明日の株式相場に向けて=株は需給、材料株ワールドで楽しむ
きょう(19日)の東京株式市場は、日経平均株価が2円高の2万9685円とわずかながらプラス圏で着地し3日続伸となった。4円高で始まり2円高で終わる、つまり前日終値をそのまま横にスライドさせて十字足をつけたようなチャートとなった。取引時間中も方向感が定まらず、変動幅はそれほど大きくはないが、前日終値を挟んで右往左往した印象が強い。値上がり・値下がり銘柄数もともに1000に乗せ、よく言えば強弱観が拮抗、アイロニカルに表現すれば、どっちつかずの優柔不断相場ということになる。
4月第1週の外国人投資家売買動向は現物、先物ともに買い越していたが「花替え(預け替え)的な部分もあり、額面通り買っていた感触はない。実需買いが入ったのは3月最終週にカウントされる4月のしょっぱな(1日と2日)くらいであとは、基本的に見送りムードが強い」(中堅証券ストラテジスト)という。決算発表期間中はポジションを低めにしておくのがセオリー。そうでなくとも、総論として今は勝負の場面ではない。好決算を発表したにも関わらず問答無用に売り込まれた安川電機<6506.T>の二の舞を警戒したムードは拭えず、蛮勇は避けておくのが道理だ。
とはいえ、個別株の物色意欲は極めて旺盛であることは否めない。過剰流動性の下地は中小型株にも浮揚力を与えている。米国ではゲームストップ株がSNS連携による小口個人投資家の集結で空売りヘッジファンドが踏み上げを余儀なくされるという事態が発生した。ゲームストップ株は高値圏では時価総額が2兆5000億円以上に達したが、元をたどれば経営難にあえいでいた小型株だ。そうした“波動”は、スケールこそ違えども東京市場にも随所にあらわれており、“株は需給”ということを改めて痛感させられる。ゴールデンウイーク前後にかけて総論警戒を念頭に置きながら、割り切って材料株ワールドを楽しむのも一法だ。
例えばイメージ ワン<2667.T>はまさに踏み上げ相場の凄まじさを見せつけている。福島原発の汚染水処理問題でクローズアップされたトリチウム除去が急速にテーマ性を帯び、その関連銘柄として同社株を押し上げた格好だが、実際に同社が取り組んでいるトリチウム分離技術が業績を様変わりさせるかといえばその可能性は極めて低い。それを考えれば株価急伸局面では、空売りを仕掛けるファンドが一つや二つ出てきて当然である。ところが、きょうはロケットが大気圏を突き破るような上げ足をみせ、300円高はストップ高の1487円で張りつく人気となった。既に日証金では株不足状態で貸株制限の信用規制が入っている。また、これは踏み上げの断片図に過ぎず、外資系証券など機関投資家経由の貸株調達に伴う空売りも加味すれば、買い戻し圧力は更に強力なものとなっていると思われる。いずれ、ベクトルの向きが反転するタイミングは来るのだが、前週末の上ヒゲ形成で上昇ステージが終わったと考えた向きにすれば、きょうの急騰劇は呆然とするよりない。
日米首脳会談は早くから注目されていた割には盛り上がりを欠いたようにも見えるが、脱炭素への取り組み、半導体サプライチェーン強化、次世代高速通信規格「6G」開発など、日米連携の動きは株式市場にはそれなりの“お土産”で、時間差で花開く可能性はある。
半導体関連株物色の裾野は今後一段と広がっていくことが予想される。新たなところでは検査用ソケットを製造する山一電機<6941.T>や研磨機などを手掛ける浜井産業<6131.T>、レーザー関連部品のシグマ光機<7713.T>、半導体封止装置のTOWA<6315.T>、半導体商社の丸文<7537.T>などが挙げられる。また、6G関連では、物色対象は5G関連の延長にはなるが、アルチザネットワークス<6778.T>、FIG<4392.T>、北川精機<6327.T>などに目を配っておきたい。このほか番外では、イーロン・マスク氏設立の米スペースXが月面着陸船開発でにわかに話題となっている。航空宇宙関連の一角では放電精密加工研究所<6469.T>が思惑含みの動きでマークしておきたい。
あすのスケジュールでは、2月の第3次産業活動指数、3月の白物家電出荷額、3月の主要コンビニエンスストア売上高など。海外では4月の中国最優遇貸出金利、インドネシア中銀による政策金利発表、アップルの新製品発表会など。(銀)
出所:MINKABU PRESS
4月第1週の外国人投資家売買動向は現物、先物ともに買い越していたが「花替え(預け替え)的な部分もあり、額面通り買っていた感触はない。実需買いが入ったのは3月最終週にカウントされる4月のしょっぱな(1日と2日)くらいであとは、基本的に見送りムードが強い」(中堅証券ストラテジスト)という。決算発表期間中はポジションを低めにしておくのがセオリー。そうでなくとも、総論として今は勝負の場面ではない。好決算を発表したにも関わらず問答無用に売り込まれた安川電機<6506.T>の二の舞を警戒したムードは拭えず、蛮勇は避けておくのが道理だ。
とはいえ、個別株の物色意欲は極めて旺盛であることは否めない。過剰流動性の下地は中小型株にも浮揚力を与えている。米国ではゲームストップ株がSNS連携による小口個人投資家の集結で空売りヘッジファンドが踏み上げを余儀なくされるという事態が発生した。ゲームストップ株は高値圏では時価総額が2兆5000億円以上に達したが、元をたどれば経営難にあえいでいた小型株だ。そうした“波動”は、スケールこそ違えども東京市場にも随所にあらわれており、“株は需給”ということを改めて痛感させられる。ゴールデンウイーク前後にかけて総論警戒を念頭に置きながら、割り切って材料株ワールドを楽しむのも一法だ。
例えばイメージ ワン<2667.T>はまさに踏み上げ相場の凄まじさを見せつけている。福島原発の汚染水処理問題でクローズアップされたトリチウム除去が急速にテーマ性を帯び、その関連銘柄として同社株を押し上げた格好だが、実際に同社が取り組んでいるトリチウム分離技術が業績を様変わりさせるかといえばその可能性は極めて低い。それを考えれば株価急伸局面では、空売りを仕掛けるファンドが一つや二つ出てきて当然である。ところが、きょうはロケットが大気圏を突き破るような上げ足をみせ、300円高はストップ高の1487円で張りつく人気となった。既に日証金では株不足状態で貸株制限の信用規制が入っている。また、これは踏み上げの断片図に過ぎず、外資系証券など機関投資家経由の貸株調達に伴う空売りも加味すれば、買い戻し圧力は更に強力なものとなっていると思われる。いずれ、ベクトルの向きが反転するタイミングは来るのだが、前週末の上ヒゲ形成で上昇ステージが終わったと考えた向きにすれば、きょうの急騰劇は呆然とするよりない。
日米首脳会談は早くから注目されていた割には盛り上がりを欠いたようにも見えるが、脱炭素への取り組み、半導体サプライチェーン強化、次世代高速通信規格「6G」開発など、日米連携の動きは株式市場にはそれなりの“お土産”で、時間差で花開く可能性はある。
半導体関連株物色の裾野は今後一段と広がっていくことが予想される。新たなところでは検査用ソケットを製造する山一電機<6941.T>や研磨機などを手掛ける浜井産業<6131.T>、レーザー関連部品のシグマ光機<7713.T>、半導体封止装置のTOWA<6315.T>、半導体商社の丸文<7537.T>などが挙げられる。また、6G関連では、物色対象は5G関連の延長にはなるが、アルチザネットワークス<6778.T>、FIG<4392.T>、北川精機<6327.T>などに目を配っておきたい。このほか番外では、イーロン・マスク氏設立の米スペースXが月面着陸船開発でにわかに話題となっている。航空宇宙関連の一角では放電精密加工研究所<6469.T>が思惑含みの動きでマークしておきたい。
あすのスケジュールでは、2月の第3次産業活動指数、3月の白物家電出荷額、3月の主要コンビニエンスストア売上高など。海外では4月の中国最優遇貸出金利、インドネシア中銀による政策金利発表、アップルの新製品発表会など。(銀)
出所:MINKABU PRESS
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