロナウイルス感染症ワクチン開発費用の前払いにより前渡金が353百万円増加した。固定資産ではのれんが835百万円増加したほか、Emendoの固定資産を費用に振り替えたことにより有形固定資産が113百万円減少した。

負債合計は前期末比22百万円増加の5,697百万円となった。AMEDより採択された「新型コロナウイルス感染症に対するワクチン開発」に関する助成金が入金され、前受金が693百万円増加したほか、ワクチンの製造費用及び治験費用等の計上により買掛金が280百万円増加し、一方で、前期分の費用の支払いにより未払金が896百万円減少した。

純資産は前期末比3,884百万円増加の36,564百万円となった。親会社株主に帰属する四半期純損失3,314百万円の計上があったものの、新株予約権の発行及び行使により資本金及び資本剰余金がそれぞれ2,900百万円増加したことが主因となっている。

なお、2021年3月24日付で発行した第41回新株予約権(第三者割当て)については、5月18日で20,000個全ての行使が完了し、本新株予約権の発行価額の総額を含めて17,474,639,000 円を調達した。調達資金の使途としては、Emendoの事業運営資金として90億円(3年間)、残りが事業基盤のさらなる拡大に向けた資金(海外企業の買収や資本参加等)に充当していくことにしている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)


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