内田稔・三菱UFJ銀行市場企画部グローバルマーケットリサーチチーフアナリスト=今週発表された2月の米貿易赤字は過去最大を記録し、足もとでも対外的なドルの支払い(=ドル供給)は嵩んでいるとみられる。一方、今週の地合いを受け、来週は米消費者物価指数や小売売上高が予想を上回った場合も米国債の利回り上昇は限られよう。実際、パウエル議長も8日、インフレは一時的との見方を繰り返し述べている。拡大する経常赤字に照らせば、現在の金利水準は投資妙味に乏しく、ドル買いを伴う対米国債投資(=ドル需要)は盛り上がりを欠こう。需給面ではドルに分の悪い地合いとなりそうだ。加えて、金利上昇に一服感がみられれば、リスク選好地合いによるドル安圧力も加わろう。こうした場面で円も軟調に推移すればドル円の下げ幅は限られ、クロス円が上がりやすい。もっとも、今週のG10通貨の並びが示す通り、経常黒字国通貨の一角として円も対ドルで強含んで推移した。ドル安相場が続けばドル円もやはり軟調に推移する可能性の方が高い。特に、予想を大きく上回る雇用統計を以てしても、111円台回復を阻まれた後だけに、改めての上値追いには市場参加者も慎重になるだろう。
一方、リスク要因として米国を含む新型コロナウイルスの感染状況は気になるところ。今週、IMFは世界経済の成長率見通しを前回1月の5.5%から6.0%へ上方修正した。ただ、国ごとの財政拡張規模の違いによる景気回復度合いのばらつき、経済政策による効果の持続性に、新型コロナウイルスの変異株の存在を挙げ、見通しに対する不確実性が高いとした。新型コロナウイルスの新規感染者は、世界的にみて増加傾向にあり、早ければ5月頃に集団免疫を獲得するとの楽観論まで囁かれる米国でも減少に歯止めがかかりつつあり、実効再生産数もちょうど1。仮に、経済活動の正常化に対する期待が水を注されれば、米国の長期金利が一段と低下するものの、リスク回避的なドル買いが強まろう。ただ、その場合は円ショートを解消する為の円の買い戻しの方が強いとみられ、ドル円
は下値余地が広がるおそれがあり、一応の警戒が必要だろう。
【今週のドル円予想レンジ】108円00銭〜110円00銭
[時事通信社]
一方、リスク要因として米国を含む新型コロナウイルスの感染状況は気になるところ。今週、IMFは世界経済の成長率見通しを前回1月の5.5%から6.0%へ上方修正した。ただ、国ごとの財政拡張規模の違いによる景気回復度合いのばらつき、経済政策による効果の持続性に、新型コロナウイルスの変異株の存在を挙げ、見通しに対する不確実性が高いとした。新型コロナウイルスの新規感染者は、世界的にみて増加傾向にあり、早ければ5月頃に集団免疫を獲得するとの楽観論まで囁かれる米国でも減少に歯止めがかかりつつあり、実効再生産数もちょうど1。仮に、経済活動の正常化に対する期待が水を注されれば、米国の長期金利が一段と低下するものの、リスク回避的なドル買いが強まろう。ただ、その場合は円ショートを解消する為の円の買い戻しの方が強いとみられ、ドル円
は下値余地が広がるおそれがあり、一応の警戒が必要だろう。
【今週のドル円予想レンジ】108円00銭〜110円00銭
[時事通信社]
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