ドル円は109.30円近辺まで下げ渋る=NY為替後半

著者:MINKABU PRESS
投稿:2021/04/09 04:40
 NY時間の終盤に入ってドル円は買い戻しが見られており、109.30円近辺で推移している。ただ、ドル売りが再び強まる中で、ドル円も戻り売りが続いている。ロング勢の利益確定売りが次第に強まっているようで、一時109円ちょうど付近まで下げる場面もみられた。きょうの下げで109.45円付近に来ている21日線を下回っており、明日以降の動きが警戒される。

 米国債利回りが低下しているほか、きょうはリスク回避の円買いも出ているとの声も聞かれた。米国とロシアの関係が悪化しつつあり、バイデン政権がロシアの選挙介入などの違法行為についての情報当局による検討を終え、報復措置に踏み切る可能性もあると報じられている。報復措置には経済制裁や米国に外交官として駐在するロシアの諜報員の国外退去が含まれる可能性があるという。

 また、市場の一部から、最近の米国債利回りの周期的な上昇は金利のレジームシフトにはほど遠く、成長の勢いが失われれば、市場が設定した高い期待を超えてインフレが軌道に乗り続けない限り、利回りは低下が予想されるとの見方も出ている。相対的なバリュエーションと長期的ファンダメンタルズ、そして、グローバルな相互接続性が米国債にとってはより重要であるという。

 ユーロドルは買いが続いており、1.19ドル台に再び上昇。本日の200日線は1.1895ドル付近に来ているが、その水準を再び上回っており、1.19ドル台を維持できるか注目される。

 今週に入ってのユーロの買戻しは、ドル高が一服している面もあるが、特に対ポンドでの買い戻しを加速させている面も大きい。対ポンドのユーロのショートポジションは3月には昨年4月以来の水準まで増加していたこともあり、投機筋はショートカバーを加速させ、リスクバランスを取りに行っているようだ。

 きょうはECBが3月の理事会の議事要旨を公表。最近の資金調達環境のタイト化は、米国に比べ依然として循環的に弱い位置にいるユーロ圏にとって時期尚早としており、高水準の緩和継続が必要との見解が大勢を占めていた。

 きょうもポンドドルは急速な下げの動きは一服しているものの、依然として上値の重い展開は続いており、1.3720ドル近辺まで一時下落した。

 今週のポンドは、アストラゼネカ製ワクチンの血栓症との関連が指摘され、英国でのワクチン展開に支障が生じるのではとの懸念から特に対ユーロで急速に下落している。ユーロポンドは一時0.8660ポンド付近まで上昇。しかし、本日はその動きも幾分落ち着いている。市場からは、今週に入ってからの対ユーロでのポンド落ち込みは多少誇張されている面があり、ユーロポンドは再び直近安値の0.85ドル付近に戻るとの見方も出ている。英当局はアストラゼネカ製ワクチンに関して、「恩恵がリスクを上回る」との認識を再表明しており、7月末までにすべての成人に1回目の投与を提供するという目標は変更されていない。短期モデルに基づくと、ユーロポンドは1%程度過大評価されており、1月中旬以来の高水準だという。

MINKABU PRESS編集部 野沢卓美

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